藤本幸夫教授が韓国・宝冠文化勲章を受章
2007.10.23

授与式から

喜びの藤本教授

宝冠文化勲章

勲章証

大学院言語教育研究科の藤本幸夫教授は10月9日、韓国ソウル市の世宗文化会館で行われた文化勲章授与式に出席。韓国政府から、多年にわたる韓国語学研究・韓国語教育・出版文化の研究が「ハングル文化の発展に貢献した功績が大」として、宝冠文化勲章を贈られました。 
藤本教授は、盧武鉉大統領代理の韓悳洙国務総理から勲章証と文化勲章を授与された後の記念パーティーでスピーチ。「このような勲章を頂き身に余る光栄です」と謝辞を述べ、研究の動機や成果などに就いてエピソードを交えながら披瀝し、大きな拍手を浴びました。 
藤本教授は現在、朝鮮学会副会長。専門は、古語や吏読(りとう)・口訣(こうけつ)・訓読等、漢字の音訓を借用した表記法研究の第一人者。翻訳に『韓国語の歴史』(昭和50年 大修館)『韓国絵画史』(昭和62年 吉川弘文館、)、著書に『日本現存朝鮮本研究 集部』(平成18年、京都大学学術出版会)があります。特に後者は藤本教授が40年の歳月をかけ全国の図書館、文庫、公民館、個人宅や台湾、イギリス・大英図書館など海外にも足を伸ばしコツコツと資料収集、その膨大な資料を基に詩・文学などの分野の「集部」についてまとめ上げた労作です。今後、歴史関係の「史部」など他分野についてもまとめていく予定です。 
なお藤本教授は、昭和62年日本翻訳出版文化賞(『韓国絵画史』で)、平成18年蘆北賞、平成19年瑞松韓日学術賞を受賞しています。

◆ 韓国の勲章・褒章制度 
韓国では、社会功労の著しい人(外国人を含む)の功績を称える勲章・褒章制度があります。勲章は、建国勲章、国民勲章、文化勲章、産業勲章、体育勲章の5分野に分かれ、学術・文化に貢献した人に与えられるのが文化勲章です。各勲章は3~5段階あり、文化勲章は、金冠・銀冠・宝冠・玉冠・花冠の5段階になっています。

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藤本教授から喜びの言葉を寄せていただきました。

「この栄誉に浴して」

この度大韓民国より宝冠文化勲章を授与されるという、分に過ぎた栄誉に浴することになった。これまでの韓国語学研究・韓国語教育・韓国出版文化研究・学会活動等々に与えられたものである。私は1964年頃から大阪外国語大学客員教授金思燁先生より韓国語を学び、そのお骨折りによって67-70年ハングル学会及びソウル大学校文理科大学に学び、帰国後上記の事柄に従事してきた。韓国語学研究では漢字の音訓・訓読・日本の訓読との関係、韓国語教育では37年に亙る現代韓国語教授、また韓国語学研究のための資料調査と発掘、さらに進んでは日本に現存する韓国本の文献学的総合調査に至った。その他に韓国学会との交流、韓国学者の招請、国際学会の開催、日本における韓国学最大の学会である朝鮮学会での活動なども考慮されたのであろう。 
私は始め中国学に志して京都大学文学部に入ったが、次第に言語に関心がそそられ、言語学を専攻するに及んだ。そしてアルタイ言語学に傾斜していったが、それらに文献の寡少なることが更なる踏み込みを思いとどまらせた。しかし東洋語に関心があったため、韓国語を学び始めた。その頃は今日のように参考書や辞書が充分にあったわけではなく、学習には不便も多かったが、私の周辺にはマイナーな言語を学ぶ友人が多く、まだ恵まれていた方で、特に不満もなかった。留学中は崔鉉培・李崇寧・李基文・許雄・金芳漢その他、多くの先生方のご指導を受けた。またソウル大学には奎章閣や付属図書館などに多くの語学資料もあった。古書のある環境も私には有難いものであった。良き師、良き友人に囲まれた3年間の留学は今から省みても、誠に恵まれた日々であった。そしてその後一筋に韓国学に携わり得たのも、幸いなことであった。今後も韓国学の研究に邁進するつもりである。                    
今回の受賞には、前麗澤大学学長梅田博之先生を始め多くの方々のご支援をいただいている。ここに深甚なる謝意を表したい。