【開催報告】千葉工業大学惑星探査研究センター研究員の松本亜沙子氏による講演

平成23年度比文研セミナー『文明シリーズ』の第3回目が、麗澤大学生涯教育プラザで平成23年9月29日、千葉工業大学惑星探査研究センター研究員の松本亜沙子氏を講師に迎え、「生命誌からみた文明」をテーマに開催され、約60名の参加者が熱心に聴講しました。
今回の講演は、松本氏の専門である海洋生物学の観点から見た「東洋」と「西洋」の比較をお話いただき、「西洋の生命体系と東洋の人の視点」、「外界への探求、海洋へのアプローチ」、「生命の体系化とその限界」の三つの小テーマを中心に行われました。

生物が人間の役に立つかどうかに注目した東洋と、生物を細かく分類、体系化してきた西洋では発想や観点に大きな違いがあり、そのルーツは古代のアリストテレスの時代にまで遡ることができるようです。近代以降、貪欲なまでに探査と調査を繰り返し、数え切れないほどの標本を採集し、それらを分類、体系化してきた西洋の生物学は東洋人からも「東洋のそれより遥かに進んだ科学文明」として認識され、「進化論」に代表される生物に対する人間の視点を作り上げてきたのが事実です。
しかし、皮肉にもその科学の発達により(主に海洋生物学の分野では)「水深600mより深いところには生命が存在しない」という仮説が覆され、またその後の「水深7000mより深いところには生命が存在しない」というも仮説もあっさり覆されるなど、度々起こる新たな発見により、その都度既存の理論に新種の生物を取り込むべく生物の体系を新たに書き換えてきた作業が既に限界に達しているようです。もともと、ダーウィンの進化論以降、固く信じられてきた進化の体系そのものがどうやら人間が思っていたものとは違っていた、ということが近年の研究から明らかになってきたようです。「人知が及ぶ範囲が全て」と考えてきた西洋科学の限界を乗り越えるべく東洋的な価値観が新たな観点として注目され始めているようです。
最後はフロアからも、普段はあまり耳にすることのないこの珍しいテーマに関して多くの質問が寄せられ、討論が行われました。

(麗澤大学 大学院生 記)

講師の松本亜沙子氏

講師の松本亜沙子氏

海洋生物学の観点から

海洋生物学の観点から

珍しい写真資料など

珍しい写真資料など

西洋の海洋探査史について

西洋の海洋探査史について

質疑応答①

質疑応答①

質疑応答②

質疑応答②