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2015.02.27|最終更新日:2020.07.24|

麗澤オープンカレッジ長・経済学部教授の成相 修 氏が講演

IMG_8275麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田 各市教育委員会および柏商工会議所)の平成26年度後期第3回目が12月6日(土)に開催され、麗澤オープンカレッジ長の成相 修 氏が、テーマ「いま、問われるアベノミクス」と題して講演されました。当日は218名の方々が来場し熱心に聴講されました。

当初は12月6日の第3回目には衆議院議員の中谷 元 氏による講演会を予定されていましたが、衆議院議員総選挙の時期と、松本 健一 教授の突然に訃報により、成相 修 麗澤オープンカレッジ長が急遽、講演されることになりました。

成相教授は冒頭、故 松本健一教授と、生前親しく交流があったことの思い出を話されました。成相教授は、「松本先生はまさに博識な方でした。保守系の方からは左翼、リベラル系の方からは右翼と呼ばれていた存在でしたが、本人はそういったイデオロギーの枠組みを超えた、真に優れた思想家でした。一緒に仕事ができたことは、光栄に感じています」と当時を偲ばれました。

成相教授は早速本題に入りましたが、奇しくも12月6日は衆議院議員総選挙の投票日の一週前となったため、参加者の投票行動に影響が出ないように配慮し、”アベノミクス”の政策について、「1勝1敗1引き分け」(成果・批判・痛み分け)として評価をすると述べられ、講演を展開されました。

成相-修成相教授はまず、成果(1勝)として、主要経済指標について、生産活動・機械受注・輸出数量の指標が民主党政権時の下落傾向から反転しているデータを示され「経済全体の指標をみるとアベノミクスは一定の効果が表れている」と解説されました。また、インフレ率を目標の2%に上昇することは困難であるとしても、デフレは脱却したということは否定できない、また、中小企業も企業収益や雇用は、平均して若干改善しているとのデータを示されました。

 

次に、アベノミクスに対する批判(1敗)を解説。まず、GDP増加の3割は公共投資に支えられているとの批判はあたっていると指摘されました。また、「円安となっても過去の円高が長期間続いたため輸出は増えておらず、効果が出るまでに時間がかかっている。財政赤字が膨らみすぎた現在の状態は、専門家の見方では、財政破綻や高インフレが『来るか来ないか』ではなく、『いつ、どんな形で来るのか』に移ってきている」と警鐘を鳴らされました。

IMG_8315さらに成相教授は、「第3の矢は手詰まりの状態であり、TPPをテコにした貿易自由化・法人税引き下げ・雇用制度改革・女性の活用・農協改革等、いわゆる『岩盤規制』を打破するための強いリーダーシップが不可欠であるが、どこまで改革できるのかは疑問が残る」と示唆されました。

成相教授は、与野党双方の議論に欠落している問題(1引き分け)を解説されました。民主党政権時代には、社会保障制度の現状を鑑みて、三党合意で消費税率10%の引き上げが決められたのにも関わらず、今回の選挙ではどの政党も議論していないのはおかしい、と強く非難されました。

最後に、「例え消費税率を25%に上げたとしても、財政健全化にはまったく足りない」と指摘されました。成相教授は、「社会保障制度改革を進めなければならないが、どの政党・政治家も自分たちの票のことばかりを気にして、財政状況を国民にきちんと知らしてこなかった責任は重い」と強く訴えられ、盛大な拍手とともに講演会を締めくくられました。