2015年度 日本の投資不動産の構造分析

 非流動性資産である不動産と他の流動性資産(金融資産など)とからなるポートフォリオは、不動産が本質的に長期保有であることを考えると、全体として長期ポートフォリオとして構築しなければならない。本研究は不動産を含む多資産長期ポートフォリオの構築手法について考察した。考察は次のサブテーマに分かれる。(1)不動産の非流動性とは「即時的な運用ができないこと」である。その要因は①不動産の売買に取引費用が発生するため一定期間以上の保有を必要とすること、②売却には市場滞留時間(TOM: time-on-market)が発生すること、などである。これらの点について既存研究のサーベイを行った。(2)流動性を擬制したときの不動産を含む多資産ポートフォリオでは不動産の保有比率が高く出ることを確認した。(3)不動産の非流動性を考慮した多資産長期ポートフォリオの計画期間末の資産保有の期待効用を最大化するような動学的モデルを構築した。べき型効用関数を加法分離型効用関数に近似して動的計画法に基づくモデルとして構築することができた。これらの成果はWPとして2015年度に発表する予定である。

 

◎高辻 秀興 経済学部・教授
 鈴木 英晃 ㈱IPDジャパン