【開催報告】平成26年度第2回公開研究会開催

平成27年1月13日、平成26年度第2回公開研究会が校舎あすなろにて開催されました。今回の研究会では、Xavier大学のSubhasis Ray教授に、「インドにおけるCSRの最新の動向」というテーマで講演して頂きました。

「CSR(企業の社会的責任)とは何なのか」という問いを投げかけた時、十人十色の答えが返ってくると思います。この問いに対して、これまでにも多くの議論がなされてきましたが、社会が多様化する中、明瞭な答えを導き出すことは増々難しくなっていくのではないでしょうか。Ray教授の講演では、グローバル社会における「CSRの多様化」について考えさせられました。

 インドでは、目覚ましい経済発展に伴って、CSRへの取り組みも進められてきました。CSRと言えば企業の主体的な活動というイメージがありますが、インドでは、国家的にCSR活動を推進しています。具体的には、2014年より、「強制的なCSRに関するガイドライン」(The mandatory CSR guideline)が発行されました。これにより、企業は、利益の一定割合をCSR活動に充てなければなりません。企業は、CSR活動への費用を支出する必要があり、もし実行しなかった場合は、その理由を政府に説明しなければいけないのです。一見、CSR活動を促進するため効果的な取り組みであると考えられますが、企業がどのようにCSR活動を実行していくのかが問題として挙げられます。Ray教授は、「従来通りのCSR活動では、持続可能な発展をもたらすことは難しい」と指摘しました。つまり、企業は、一過性のものではなく持続可能な発展という観点から、CSR活動を推し進めていく必要があるということです。

 Ray教授は、企業による事業支援の事例を交え、コミュニティとの調和的な関係構築の重要性を説いてくれました。インドのある地域では、生理用品が普及していなく、多く母子が死亡しているという問題を抱えています。そのため、ある企業では、現地の女性団体に対し、生理用品の生産支援を行っているのです。ここで重要な点は、企業が問題解決するのではなく、その地域自身で問題解決をできるように企業が地域の自立を促すということです。これにより、企業と地域が共に持続可能な発展を実現していくというわけです。

このように、現在のグローバル社会では、様々な形のCSRが混在しています。「CSRとは何なのか」という問いに答えることは簡単な事ではありませんが、「CSRの多様化」という視点が1つのヒントを与えてくれるかもしれません。

今回の研究会では、終始にわたり、活発な議論が行われました。教員だけでなく、多くの学生も議論に参加し、その中には留学生の姿もありました。世代、文化の垣根を超えて、様々な意見が飛び交うその光景は、正に多様化が進む社会であるからこそ実現できるものであると感じました。

(経済研究科博士課程1年 藤原達也 記)