麗澤大学教授・評論家 松本健一氏が講演
2012.10.18


麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田 各市教育委員会および柏商工会議所)の平成24年度後期第1回目が10月13日に開催され、麗澤大学教授・評論家の松本 健一氏が講演されました。テーマは「首相官邸の窓から見えたもの」と題して、約330名の方々が来場し熱心に聴講されました。

松本教授はまず、2010年10月から翌2011年9月までの期間、菅内閣の内閣官房参与に任命されていた時期について、「当時私は東アジア外交・東アジア共同体に関する分野を担当していたが、在任中に東日本大震災が起こった。まさにこのことは、私にとって大変な運命であると感じた」と述べられました。また、「その当時は放射能物質がいったいどこに飛ぶのか? 人体にどのような影響を及ぼすのか? といった放射能に関する専門家が官邸にいなかったために混乱状態だった」と、当時の様子を振り返り語られました。

次に、領土問題を発端とした日中の外交問題について言及されました。松本教授は「外交問題は根本は歴史問題である。従って尖閣諸島を論じるためには、尖閣諸島の領有の歴史を理解している人物が官邸にいなければならない」と述べ、さらに、日本が近代国家として成り立つ上での3つの条件を主張されました。それは、「第1に領土を確定すること、第2に国家の人口を把握していること、第3にその国家の主権は誰にあるのかを確定していること。この3つが確立していなければ近代国家とは呼ぶことができない」と述べ、日本に対して鋭い視点で問題提起をされました。

最後に、東日本大震災の復興計画について資料を基にご自身の見解を述べられました。「岩手県は田老地区に新たに高さ14.7mのコンクリートの防潮堤の建設を計画している。しかし、その高さの防潮堤では3.11の津波の高さよりも低い上に、当然海も見えづらくなり景観が損なわれる。そのような復興計画でよいのだろうか」と疑問を投げかけられました。

さらに、内閣官房内に設置された「東日本大震災復興構想会議」について、「この会議の構成員は学者ばかりで構成されていた」と疑問視され、「私が内閣官房参与の時に感じたことは、『事件は会議室で起きていない。現場で起きているのだ』とつくづく実感した」と振り返られ、この大震災を機に政治そのものが大きな変革に取り組むべきだとの考えを示されて、会場は大きな拍手とともに閉会しました。