【周年記念行事】企業倫理シンポジウムⅠ「変わる企業と経営者の哲学」を開催
2009.7.22

 

麗澤大学開学50周年を記念して、「変わる企業と経営者の哲学-食 の安全と消費者の信頼獲得に向けて-」を学術行事の第2弾として7月18日(土)に、本学キャンパス内の廣池千九郎記念講堂において開催しました。このシ ンポジウムには232名の参加者があり、熱心に聴講されました。
シンポジウムでは、まず雪印乳業 元常務取締役(現 EN大塚製薬 取締役) 脇田眞氏から「コンプライアンス経営からCSR経営へ」と題する基調講演がありました。雪印の企業生命を揺るがした2つの事件の経緯、それを通じて同社が 得たもの・失ったもの、その後の変化や今取り組んでいることなど、万感の念いを込めた脇田氏の力強い講演に、参加者も喰い入るように耳を傾けました。後半 は、基調講演を受ける形で、4人のパネリストとファシリテーターによるパネルディスカッションが行われました。

脇田氏の力強い基調講演

熱の入ったパネルディスカッション

中山学長

シンポジウムの開会にあたり、麗澤大学中山学長から次のような開会の辞が述べられました。「周年記念行事の統一テーマである『知のモラルの再構築』は、本学の建学の精神、知識と道徳の一体化を目指す『知徳一体』の理想、道徳と経済の一体化を目指す『道経一体』の理想を現代的に展開しようするもの」、「現代のような経済至上主義の時代でこそ、『経済とは何か』という基本的な問いを自らに発し、経済活動の目的を問い正さなくてはならない。」また、「コンプライアンス」の語源について、文学者としての立場からユーモアを交えた解説があり、さらに「“売って喜び、買って喜び、第三者も喜ぶ”という精神に徹した経営こそが、企業永続の秘訣であり、これこそまさにコンプライアンスの本来の意味ではないか」と会場に投げかけられました。

 

脇田氏

脇田氏の基調講演は、氏が広報業務を担当した時に起きた、雪印乳業食中毒事件(H12.6.27)、雪印食品牛肉偽装事件(H14.1.23)での対応事例の紹介があり、いずれも「被害者だけでなく、業界・社会に対して大きな問題を惹き起した」だけでなく、その後の対応にも問題があったこと、これらに共通する問題点として雪印の“コンプライアンス精神の欠如やリスク管理体制の不備”があったと分析されました。さらに、その背景を、①自分たち(自社)の論理で思考する内向き体質、②事業横断型の問題解決に不向きな事業部制に起因する縦割り組織の問題、③マスコミの向こうにさらに大きな社会があるという認識やリスク管理の欠如、を挙げられました。  また、事件を風化させる原因の分析が続き、①人が変わる、②経営課題が増え変化していく、③悪いことは忘れたいという心理があるとし、これを風化させないための取り組みの一つとして、同社では、事件の起きた1月23日と6月27日を「事件を風化させない日」と定め、毎年、社長メッセージ、外部講師の講演、グループ討議などを行っているとのこと。事件を風化させない雪印の強い意志が会場内に伝わりました。

最後に、従来の雪印のコンプライアンス経営では“事業構造改革”、“財務体質改革”、“企業風土改革”など内部改革に目を向けていたが、役職員一人ひとりが社会的責任を果たし、社外の声を経営に反映することで、社会からの信頼を取り戻し、それらが企業価値の向上につながり、企業理念を実現することが雪印のCSR経営である、と締めくくられました。

パネルディスカッションでは、中島氏(福留ハム社長)、信﨑氏(雪印乳業CSR推進部長)、大槻氏(ニチレイプロサーブ 事業経営サポート部マネジャー)、髙教授(経済学部長)をパネリストとして登壇。中野教授(企業倫理研究センター副センター長)がファシリテーターを務めました。

各パネリストから、消費者の信頼獲得に向けての各社の考え方や取り組みについて紹介の後、中国産冷凍餃子問題の影響、事が生じた直後の迅速確実な初期対応 ができるリスク管理体制の望ましいあり方、消費者の信頼を得るために一番大事なことと取り組みについて紹介があった後、髙教授から「企業が消費者の信頼を 得ていく上で最も大事なことは、経営理念や企業の社会的使命・存在意義が重要である」、との考えが示されました。ファシリテーターの中野教授からは、「企 業倫理とかCSRを考えるにあたって一番大事なのは、やはり“本業を通じて社会に貢献する”ということ」、また「それぞれの会社が目指す企業倫理やCSR のあり方は、日頃のビジネスの進め方との擦り合せで地道に考えて行く必要があり、羅針盤として、その企業独自の“経営理念”とか“社会的存在意義”を根本 的に問い直してみる必要がある」、とのコメントがあり、パネリストから、企業倫理もしくはCSRと経営理念との関係について、それぞれ意見が交わされまし た。

中島氏

信﨑氏

大槻氏

髙教授

 

中野教授

ファシリテーターを務めた中野教授からは、「マスコミの企業批判に踊らされて、単純に“企業性悪説”的な感情論に走るのではなく、誠実な企業の取り組みに 対しては声援を送り、不誠実な取り組みや不正があった場合には厳しい態度で臨む。われわれ消費者も、そういう是々非々の態度で、より良いビジネス社会の構 築に向けて、共に参加して行きましょう。」とのまとめがありました。

 

 

 

 

梅田企業倫理研究センター長

最後に、梅田企業倫理研究センター長から閉会のあいさつがあり、企業倫理シンポジウムⅠは盛会裏に終了しました。

 

 

 

 

 

 

 

■次回の学術行事のご案内
次回の学術行事は、8月24日~26日にモラル・サイエンス国際会議「倫理道徳の理論と実践:モラロジーにおける廣池千九郎の業績の評価」を開催します。
ご期待ください。

■学術行事(企業倫理シンポジウムⅡ)のご案内
企業倫理シンポジウムⅡは、9月14日に「持続可能な社会の構築にチャレンジする企業」を読売新聞社と共催にて、東京ドームホテルにて開催します。ご期待ください。