名古屋商科大学大学院教授の岩澤誠一郎氏が講演
2015.8.7

平成27年度麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田各市教育委員会および柏商工会議所)の前期第4回目が8月1日(土)に開催し、岩澤誠一郎氏(名古屋商科大学大学院教授)を迎え「もっと仕事を楽しみたい! ー日本人のためのワーク・エンゲージメント入門ー」と題して講演を行いました。当日は183名の方々が参加し、熱心に聴講されました。

  • IMG_9571まず、「ワークエンゲージメント」(以降WEと略記)について解説。「エンゲージメント」は婚約・約束から派生する「関わること」を意味し、「ワーク」(仕事)と結ぶ付けて、WEとは、個人と企業とが一体となり、互いのために貢献し合っている状況であると解説。
  • 次に、日本人のWEは他国と比較してどのような傾向にあるのか、いくつかの調査結果を基に紹介されました。
  • 世界各国の中堅~大手の従業員86,000人を対象に米・人事コンサルタント会社が行った調査(2006)では、自分の仕事に対する意向を[感情的な要素]と[理性的な要素]とに分けて質問を実施。結果は、メキシコ・ブラジル・アメリカの順でWEが高く、日本は最下位。また700万人を対象とした別の調査結果(2014)でも同様に、日本は最下位という結果であったと紹介されました。その調査内容から岩澤教授は、日本人がWEに関して課題意識を持った方がよい背景について、以下の3点を述べられました。
  • 1.職業に関する人々の意識変化

NHKが1973年から5年毎の実施調査「日本人の理想の仕事」では、「勤務時間が短時間である・失業の心配がない・健康で働ける・高収入・仲間に恵まれる・責任感のある仕事に取り組める・専門性が活かせる・その職業に就くことで名声が高い・社会貢献ができる」の10項目の結果を解説。

2015年度の調査結果では、日本人は「仲間」を最も優先しており、2番目が「健康」、「失業」「専門」「貢献」「収入」「時間」「独立」「責任」「名声」の順で、仲間と社会貢献が増加傾向で、健康と収入は減少傾向にあり、その点について岩澤教授は、「人々は楽をしたいわけではなく、日本人はWEを求めていると考えられる」と説明されました。

  • 2.産業構造の変化について

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世界49か国を対象とした「働き甲斐のある企業についての調査」(1981年)では、働き甲斐のある会社に必要なものとして挙がった内容は「信頼・誇り・連帯感・職場における質の高い人間関係」が重要との調査結果であったことを提示。

また、2015年度の内容で高い評価を挙げた企業は、グーグル・ボスコン・アキュリティの順。全体的に順位が高い業種はサービス業がほとんどであることから、それは産業構造の変化を反映していると伝えられました。日本での同様の調査でも外資系がトップを占め、第三次産業の就業傾向が高まっており、国際的なトレンドになっていると説明されました。

3.日本企業の国際化について

管理職の質に関する国際調査では、日本人管理職は評価が低い結果であると示され、日本企業は管理職のマネジメントスキルを大事にしていないことが背景にあるのではないかと考えられると解説。海外ではマネジメントスキルがある人物がマネージャーに登用されることが普通であるが、日本企業では専門的な技術・営業成績に秀でた人物がマネジメントスキルと関係なくマネージャーに登用されることが多い傾向にあることが問題であると指摘されました。

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岩澤教授は、「日本の管理職は、傾向として、部下のモチベーションを把握したうえで、それにふさわしい仕事を与えるマネジメントスキルが低い」と指摘。WEの達成には、「モチベーション」が重要なカギを握るとして、「人間の心に本来備わっている欲求とは何か」について、「自律性」・「有能感」・「関係性」の3点の充実度であるとしている。

  • 最後に、「世界の中で最低水準である日本のWEを向上させるためには、就業環境として『自律性を尊重』『関係性』『有能感』を醸成する企業風土をつくり、社員自らが成長を実感できる環境を生み出すことが大切です。上司と部下が、コミュニケーションをとりモチベーションの向上を推進することが、これからの時代に日本人管理職や企業に求められています」と力説され、盛大な拍手とともに講演会を締めくくられました。