佐藤副学長が特別講演
2007.8.24

講演する佐藤副学長

聴講でいっぱいの会場

熱心に聞く聴講者

麗澤オープンカレッジの第4回特別講演会が8月4日開かれ、本学の副学長・国際経済学部教授の佐藤政則氏が「『立身出世』と日本」と題して講演。会場には約300人の受講者が参加し、熱心に聴講していました。 
佐藤氏は冒頭、「日本はこの150年間に世界屈指の国の一つになった。江戸時代風に言えば『立身出世』の世界だった。そのような観点から150年を振り返り、改めて日本の将来を展望したい」と述べ、主に明治維新前後の国内外の状況に力点を置いて話しました。 
近代日本の夜明け。佐藤氏は、その外的要因に1840年、1857年に起きたアヘン戦争を挙げました。当時の東アジアは、中国の王朝を中心にした「華夷思想」の国際秩序によって回っていました。政治、軍事、文化の面でも卓越した清国がもろくも敗れ、日本も大きなショックを受けました。①このままで中国やインドのように領土を割譲され、植民地化されていくという不安と危機感②自力で生きていくにしても、速やかに統一政権を作らなければ、世界のレベルに通用しないことを知った--というのです。 
明治時代の日本は、ヨーロッパから経済制度、最先端の工業施設・技術を採り入れ、極限の目標を掲げてひた走ります。明治維新前の江戸期には、「分限思想」(「分」は士農工商の区分、「限」はそれぞれの身分に応じた衣食住の区別を意味した)が徹底され、身分を越えた欲望を持つこと自体が不道徳でした。そうした徹底した身分社会であったために、反対に農民が武士になるような「見上がり願望」という、上昇願望が強烈でした。佐藤氏は「明治維新の大きな成果は、この分限思想に基づく社会を崩壊させ、『身分相応』ではなく『実力相応』の社会、富貴への欲求を積極的に肯定させたことにあった」と説明しました。世界屈指の国へのエネルギー源は、ここにあったというわけです。 
この後、日本は明治時代以降の急速な経済発展、第二次大戦以前は貧富の格差を伴った高い経済成長、戦後は所得水準の平等化と高度成長が両立した経済発展と新しいステージへ上っていきます。それと共に現代の立身出世論も変化。佐藤氏は、経営の神様で知られた松下幸之助の『水道哲学』を紹介しながら「個人の上昇志向が、属する組織の発展と一体化し、さらにはそれが社会や国家の公益増進と一体化する」と話しました。最後に、冷戦などによって没交渉状態だったアジアとの関係を重視。「これからの日本はもっとアジアと向き合わなければいけない」と強調して講演を締めくくりました。