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教育・研究
2016.11.21

「税の週間」として特別講義を開催:テーマ・中小企業会計の実情

 11月15日の「国際会計基準論(IFRS)」の授業において、「税の週間」の特別講義として千葉県税理士会柏支部の横尾一徳氏(税理士)にご講演いただきました。先生には下記の3点を中心に、中小企業会計の実情と税理士の使命について丁寧にご説明いただきました。

 第一に、「税理士の職務とは~税理士は税法を専門分野とする法律家である~」と題し、税理士法上で定められている税理士の職務(税務相談、税務代理、税務書類の作成)をご紹介いただきました。とりわけ、税務相談のお話では税理士の無償独占業務であることを強調され、税理士は税法だけでなく、相続関係の場合には民法、会社経営では会社法と金融商品取引法が必要であるなど、税理士にはさまざまな法律の知識が必要であることを訴えられました。

 第二に、「中小企業会計の実情」に関して、大規模な企業の会計では「日本基準」や「国際会計基準(IFRS)」、「米国基準」等を採用しているが、中小企業で多く採用されている会計基準は「中小企業会計指針」と「中小企業会計要領」であるという現状をお話しいただきました。さらに、中小企業経営者に会計の重要性が浸透していない現状や、先生がクライアントに対して助言されている実例などをご紹介いただき、実際に受講生とQ&A方式で議論もなされました。特に、資金繰りに関する部分では、キャッシュ・フロー計算書を用いながら資金繰りの原理原則や税理士として会社の資金体質に対して重点的に助言している実情をご説明いただきました。

 最後に、「今後期待される税理士像」に関するお話の中では、専門家である前に人間力を身に着けること、法律家の自覚を持つこと、ディベート能力や論理的思考能力を高めることが重要であることをご教示いただきました。中小企業の身近な存在として、今後は日本のみならずグローバルな事業展開として国際税務にも精通する必要性を説かれ、会計によってクライアントの黒字経営を支援することは、日本再興戦略の達成にも繋がることをお話しいただきました。そして、講義の締めくくりとして、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」と定めた税理士法第1条(税理士の使命)の重要性についてご説明いただきました。

 横尾先生は講義に参加した学生との質疑応答にも熱心にお答えいただき、講義終了後には学生から会計税務の実務と会計理論の関係が理解できたなどの声が聞かれました。今後もこのような実務と触れ合う機会を増やし、学生の経営実務に対する知識を積み重ねていきたいと思っています。横尾先生、どうも有難うございました。

 

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