【開催報告】山下ゼミ主催第5回「ヒューマンライブラリー」
2017.8.25

平成29年7月9日(日)、山下ゼミの主催で、第5回「ヒューマンライブラリー」のイベントを麗澤大学「はなみずき」で開催しました。ヒューマンライブラリーとは、2000年にデンマークで発祥した、多種多様な語り手からお話を聞き、対話から異文化を学ぶイベントです。人が「本」(語り手)となり、さまざまな人生体験を語ります。読者(聴き手)は本(語り手)から30分間、1対1(1対5まで可)で話を聴き、自分自身についても考えることができる体験型イベントです。私たちのゼミでは、「異文化を学び、私たちを取り巻く社会と世界を包括的に考える」、「自己発見」、「いかに生きるかを考える」、の3つを目指し実施しています。

今回も3年生ゼミ長(田中一世さん)を始めゼミ生全員で力を合わせ、5回目のHLを実施しました。今回は「はなみずきCafé」の明るいオープンスペースにて、4年ゼミ長(石橋直杜さん)が淹れるコーヒーの香りと、最後の中国出身の留学生(呂宗潔さん)によるミニコンサートの演出に癒され非常に気持ちの良いHLとなりました。呂さんの一曲目は「皆はひとつの大きな家族、助け合うことの大切さ」を歌い、二曲目は「時間の流れと年老いていく父への感謝」を歌った曲でした。

岡本真理子、呂宗潔、加藤優佳 石橋直杜 田中一世、小林空哉、浦悠人

二見恭平、王東、藤井サムエル 王 東  

今回も魅力的な「生きている本」の方々にご参加いただきました。

1

アズマ(中国出身留学生)
『中国の一人っ子政策のなかで育った私』第二子として生まれた私。それは戸籍がもらえない「闇っ子」になるということである。中国語では黒孩子ヘイハイズと呼ばれている。戸籍がないと学校に行けず、病院で診てももらえない。そんな私が日本に留学するようになるまでについて語ります。

2

アヤナ(米国出身留学生)
『米国の高校生活について』私の祖国であるアメリカは、日本の約25倍の面積で人口は、約3億人です。そこには、色々な経験を持った人が住んでいます。アメリカでの私の高校生活や私の家族について話します。

3

ト沢彩子(A-live connect 特別ゲスト)
『I am alive. 苦しくて、でも最高に楽しい日々』子供ころから何度も性被害にあって心と体を壊しました。今でも理解されにくい痛くて苦しい部分もたくさんあるけれど、同時に楽しくて幸せなこともたくさんあってハイカロリーな人生を生きています。被害の経験やそれを含めた生き方のことなど、あなたの聞きたいことをお話しできればと思います。

4 スリヤ(インドネシア出身留学生)
『日本に来る前から今に至るまで:僕のこれまでの歩みと挑戦』2012年の高等学校卒業後;日本に来た理由;日本語学校時代;大学入学当時とその後の大学生活。そして、その過程の出来事や、気持ちについて話します。インドネシアの文化・宗教・生活についても語ります。
5

徐 チョンリム(韓国出身留学生)
『私の徴兵体験』韓国での徴兵制度について、そして、韓国での厳しい徴兵経験を通じて、どのように成長したかについてお話しします。

6 チュック(ベトナム出身留学生)
『ベトナムの文化と日本での体験』ベトナムの家庭の食事の様子、一般的な食べ物、お正月の祝い方や、ベトナムの北と南の文化の違い、そして、私が驚いたベトナムと日本の違いについて話します。例えば仕事の仕方、時間の使い方、列に並ぶ?並ばない?などについて話します。こられを聞くことで、ベトナム旅行が10倍楽しくなると思います。
7 デンライ(特別ゲスト)
『LGBTの世界:日本と中国の違い』セクシャルマイノリティーである私が、日本に来て感じたこと。日本と中国での、LGBTに対する認識の違いについて話します。
8 ハスニ(マレーシア出身留学生)
『知ってもらいたい本当のイスラム教』私が第一に伝えたいことは、「イスラム=過激派」というイメージを無くしてほしいということです。それを読者に伝えるため、無宗教である日本で暮らし、傷ついたこと悲しかったことを語り、また、イスラム教の「食生活」「恋愛」「断食」について、日本人が知らないことを話したいと思います。
9

