麗澤大学 経済社会総合研究センターの研究成果が国連等が進める 『国際不動産価格指数ハンドブック』に採用
2011.5.25

2008年のリーマンショックを契機に発生した世界的な経済危機は、米国・欧州の住宅価格の大規模な上昇と下落といったことが引き金となりました。そのような中で、IMFはG20に対して、「金融危機と情報ギャップ」としてレポートを提出し、2009年には採択されました。その中には、不動産価格指数を各国で共通の尺度で整備することが義務付けられました。 
それを受けて、2009年5月から国連・IMF・OECD・世界銀行が共同で、価格指数のためのハンドブックの整備が開始されました。 
麗澤大学経済社会総合研究センターでは、「不動産価格指数の開発に関する基礎的研究」(代表・小野宏哉 経済学部教授/副学長)を1999年から2000年にかけて実施してきました。その研究成果は高い評価を得るとともに、2010年には、小野教授のほか、麗澤大学経済学部の高辻秀興教授、清水千弘教授、日本銀行の西村清彦副総裁との連名論文として、国際学術誌に掲載されました。

Shimizu, C, H.Takatsuji, H.Ono and K. G. Nishimura.(2010), “Structural and Temporal Changes in the Housing Market and Hedonic Housing Price Indices,” International Journal of Housing Markets and Analysis,Vol.3,No.4,pp.351-368.

このほど(2011年5月3日~5日)、ニュージーランドのウェリントンで開催された国連統計委員会物価指数専門家会議で、『不動産価格指数ハンドブック』の最終稿の概要が公表されました。そのなかでは、小野教授らが開発した「Rolling Windowヘドニックモデル」が、最も推奨すべき手法であると、上記の論文が引用される形で明記されることとなりました。加えて、アイルランド政府は当該手法を採用した不動産価格指数を、2011年5月13日に公表しました。わが国においては、その研究成果は既に実用化されており、2001年からBloombergやロイターを通じて、日本で最初の市場価格を用いたヘドニック型住宅価格指数として公表されるとともに、金融機関などのリスク管理指標として広く利用されています。今後、小野教授らが開発した手法が広く世界の中で採用され、国際的に統一のとれた統計整備に貢献していくことが予想されています。日本の政府関係者によると、このような国際的な統計整備に対して日本が貢献した数少ない事例の一つではないかと指摘されています。

小野教授は、「この研究は、麗澤大学経済社会総合研究センターにおいて、東京海上やリクルートなどが参加し、産学共同で実施してきた10年前の研究成果です。当時の最先端の研究技術を投入し研究開発を行ったものです。本学の研究水準の高さを、世界に示すことができたものと思います。2000年以降においても、金融機関と共同で、不動産投資のリスク管理指標の開発などを進めるとともに、広く社会に還元するために、教育機関として公開講座などを開催することにも努めてきました」とコメントされました。
大学に求められる機能としての研究と、それに基づく教育を通じた社会還元などを実施した模範的な事例であると考えられます。
ウェリントンで開催された国連統計委員会専門家会議には、廣池学事振興基金の研究助成を受けて、清水教授が代表で出席し、講演を行うとともに、ハンドブックの一部の執筆を担当しました。

麗澤大学副学長・小野宏哉

麗澤大学副学長・小野宏哉