速水融名誉教授の文化勲章受章お祝い会
2010.2.12

勲章を首にかけた速水名誉教授(中央)を囲んで記念写真

2月9日、厳しい寒さがほっと息をついて春の陽気を感じた夕方、廣池学園貴賓館において速水融名誉教授の文化勲章受章をお祝いする会が催されました。この素晴らしい受章のお祝いに、本学関係者とモラロジー研究所の方々を含め総勢60人を超す人が駆けつけました。
速水先生はヨーロッパ留学中に「歴史人口学」に出会いました。フランスで確立された研究ですが、日本の徳川時代の宗門改帳を利用することによって、それを 越える研究ができると思いつかれ、1964年東京オリンピックの年に帰国されるやいなや史料収集と整理分析を始められたのです。キリスト教弾圧のための宗 旨改めとして始まった宗門改帳は、場所によっては毎年作成され、現代の国勢調査と動態統計(出生、結婚、死亡)の情報が含まれています。
列車 好きの速水先生がその複雑な情報の整理に思いつかれたのは、まさに人の一生を時刻表にみたてた「BDS Basic Data Sheet(基礎整理表)」でした。このBDSによって、何千何万人もの人生が整理されていきます。そして、一人ひとりの生涯を積み重ねることによって、 その世帯の、その地域の、あるいはその時代の社会が浮き彫りにされます。このBDSこそが、日本の歴史人口学の原点と言ってもよいでしょう。
それから半世紀近い間、機関車のような牽引力と機動力をもって研究を組織化され、労力と資金を調達されつつ研究成果を蓄積され、今回のご受章に至られまし た。その陰には忍耐力と持続力のいる史料整理と分析作業を支えられた速水先生の実妹、成松佐恵子さんはじめとする、たくさんの方々のご協力もありました。 そしてそこには、多くの共同研究者と協力者を惹きつけてやまない先生の研究へのご熱意と発想力と実行力がありました。
傘寿を迎えられた速水先生の好奇心と探究心は、今も泉のように湧き出て絶えることがありません。昨年から今年にかけて英書を含む4冊の単著を出版され、現在も「まだやることがたくさんある」と次の研究計画(それも複数の)に取り組んでおられます。
1995年から10年間、速水先生は、新宿の麗澤大学東京センターを本拠地に研究活動を展開されましたが、ご退職に伴い、2006年には先生が半世紀近く 収集されてきた歴史人口学関係の膨大な資料を麗澤大学に寄贈されました。(注1)  速水先生が文化勲章を受章されるに至ったご研究の軌跡と、そのベースとなった徳川時代800ヶ村近い宗門改帳を中心とする資料は麗澤大学の図書館に収め られたのです。
現在、人口・家族史研究プロジェクトにおいてその資料整理が進められ、歴史人口学の発展をめざして研究が継続されています。世 界遺産ともいわれるこれらの史料は、現代のデータでは得られない多世代にわたる個人の生き様、家族模様、そして社会の様相を浮き彫りにさせるものです。社 会科学の実験の場を提供しうる「麗澤アーカイブス」であると言えるでしょう。
速水先生を囲む参加者は、ご受章に至られた足取りに感銘し、祝辞で披露される様々なエピソードにうなずき、終始なごやかで心温まる祝賀会でした。先生のご受章を心からお祝いするとともに、私自身もこの受章を励みとして研究に教育に邁進していきたいと思います。

報告 / 人口・家族史研究プロジェクト代表
黒須里美 (麗澤大学外国語学部教授)

(注1)人口・家族史研究プロジェクト発足にあたり開催した公開シンポジウムでの梅田博之前学長のご挨拶にその経緯が述べられています。
http://www.reitaku-u.ac.jp/president/presidents/presidents04/20110901-103.html

懇談する廣池理事長と速水名誉教授

廣池理事長の祝辞

中山学長の祝辞

謝辞を述べられる速水教授

和やかな会場

乾杯の発声をする梅田前学長

記念品の贈呈

花束の贈呈

スピーチする伊東名誉教授

宮川名誉教授

河野名誉教授

黒須教授