『マネジメント・テキスト ビジネスエシックス[企業倫理]』日本経済新聞出版社、2013/04

マネジメント・テキスト ビジネスエシックス[企業倫理]

 

本書の構成は、「社会に中において、企業はどうあるべきか、どう行動すべきか」という基本的な問いに応える形で3つのアプローチをもとにして進む。第1部は、哲学的なアプローチとして、基本的な問いを検討するための基礎的な哲学を提示する。提示されるのは4つの社会哲学(功利主義、自由至上主義、社会自由主義、共同体主義)である。各章において、それぞれの視点から、4つの哲学が求める企業像を探っている。第2部は、国際的なアプローチとして、企業活動とグローバル化を中心に論じている。はじめにWTOの自由貿易ルールを確認し、企業が直面しうる具体的なグローバルレベルのリスクを取り上げそれぞれの倫理的課題を検討している。第3部では、国家的なアプローチとして、日本企業のビジネス社会における倫理的課題と具体的な提案を行われている。過去の政府の失策や日本企業の問題行動を検討し、今後の日本企業はどのように方法に進むべきかを論じている。

ビジネスエシックスや企業社会責任に関するこれまでの議論を押さえ、また著者自身が関与した政策決定や第三者委員会における経験などを踏まえ、著者独自の哲学、洞察、分析が本書全体を通じて展開される。
これまでビジネスエシックスに関する研究は様々な形で積み上げられてきたが、学術の枠を超えて実務家までに波及するものは少なかった。それゆえ、コンプライアンスにかかわる課題などを体系的に学びたいという読者、グローバル・リスクへの対応を考えている実務担当者、企業の抜本的な意識改革を図ろうとする経営者などに、本書を推薦したい。