2006年度 価値意識に関する理論および実証研究の現状と課題

プロジェクト内容

本プロジェクトは、社会科学の「知」を「価値意識」の観点からホリスティック(holistic)に捉えようとする試みであり、方法論としての「価値実現論」を提唱し、「学問力」を涵養することが目的である。将来的な構想として、本プロジェクトにおける基礎研究をふまえて、社会科学の総合学としての「ライフスタイルに関する国際比較研究」プロジェクトに発展させていくことが意図されている。

「価値意識」という観点および社会科学の新たなる専門領域として、「価値実現論」を提唱する理由は以下の通りである。

1)「価値意識」に着目する理由は、あらゆる経済・社会的、文化的現象の背後にある人間の価値観に差異があり、かつ時間的にも変化しているという事実があるにもにもかかわらず、それを所与としてアプリオリ的に考察の対象外とすることは極めて非現実的であるからである。なお、仮に、人間の価値意識を分析の対象とした場合でも、客観的に観察することが困難である。そこで、数量化の統計手法を用いて、価値意識を分析可能とすることを試みる。

2)科学、とくに社会科学の分野では、グローバル化および情報革命の大きな潮流のなかで、実に多彩で多様性のある学問が登場している。しかし、その結果、各々の学問において自己アイデンティを求めて、専門化・個別化が進行し、諸学問間の対話が困難になっている。まさに、「価値実現論」の試みとはそれ自体で学問として自己主張するのではなく、多様化が進展する諸学問を有機的に“つなぐ”共通土俵(方法論)を提供することであり、諸学問の対話を可能とする共通の尺度を開発することである。

なお、現在進行している具体的な研究テーマとして、以下のようなものがある。

1)学問力のすすめ(価値意識、サービス意識;2006年、単行本として出版予定)
2)日本的経営と働く意識、モティベーションに関する研究
 (インド、日本・メキシコ)
3)ライフスタイルにおける国際比較研究
4)インドの市民意識に関する研究
 (「市民社会に関する基礎的研究」との共同研究)
5)貧困意識に関する国際比較研究
6)サービス意識に関する研究

プロジェクトメンバー

◎大場 裕之    国際経済学部・教授
 清川 雪彦    一橋大学経済研究所・教授
 成田 哲朗    国際金融情報センター・研究員