【開催報告】言語研究センターシンポジウム「外国語教育における発音指導:普遍性と個別性」

去る12月5日、平成27年度麗澤大学言語研究センターシンポジウムが校舎あすなろにて行われました。今回のテーマは「外国語における発音指導:普遍性と個別性」です。ドイツ語、英語、中国語を専門とされている先生方にそれぞれの言語における発音指導についてご講演いただきました。

 

草本晶氏(麗澤大学外国語学部准教授)「こうすればうまくいくドイツ語発音指導」

最初に発表されたドイツ語がご専門の草本先生は、発音が悪ければどれほど素晴らしい内容でも伝わらないとし、発音指導の重要性を示したうえで、ドイツ語の発音指導のポイントと実践例を紹介されました。

発音指導のポイントとしては、「ドイツ語の特徴(日本語と異なる点)を認識させる」、「調音のしかたを理解させる」、「継続的にトレーニングさせる」の三点が挙げられます。ドイツ語の特徴を認識させる点については、それを学習者に理解してもらうために、歌を利用したり、身体を動かしたりするなど様々な方法があるということでした。調音のしかたについては、ウムラウトを例に調音の部位を意識させる実践について説明されました。「継続的にトレーニングさせる」ことに関しては、少人数で発音を細かくチェックしたり、オンライン語学教材、その他ITツールを利用したりすることが可能ということでした。

最後に発音上達のポイントとして、「継続的なトレーニング」「たくさん聞いて真似をする」「音読をする」「調音のしかたを知っている人にチェックしてもらう」といった点が挙げられていました。草本先生のお話から発音指導がさまざまな方法で実践できることがわかり、発音指導のイメージが広がりました。

 

靜哲人氏(大東文化大学外国語学部教授)「こうすればうまくいく英語発音指導」

次に発表された靜先生は、英語、特に発音指導がご専門です。発表ではまず、「世界の諸英語」時代の英語の発音指導の意義を述べたうえで、ノンネイティブの教員の役割について説明されました。

発音指導に関しては、学習者自身が自分の問題点がわからないままになってしまわないよう、その都度発音を修正する必要があるそうです。また、日本語母語話者が苦手とする発音についても、日本語のフレーズを意図的に英語の音で発音させ、違いを意識、練習させる方法が提示されていました。英語のリズムについては、目に見える形で理解させる方法が紹介されていました。音読をするのにも教師はそれをよく聞き、具体的なフィードバックや注意すべき点を明示するといった点がポイントとのことでした。その他、「グルグル・メソッド」という指導法も紹介されていました。これは、教師が一人一人の発音のチェックをする方法で、同時に学生が自分の発音の練習ができるそうです。

靜先生のユーモアのあるたとえ話に笑いも起こり、和やかに講演が終わりました。

 

平井和之氏(日本大学文理学部教授)「こうすればうまくいく中国語発音指導」

最後に発表された中国語がご専門の平井先生は、どの学習者にも通じる「最大公約数的な指導法」があるのではないかと考え、最終的に正しい発音ができるように導いていく発音指導について言及されました。そして、模範録音の問題点を挙げ、発音指導について気がついた点を紹介されました。

母音や子音の発音の仕方については、様々な方法やステップが口の形のイラストや写真とともに紹介され、表情豊かな先生のお話に参加者も引き込まれていました。日本人がどのようにすればうまく発音できるのかポイントが挙げられ、発音するときのイメージをつかみやすく紹介されていました。声調については、まずは二重母音を用いて学習者に理解させる方法を実践されているということでした。

日本人には中国語の発音は難しいというイメージがありますが、平井先生が提示された発音のコツは、いずれも指導の体験から得られたものであるため、具体的でわかりやすく、思わず試してみたくなるものばかりでした。

 

発音指導の普遍性と独自性

先生方のご講演の後、質疑応答、そして発音指導における普遍性と個別性について、講演をされた先生方によりディスカッションがなされました(司会は望月正道外国語学部教授)。

発音指導の普遍性については、体を使って言語の違いを意識させる指導、コーチングの重要性のほか、発音の不備を指摘することによって学生のメンツが失われる可能性や、発音だけを取り上げる授業の是非について話し合われました。

発音指導の個別性については、学習のそれぞれの段階でどの程度学習者は発音に気をつけるべきか、という質問がありました。この質問に対し、草本先生、靜先生、平井先生から各言語の発音指導における立場が説明されました。学習者の発音については、どのように捉え、対応するのかは、先生により、あるいは言語により異なるようです。

参加者の皆さんは、各自自分の発音を確認したり、メモを取ったりしながら熱心に聴講していました。

平井先生ご講演の様子2ディスカッション