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2015.02.23|最終更新日:2020.07.30|

公開講演会「日本でいちばん大切にしたい会社」を開催

平成27年2月14日、企業倫理研究センター主催(公益財団法人モラロジー研究所企業部共催)の公開講演会が校舎かえで1503教室にて開催されました。今回の講演会では、法政大学の坂本光司教授に、「日本でいちばん大切にしたい会社」というテーマで講演して頂きました。

「日本でいちばん大切にしたい会社とはどんな会社なのか」と問われた時、どのような答えを私たちは導くことができるのでしょうか。株価が高い、増収増益が続いている、給料が良いなど、様々な要因からその答えが導けると思えます。どれも誤りではないかもしれません。そのような数ある答えの中で、坂本教授が私たちに教えてくれた答えは、「とことん人を大切にする会社」ということでした。

坂本教授によれば、人を大切にする会社とは、以下の5人の幸せを追求している会社だそうです。⑴社員とその家族、⑵社外社員とその家族、⑶現在顧客と未来顧客、⑷地域住民とりわけ障がい者等社会的弱者、⑸出資者・関係機関。そして、間もなく「人を大切にする会社の100の評価基準」が公表されるとのこと。今回の講演では、その中で特に「人員削減をしていない」「取引先の財務状況を圧迫していない」「障がい者法定雇用率を遵守している」という3つの基準に着目されました。

経営の究極目的は、人を幸せにすることである。業績や利益を得ることは、人を幸せにするための手段であり、その逆であってはならない。だから、いちばん大切なもの(=人の幸せ)を第一に考えなければならないのです。そして坂本教授は、取引先にも「社外社員」という言葉を使い、社員の一部なのだから、コストダウンを強要して社外社員を泣かせるようなことをしてはいけない、というのです。

さらに、坂本教授は、障がい者雇用に対する企業の姿勢を重視されます。障がい者の法定雇用率を満たさなくても、罰金を支払いさえすればよいとする考え方は酷い。法定雇用率をギリギリ満たしている企業にも「法律さえクリアすれば良い」という考えが表れており、そこに思いやりや愛は感じられない。「自分の子供が障がい者であった場合に同じ考えに至るのか」という視点が必要である。だから、障がい者も幸せにするべき大切な人々と考える会社でなければならない、というのです。

私は、坂本教授がこのような考えに行き着いたのは、教授が心より人々の幸せを願っておられるからだと思います。坂本教授は、家に帰ったら何よりもまずメールや手紙を読んで返事を出すと言われました。これは、1秒でも早く困っている人々の助けになりたいからだというのです。数多くの中小企業研究に基づく経験だけでなく、坂本教授が「人々を幸せにしたい」という強い想いを持っていたからこそ、今回の講演内容があるのだと感じました。

今回の講演会には、約270名にも及ぶ参加者がありました。「日本でいちばん大切にしたい会社」とは、「人をとことん大切にする会社」「人の幸せをいちばん大切にする会社」であるという坂本教授の熱い想いは、きっと参加者の皆様の心に強く響いたのではないでしょうか。

(経済研究科博士課程1年 藤原達也 記)