ピピ(ミャンマー出身留学生)
『私がお坊さんになった理由』ミャンマーについてどのくらい知っていますか。ミャンマーと日本との文化の違い、家族のありかた、そして、私がお坊さんになった理由について語ります。

本役を務めてくれたゼミ生の王東(アズマ)さんは、次のような内容を語ってくれました。

昔の友人からもらった大切な言葉です。それは、私が他人の成功を羨望し堪えられなくて、自分のことに失望した時にくれた言葉です。「あなたが見ているのは他人の鮮やかな表面だけ、誰でも一生懸命自分の表面を鮮やかに見えるように頑張っている、誰でも他人に見せたくない裏面がある」。もう一つは「自分は何も持っていない、空っぽな人間だ」と落ち込んだ時に友人からくれた言葉です「あなたは持っているのは健康な体、それが全てだ」。友人から得たものは「幸福」です、私は生きているだけで幸せです。

語りの共有を通して、アズマさんを始め他の本役の方々一人ひとりの人生に共鳴することができ、中身の濃い2時間半でした。

読者(聴き手)数は、これまでのHL最高の累計81名となりました。教職員、近隣の方々、他大学の教員の方、中学生、留学生の友人の方々が参加してくださり、終始和やかで温かい雰囲気に包まれていました。感想については、本役から「日本語に自信がなかったが、話を熱心に聴いてくれて嬉しかった。感謝の気持ちでいっぱいです」「初めての体験で新鮮でした」「普段話せない内容を話せて嬉しかった」「少し疲れ気味だったが、温かい雰囲気ですごく和やかな気持ちになりました」;読者から「留学生の」「大学では勉強ばかりしていると思っていたが、こんなに楽しいイベントをしていることを知った。大学生は親切に接してくれた(中学生)」「留学生と普段関わっていても一人の人生を深く聞くことはないが、その人の背景を聞くことができてよかった。これからも留学生を支えていきたい(日本語教員)」「授業でしか聞いたことのない内容を直接留学生から聞くことができてよかった(本学学生)」「本の方々が皆明るくてよかった(近隣参加者)」;司書(ゼミ生)から「全体的にチームワークが取れていてよかった」「3,4年生が助け合って一つのイベントを仕上げることができた」「今までステレオタイプや偏見を持っていたことに気づいた」「日本のことを知らない自分に対してさみしい気持ちになった」「自分は日本を出たことがないが、留学生から日本のことを学んだ」「本役との2回の事前の読み合わせで、話の面白さを引き出すことができた」「留学生が楽しそうに語る様子を見て、自分もとても嬉しい気持ちになった」などがありました。

 今回の留学生に特化したHLで、特別ゲストの2名も含め、彼らの素顔や人生を垣間見ることができたことが大きな成果です。現在、本学では7人に一人が留学生という割合にもかかわらず、なかなか留学生と接触する機会が持てないのが非常に残念です。留学生の語りから学ぶことがたくさんあることに改めて気づかされました。またHLについての新たな気づきとしては、HLは読者も多様化することでダイナミズムが増大する。また興味深い点としては「はなみずきCafé」のオープンスペースが、環境が人や人々の関係性に与える影響(アフォーダンス)として効果的でした。その点で今回の「ミニコンサート」や「コーヒーの香り」は非常に効果的でした。改めて、HL実施にあたりお世話になりました大学関係者の方々、参加者の方々に感謝申しあげます。

(経済学部准教授 山下美樹)

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