国際会議「ベトナムと日本の文化:融合および発展」に参加
2015.12.22

12月11日は、「ベトナムと日本の文化-融合と発展」というテーマによって国際シンポジウムが開催され た。8時半に始まったシンポジウムでは、始めにUSSH副学長のNguyen Khac Canh教授が挨拶に立ち、今後の日越関係発展のために、1.日越文化の相違点について、2.日越文化における融合要素および宗教における寛容性について、3.両国とともに継続発展を維持するための日越文化交流についての提案の3つのポイントについて議論を深めたい、と本シンポジウムに対する期待を表明した。

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 続いて、中山学長が「科学、宗教、道徳―比較文明論的考察―」というテーマで基調講演を行い、サミュエル・ハン ティントンの『文明の衝突』では文明と文化の違いがあいまいであるため、両者の相互関係が明示されていない。それがために普遍性を放棄して多様性を受けいれ るといっても、その領域が文化なのか、文明なのか、極めて曖昧である。筆者は外殻の文明だけでなく、内核の文化においても「通約化」の可能性をもとめるべきだと考えるが、その点において麗澤大学の創立者廣池千九郎が創建した道徳科学「モラロジー」はその実現に向けた一つの大きな試みであり、道徳の権威を復 活させ、道徳・倫理教育を再構築することが求められていると締め括った。

  
その後、2つの分科会に分かれ、数多くの発表と活発な討論が行われた。その一端を、堀内教授と犬飼教授が報告する。

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  12月11日午前9時15分から10時35分に分科会「日越の文化および宗教」について報告いたします。人文社会科学大学のチュン教授は「日本社会と国家における新たな宗教」と題して、近年のベトナムにおける新宗教の研究の遅れについて触れ、いくつかの事例を挙げながら日本の新宗教研究が示唆に富むことを指摘した。次いで、堀内は、「社会貢献する信仰集団:日本における信仰に基づくソーシャル・キャピタル(SC)」と題して、東日本大震災発生時のボラン ティア活動について、天理教および神社神道の事例を紹介し、多様な宗教的SCについて述べた。最後に、人文社会科学大学のリー教授が「日本の価値観」と題して、明治維新以降と第二次世界大戦後の二つの時期に限定して、日本の社会的、経済的、文化的発展について、勤勉などの日本の価値観が大きく影響を与えて いたことを強調した。3人による報告後活発な質疑応答が行われた。(堀内 一史 経済学部教授)

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046C2729 10時55分から正午までの第2セッションでは、まず最初に人文社会科学大学のリー教授が「神道の歴史と発展」と題して、神道の5つの発展段階と仏教、儒 教、道教との関係性について発表した。続いて犬飼が「地球倫理としての利他主義:諸宗教に通底するもの」と題して発表した。現代のイスラム教、仏教、キリ スト教を代表する3人の賢人たちの言説を紹介し、そこに「利己心の没却」「共感」「思いやりの心」「慈悲」「調和」「感謝」といったキーワードが共通して 見られることを指摘した。これらの徳目は「利他主義」という言葉で総括することができるものであり、21世紀の人類社会に「持続可能な調和」をもたらすた めに必要な「地球倫理」(global ethics)の根幹を成すものであると主張した。最後に、人文社会科学大学のカン教授が「日越の相違点と共通点」と題して、中国文化から受けた影響という視点から、日越の文化的相違点と共通点について発表がなされた。第2セッションにおいても活発な質疑応答がなされた。(犬飼 孝夫 国際交流センター長、外国語学部教授)

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  実質的な最終日となった12月13日は、USSHのダウンタウンキャンパスを訪問し、Sen学長を交え、今後の連携交流についての意見交換を行い、今回の 国際シンポジウムの成果を日越両語で論文集にまとめ、来年3月を目途にUSSH出版局から出版することが確認される等、今後の具体的な交流について確認で きたことは大きな成果であった。

  その後、ベトナム最大のタクシー会社であるMai Linタクシーの本社を訪問しHo Huy Invetment株式会社CEOのMai Hoang Son氏等と懇談した。同社は、USSH道徳研究センターの設立に協力した会社であり、同社からはタクシー運転手等従業員に対する道徳教育への協力につい て期待が表明され、道徳教育に対する関心の高さを実感した。

  同日の夜は、卒業生等に呼びかけ、市内のレストランで同窓会 を開催した。ホーチミンで仕事をしている人や、家族同伴で参加された方、わざわざタイのバンコクから駆けつけていただいた卒業生もあり、久しぶりの再会と それぞれの現状報告等で大変にぎやかで和やかな雰囲気で集えることが出来た。とくに、学生時代に学んだことや恩師の話等、卒業後の人生において大きな原動 力になっているという経験談が多く、これからの学生への教育にも大変示唆に富む意見をたくさん拝聴することが出来、大きな盛り上がりのうちに閉会となった。

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 今回のベトナム訪問では、学術交流、経営者等民間との交流、卒業生との交流という大きな目的を無事に果たすことが出来 た。また、経済発展が著しいベトナムは、社会主義国とは思えない勢いで成長していることも実感出来た。今後の交流拡大への期待を持つことが出来た訪問で あった。