麗澤大学大学院 経済研究科教授 ラウ シン イー 氏が講演
2013.12.19

麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田 各市教育委員会および柏商工会議所)の平成25年度後期第3回目が12月7日に開催され、麗澤大学大学院 経済研究科のラウ シン イー教授が、テーマ「日本はアジアを活かせるか?」と題して講演されました。当日は143名の方々が来場し熱心に聴講されました。

まず、マレーシア出身のラウ教授が日本に留学に来られた経緯について説明されました。1970~80年代、日本経済は「Japan as No.1」と世界から関心が寄せられたころ、マレーシアにおいてはマハティール首相による「ルック・イースト政策」(日本型経済を見習う政策)がとられ、その国策の一環として多くの留学生が日本に派遣され、ラウ教授もその一人として日本に留学することになったと説明されました。

ラウ教授は、日本が高度経済成長から一転、”失われた20年”といわれる現在の状況について、「世界は変わっている。しかし残念ながら日本は静止衛星のように止まっている」と指摘されました。ラウ教授はその原因について、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の黒川 清委員長による『報告書』の中に端的に示されていると述べられ、その一節を紹介されました。

「ほぼ50年にわたる一党支配と、新卒一括採用、年功序列、終身雇用といった官と財の際立った組織構造と、それを当然と考える日本人の「思いこみ(マインドセット)」があった。経済成長に伴い、「自信」は次第に「おごり、慢心」に変わり始めた。入社や入省年次で上り詰める「単線路線のエリート」たちにとって、前例を踏襲すること、組織の利益を守ることは、重要な使命となった。」

ラウ教授は、「20年前に比べて、確かに日本は物質的には変化したが、まだまだ国際社会を変える力はない。同時に、日本の姿を変える力にもなっていない。それは”マインドセット”が変化していないためである」と指摘されました。

次に、本テーマである「日本はアジアを活かせるか?」について言及されました。中国が経済的にも軍事的にも世界の脅威となっている現在の状況について、ラウ教授は、「日本は大国・中国と単独で渡り合うには不利です。しかし、ASEAN(東南アジア諸国連合)と連携できれば、中国に対抗することができるでしょう」と話されました。

ラウ教授は、今後のアジアの発展について、「アジアは、2030年には中間層が30億人を超えて世界の66%となり、消費額は32.6兆ドルと、世界全体の60%を占めるようになると予測されています。そして、2050年にはアジアのGDP(国民総生産)が世界の50%を占めるようになるとも予測されています。日本はアジアを活用できるのか? それは、日本がいかにASEAN諸国と仲良くすることができるかが大きなポイントとなるのです」と解説されました。

ラウ教授は、現在、安倍首相がASEAN諸国を訪問したり、”クールジャパン”の売り込みを行ったりする政策について、一定の評価を示されつつも、注意を喚起されました。ラウ教授は、「日本はODA(政府開発援助)として、鉄道敷設やインフラの整備等で多額の協力金を提供すればASEAN諸国と仲良くなれると思っているが、それは大きな間違いです。中国は、日本が作ったインフラを利用して中国製品を売り込み、裏では政府要人を贈賄で買収し味方につけようとするでしょう。中国は日本を利用しようとしていることを忘れてはなりません」と述べられ、今後の日本がとるべき政策について、警鐘を鳴らされました。

ラウ教授は最後に、「ASEANは、宗教・歴史・生活・価値観等がそれぞれ異なる「多様性」のある国々です。日本はその「多様性」を尊重し、人材を育成して多元的に付き合う必要があるのです」と述べられ、盛大な拍手とともに講演会を締めくくられました。