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2016.02.26|最終更新日:2020.08.05|

【開催報告】平成27年度「周 祖城 教授(中国・上海交通大学)、崔 台煕 教授(韓国・KDI School)をお迎えしての研究会」

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中国・上海交通大学の周祖城教授と韓国・KDI Schoolの崔台煕教授をお招きし、部内研究会として意見交換が行われました。前半では、経済研究科博士課程の藤野真也より「グローバルリスクとしての外国公務員贈賄」をテーマに研究報告がなされ、そこで示された問題意識を土台に、広く腐敗問題や企業倫理全般に係わる内容へと議論が展開されました。

近年、腐敗行為を巡る規制の流れは、OECDを中心としたグローバルな体制構築から、中国、インド、ブラジルを始めとした新興国現地法による規制へと、議論の中心が移行しつつあります。

特に中国では、習近平体制による反腐敗の機運が俄かに高まっています。中国当局は「ハエも虎も一掃する」というスローガンの下で、官僚と企業の間で行われる贈収賄行為を徹底的に取り締まるという傾向にあります。取り締まりの対象には海外企業も含まれており、現にイギリスのグラクソ・スミスクライン(GSK)は贈賄罪で530億円にものぼる罰金刑を言い渡されています。こうした事態を受け、日本企業も無視できない程の大きなリスクに直面していると言えます。

また、OECDメンバーである韓国においては、外国公務員贈賄防止法が設定され、海外腐敗行為の摘発が行われています。こうした点に鑑みれば、今後はアジアにおいても、コンプライアンスあるいは企業倫理上の重要な課題として、腐敗問題が一層の注目を集めるでしょう。

周教授と崔教授は、各国の企業倫理における文化的差異の問題に強い関心を寄せられており、本学の中野教授とともに、グローバルレベルでの比較研究に取り組まれています。今後は、腐敗問題においても同様の研究が一層に盛んになることを期待し、本報告を締めたいと思います。

(経済研究科博士課程3年 藤野真也 記)