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2007/10/02

車いすテニス世界チャンピオン、国枝君の「がんばり」の秘訣

学長として何よりも嬉しく誇りに思うのは、日本で、そして世界で、大いに活躍する卒業生の存在である。その代表的な一人に、最近、目覚ましい活躍を見せ ている、車いすテニス世界ランキング1位の国枝慎吾君がいる。このたび、国枝君は、アメリカのサンディエゴで開催されたUSオープンのシングルスで、見 事、優勝を飾った。これで今年開催された世界ツアーのメジャー4大会のすべてを制覇し、史上初の「年間グランドスラム」の偉業を達成したことになる。「お めでとう。ほんとうによくやったね」と、心からの祝福をおくりたい。

国枝君のことは、新聞紙上はもちろんのこと、すでにTBS「情熱 大陸」やNHK「おはよう日本」でも紹介されているので、ご存じの方も多いと思うが、麗澤高校、麗澤大学国際経済学部を卒業し、現在、麗澤大学に職員とし て勤務する、まさに麗澤スピリット溢れる好青年である。その母校愛と麗澤健児の気概を、彼の車椅子に貼られた麗澤大学のエンブレムに感じるのは私だけでは ないだろう。

障害を持っているにもかかわらず、どうしてあのように頑張れるのか、国枝君に聞いてみたところ、「3つの秘訣」を教えてくれた。省略したり、編集したりしては、ご本人の気持ちが伝わらないので、以下に彼の文章をそのままご紹介したい。

(1)「負けず嫌い」であれ

スポーツで成功を収める人物というのは、「負けず嫌い」でなくてはなりません。どんなに実力差があろうが、「負けたくない。絶対に勝つ」という感情を持つ 選手というのは、それだけで相手にとって脅威となります。「相手はあの強い選手だから、良い試合ができればいい」という性格の選手は勝者にはなれません。 また、良い試合ができればいいという気持ちでプレーするより、絶対に勝つという気持ちを持ったほうが、結果的に良いプレーができることは明らかです。

私は昔から自分の好きなことだけは、絶対に負けたくないという性格でした。野球でもテレビゲームでも、そしてテニスでも。負けた時の悔しさを味わうのが嫌で堪らないので、どんなに辛い練習でも乗り越えることができます。

(2)「可能性は無限大」

昨年初めて世界一位の座に就いたとき、全力で取り組まなくてはわからない世界が世の中には沢山あることを知りました。

高校一年の時に、初めて海外へ遠征しました。そこで見た世界レベルの高さは想像を絶しており、鳥肌が立ったほどです。それと同時に、あまりのレベルの違い に「自分には無理だ」と感じていました。ただ、当時本気で練習に取り組んでいたかというと、そうではなかったと断言できます。

私が本 気で取り組み始めたのは、麗澤大学に入り、運転免許を取ってからでした。それまでは練習に行くことも自分一人ではできなかったのですが、免許を取ってから は自分がやりたいときにやりたいだけ練習ができるようになりました。ハードに練習していくうちに、徐々に世界との差も縮まり、いつしか勝てるようになって いきました。そして、ツアーを回り始めて五年、念願の世界一位の座に就くことができたのです。

テニスだけでなく、どんなことでも、可 能性なんていうのは全力で取り組んでみなくてはわからない。本人にとって、とてつもない大きな目標でも、最初から諦めるのではなく、まずは全力で取り組む こと。諦めるという行為は全力で取り組んでからの選択肢ということを、車椅子テニスを通じて学びました。

世界一位になるまでは、 「○○選手に勝ちたい」というモチベーションで練習していました。しかし一位になってからは、誰の背中も見えない状況となりました。何ヶ月間かスランプ状 態に陥りましたが、自分自身で「答え」を探し当てることができました。それは「自分のテニスを磨き続けること」。これは永遠の課題です。自分がどれだけ強 くなれるのか想像つきませんが、全力で取り組み続ける限り伸びシロはいくらでもあると感じています。

(3)感謝の心を抱きながら

この一年間、試合で活躍すること以外にも、なにか私にできることはないかと考えるようになりました。車椅子テニスは私に幸せな人生を与えてくれました。こ の競技をやっていなければ見えなかった世界が沢山あります。スポーツを通じて素晴らしい方達と出会えたことにより、車椅子で生活していく勇気や夢が芽生え ました。

今度は私が、車椅子の子供たちに私の体験を伝えていく番だと思っています。幼い頃に車椅子になった私なら、彼らの気持ちに共 感できることが多いかもしれません。そして彼らが次代を引っ張っていく。それが車椅子テニスへ、私ができる恩返しと考えています。これからも支えてくださ る方々、車椅子テニスに感謝しながらプレーしていきたいと思います。


さあ、つぎは北京パラリンピックだ。強靭な体力と精神力をもつ君に不可能の文字はない。健康に気をつけて、さらに高い目標に向かって邁進してほしい。