【開催報告】ノンフィクション作家・佐山 和夫氏

平成24年8月2日、平成24年度比文研セミナーの第3回目が、麗澤大学生涯教育プラザにて開催されました。ノンフィクション作家でいらっしゃる佐山和夫氏をお招きし、「アメリカのベースボールと日本の野球」をテーマに講演が行われ、約80名の参加者が熱心に聴講しました。

「アメリカのベースボールと日本の野球は根本的に違うものである。」

本日の講演は2時間に渡りこの根本的な違いを探る内容となりました。ベースボールに始まり野球へと姿を変えた、私たちが知っているあのスポーツは思いの他様々な要因と偶然が重なり、現在の姿に変貌を遂げたようです。
野球の起源は古くはエジプトの太陽信仰の時代にまで遡るらとのことですが、現代野球の直系のルーツはイギリスに存在したボール遊びが移民によってアメリカに持ち込まれたところから考えるのが妥当だそうです。ボール遊びはやがて老若男女誰もが参加でき移民社会を束ねた「タウンボール」に姿を変え、幾種類かの派生形が生まれたそうですが、1845年、その一つであった「ニューヨークゲーム」を基に、ルールを確立させたのが、私たちが知っているベースボールの原型になりました。ベースボールが日本に伝わったのは明治5年のことでした。お雇い外国人として旧制第一高等学校(現東京大学)にて教鞭を取っていたアメリカ人のホーレス・ウィルソン(Horace Wilson)氏が、勉強ばかりしていた学生たちを憂い、体力を鍛えさせるため教えたのがその始まりであるそうです。た彼が「野球の技術」を広めた一方、同じく一高の教師であったイギリス人のフレデリック・ウィリアム・ストレンジ(Frederick William Strenge)氏は「フェアプレイ」という「野球の精神」を教えることになります。この両氏の教え子である中馬庚(ちゅうまん かなえ)氏によりベースボールは「野球」という名を得るようになりました。アメリカとは真逆の、純粋なアマチュアリズムに基づいた日本の野球は「一高の校技」として、武士道にも通ずるフェアプレイの精神とともに日本全国に広まっていくことになります。
このようにアメリカのベースボールと日本の野球は、一見同じスポーツを楽しんでいるように見えていたのが、実はその背景に「お金で動くプロのエンタテイメント」と「清く正しく心身を鍛えるための野球道」といった、真逆の文化的相違の存在していたのですから驚きです。


講演の最後には約30分間に渡りヨーロッパと野球の関係、野球の祖先と考えられるスポーツの数々についての質問応答や補足説明が行われ、最後は大きな拍手をもって無事講演を終えることができました。

(麗澤大学 大学院生 記)

講師の佐山和夫氏

講師の佐山和夫氏

満員の中開催

満員の中開催

図を使って説明

図を使って説明

松本センター長

松本センター長

熱心に御講演

熱心に御講演