麗澤オープンカレッジ第2回講演会開催
2007.7.2

麗澤オープンカレッジの第2回特別講演会は6月9日、「日本とは? 日本人とは?」を総合テーマに本学の欠端實大学院言語教育研究科長・教授が、「日本文 化の根底にあるもの」と題して講演しました。会場には300人を超す受講者が参加、熱心に聴講。初回と同様、関心の高さが伺われました。
稲作 儀礼の研究をしている欠端教授は、研究に訪れた東南アジアのブータン、タイ、インドネシアなどの体験から改めて「日本人は南の人間なんだ」という印象を強 く抱いたということです。これらの地域は、アジアのモンスーン地帯に属し、水田稲作、稲作漁撈文化が中心で、自然とともに生きる「共生」の考え方です。欠 端教授は「私たちはそのことを忘れてしまっている」と指摘されました。
近年DNA考古学の発達などで、私たち人間のルーツなどが容易に解明で きるようになってきました。例えばミトコンドリアDNA分析結果(弥生時代以降大陸から日本列島に大量移民) から日本人のルーツを探ると、現在の日本人の25.8%が中国人と同じミトコンドリアの配列を持ち、同様に日本人の24.2%が韓国人と、16.1%が琉 球人と、4.8%が本土日本人と同じということです。つまり日本人は、単一の民族ではなく、古代からの長い年月の間に様々な人種が入り混じってきたという わけです。欠端教授は、中国雲南省の少数民族の事例を紹介し「25の民族はそれぞれの文化的伝統を持ちながらお互いに平和的に共存しあっています」と述べ ました。
日本語にしても、周囲が海という孤立性の中で、半面様々な文化を持った民族が大陸を渡って定住し、いろいろ交じり合った多層性を特色 としながらも、それぞれが独自の形ではなく「日本語として現在に残っている」と説明されました。さらにモンスーン、黒潮の影響を受けた風土は、「照葉樹林 文化」「巨木文化」「稲作漁撈文化」などを特色としていることなどを上げ、こうした特色を通じて「自然との一体感」「自然と共に生きる」思想が、日本文化 の根底になっていると説明されました。
欠端教授は講演の冒頭で、今年3月のイタリア・シチリアでの研究を紹介。当地で感じた「内なる精神を秩 序的に堅固な石で形象化」する熱意があるギリシア文化、反対に「形あるものへの深い不信」から秘仏化や社殿のない神社などのアジア文化の違いを述べました が、締めくくりに、「『南』の人間は、神聖なものを形にしたがらない」、「形が無くても文化がある」、「『自然との一体感』は日本人の持つ優れた感性」と いったことを、欧米人にもっと理解してもらうことが大切だと結ばれました。

講演する欠端教授

講演会場

会場は聴講者でいっぱい

熱心に聴く聴講者