2006年度 市民社会に関する基礎的研究−国際比較の視点から−

プロジェクト内容

市民社会(civil society)という概念は極めて曖昧であるが、マイケル・エドワーズによれば概ねつぎの3つの相互に関連しあう理論的領域を含んでいる。第1は、国家および市場から概念的に区別された、諸個人の生活世界を支える領域である。バーガーやニューハウスなど新保守主義者の「mediating structure仲介機構」、エチオーニなど共同体主義者の「community共同体」、サラモンなどの「nonprofit sector非営利セクター」などがこの領域に入る。第2は、諸個人の社会・政治参加や営利・非営利諸活動を支える信頼や協力や寛容といった心的な態度、価値の領域を指す。ベラーやパットナムなどネオ・トクヴィリアンは、それを「habits of the heart心の習慣」や「social capitalソーシャル・キャピタル」と呼んでいる。第3は、公開の審議や対話など市民性を発揮する場としての市民社会である。ハバーマスの「Öffentlichkeit / public square公共圏」の概念がこれに当たる。

本プロジェクトは、市民社会という視点を日本社会に適用する場合の可能性と限界を明らかにすることを目的とするが、さし当たっては、上記の市民社会に関する3つの概念領域を前提として、(1)基本的文献の収集および分析に基づき、当該概念の歴史的背景を明らかにし、諸理論の検討を行うとともに、(2)アメリカ合衆国およびインドにおける現地調査および調査結果の比較・分析に基づいて、上記のような意味領域の範囲の明確化を図り、その妥当性を検討することを当面の目標とする。

プロジェクトメンバー

◎堀内 一史    国際経済学部・教授
 大場 裕之    国際経済学部・教授
 宮川 公男    国際経済学部・教授