放送大学教授・評論家 高橋和夫氏が講演
2012.8.6

麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田 各市教育委員会および柏商工会議所)の平成24年度前期第4回目が8月4日に開催され、放送大学教授・評論家の高橋 和夫氏が講演されました。講演テーマは「危機の中東情勢を読み解く」で、225名が熱心に聴講されました。

高橋教授は、アメリカとイランとの対立構造、緊迫した状況のイスラエルとイランの関係、周辺諸国のシリア・イラク・エジプト・トルコなど、中東を取り巻く諸問題に関して、スライドを使用して幅広く解説されました。

まず高橋教授は、イランという国について理解する必要があることを強調されました。「イランは中東の中でも大国であり、ペルシア人が大半を占め、ペルシア文明を誇りに感じている国である。ペルシア人こそが世界の中心-いわば中東版の中華思想を持っている国であることを理解しなければならない」と解説されました。

また、アメリカとイランとの対立関係については、日本の報道ではイランの核開発が原因とされていますが、高橋教授は北朝鮮とイラクとを比較され、「核兵器を開発していることを宣言している北朝鮮は残り、核兵器を持っていなかったイラク・フセイン政権はアメリカに倒された。イランはイラクと同じ道を歩まないだろう」と説明されました。

近年、緊迫した状況にあるイスラエルとイランの関係について、イスラエルのネタニヤフ首相は好戦論を主張しているが、イスラエルの世論調査では国民の4分の3が戦争を反対していると解説。また、爆撃の際にも空中給油しなければならない状況の中で、本気で戦争をするのは難しいのではないか、と追求されました。

さらに、イスラエルで歌の女王といわれ、国民の間では最も親しまれている女性歌手リタをとりあげられました。リタはイランで生まれ、幼少の頃に両親と共にイスラエルに渡り、歌手としてブレーク。現在、イランでは禁止されている曲でありながらも、アップビートにアレンジして母国語のペルシア語で熱唱し、イランでも大きな話題を呼んでいると紹介されました。

このようなイスラエルとイランとの関係は、政府と国民の間に大きな隔たりがあり、国民感情としては敵愾心は起こらないのではないかと論説されました。

最後の質疑応答では、「日本はイランに対してどう対応すべきか」との質問に対して、高橋教授は「日本はアメリカと立場が違う国であり、イランからも石油を輸入している。日本の国益としてはアメリカにすべて従うという単純なことではなく、日本とイランとの関係について一層理解を深める必要があるのではないか」と発言され、盛大な拍手とともに締めくくられました。