安倍晋三氏が講演テーマは「いかに日本を立て直すか」
2011.5.14

麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田 各市教育委員会および柏商工会議所)の平成23年度前期第1回目が5月14日に開かれ、衆議院議員・元内閣総理大臣の安倍晋三氏が「いかに日本を立て直すか」と題して講演し、390名が熱心に聴講しました。
講演に先立ち、本学の松本健一教授から安倍氏の紹介がなされ、講演が始まりました。講演の冒頭、安倍氏は「大震災以降、被災地には何度も足を運んできました。被災地の人々は復興に全力をかけようとされている。我々は生き生きとした東北を新たに作る意気込みで臨まなければならない」と力強く話されました。
まず、安倍氏は震災復興について触れられ、みずから被災地の現状を視察し、避難された方々との対話から、津波で襲われた農地や港湾などは国による買い上げが求められている、と指摘。買い上げをするに留まらず新たに産業を育成するためにも、「漁業ではノルウェーが成功したような大規模化による水産資源管理の導入や、買い上げた土地を民間企業に任せて大規模な農業生産に移行してはどうか」、と話されました。
また、震災復興にかかる財源確保について、消費税の増税は一気に不況に陥る可能性があることを自民党政権時代の経験から指摘し、国債を「復興債」として新たに発行し復興の財源を集めるべき、との見解を示されました。「国債がギリシャのように暴落するのでは、と心配する声もあるが、日本の国債は日本人によって95%が保有されている。そのため、ギリシャのように外国人投資家が国債を売り払って暴落するようなことは起こらない」、と話されました。ただ、800~900兆円もの借金は年20兆円の利払いも生んでいるため、支出削減と同時に、生産性を向上させ革新的なイノベーションによって経済成長を実現し税収の増加を得ていくことが復興のためにも重要であることを説明されました。
次に安倍氏は外交面について、中国とどう付き合っていくかが今後最大の課題、と強調されました。中国共産党は中国国民に高度経済成長を約束することで結束力を維持しているが、国の成長に応じて排他的経済水域を拡大しようとする点について、ナチスドイツの失策を引用して誤りであることを指摘。「尖閣諸島を含め東シナ海には多くの資源が眠っている。しかし軍事力によって我が物にすることはできないことを、日本は中国に確固たる決意をもって示さなければならない。そのためには日米同盟が揺ぎ無いことが不可欠です」、と話されました。
講演会後半では安倍氏と松本教授による対談となり、国と郷土を愛する一文を盛り込んだ教育基本法の改正、震災復興を巡る官邸の舞台裏、少子高齢化に向かう中国への対応など、日本は震災と同時に世界と今後どう対峙していくべきかについて語られました。
最後に安倍氏は、天皇陛下が震災の被災者や国民に発せられたメッセージの中で、「雄々しさ(おおしさ)」というお言葉があったことに触れ、これまでにも日本が未曽有の事態に陥ったときに、日本人が持っている「雄々しさ」で乗り越えてきた、今度の震災も必ずや雄々しく立ち上がることができる、と日本立て直しに向け熱のこもったメッセージを発せられました。

次回の第2回特別講演会(6月11日)は、「宗教国家アメリカ」と題して、麗澤大学教授の堀内一史氏に講演いただきます。