1. ホーム>
  2. 未分類>
  3. 麗澤が社会に発信する企業倫理

2009/09/17

麗澤が社会に発信する企業倫理

今年は開学50周年を記念する行事が目白押しであるが、その最大の対外的イベントのひとつである企業倫理シンポジウムが、読売新聞社との共催で「持続可能な社会の構築にチャレンジする企業」をテーマに、去る9月14日(月)に東京ドームホテルで開催された。

三井物産株式会社取締役会長の槍田 松瑩 氏による基調講演では、「企業の役割と責任」がテーマであったが、同社の諸問題とその解決への並々ならぬ苦労と努力が具体的な事例をあげて詳しく紹介さ れ、経営者のトップとしてだけでなく一般の市民としても学ぶべき点が多々あり、深い感銘を覚えた。第2部のパネルディスカッションでは、北原 久史氏(読売新聞東京本社調査研究本部次長・主任研究員)の司会のもと、各パネラーの企業内での活動内容の紹介を皮切りに活発な議論が展開された。パネ ラーは、鈴木 敦子氏(パナソニック株式会社理事・CSR 担当室長)、堀本 修平氏(三井住友海上火災保険株式会社取締役・常務執行役員)、片山 登志子氏(弁護士、日本ハム株式会社社外取締役)の企業トップ、第一線の担当者の方々と本学の高 巖 経済学部長である。企業の利潤追求と倫理の両立はどのようにして可能か、顧客や従業員など多くのステークホルダーの利益をどう考えるか、経済活動と地球環 境問題との関係など、時代を先取りした斬新な視点から、これからの企業の在り方について貴重な討論と提言がなされた。最後は、本学の教育・研究活動の紹介 を兼ねた梅田徹企業倫理研究センター長の挨拶で閉会となった。

開会に先立ち、今回のシンポジウムの意義について主催者挨拶をしたので、ご紹介したい。

「ご紹介にあずかりました麗澤大学学長の中山理でございます。本日は本学開学50周年を記念する企業倫理シンポジウムに、このように多数の方々のご参加を賜りましたこと、誠にありがたく存じます。
さて、開会にあたり、まず申し上げたいのは、この経済状況の厳しい時代にあるからこそ、本日のような企業倫理シンポジウムを開催する意義はとても深いとい うことでございます。と申しますのも、私たちが生きる現代ほど、素晴らしい時代はなく、また悲しむべき時代はないからです。素晴らしいと申し上げたのは、 資本主義が日本の隅々まで行き渡り、日本が経済大国となり、諸問題を抱えつつも経済的には豊かになったということ。そして悲しむべきと申し上げましたの は、その資本主義の行き過ぎが今日ほどむき出しになり、その悪影響が世界的な同時不況という形で人々を苦しめている時代はないということでございます。
そのような経済危機のただ中にあって私たちが直面しているのは、単なるアメリカ発の不良債権の問題ではございません。ボーグル金融市場リサーチセンター所 長のジョン・C・ボーグル所長がいみじくも述べていますように、経済問題の根源は、飽くことを知らない資本主義の強欲さにあります。深刻な経済問題が発生 するのは、彼の言葉を借りれば、“enough”すなわち「足る」ということを知らない人間の金銭的欲望が暴走するからでございます。この暴走を止めない 限り、政府や有識者の提案する対症療法だけでは根本的な解決策にはなりえず、今後もまたいろいろと形を変えた経済的危機に見舞われることでしょう。では、 今、私たちがなすべきことは何か。それは、有効な対症療法に加えて、現在のグローバル資本主義に内在する本質的な問題をどう克服するのか、言葉を換えれ ば、道徳的・倫理的にも望ましい経済活動とは何かを、もう一度、真摯に問い直し、それを社会に訴えていくことではないでしょうか。
私ども麗澤 大学では開学50周年を記念し、いろいろな記念行事を実施してまいりました。今回の企業倫理シンポジウムもそのひとつでございます。記念行事を開催するに あたり、「知のモラルの再構築―地球と人類の平和をめざして」という統一テーマを掲げましたのも、現在の知のあり方、社会のあり方、経済活動のあり方に対 し、先ほど申し上げましたような根本的な問いを投げかけてみたいからに他なりません。それは、他大学にはない企業倫理研究センターを有する本学の建学の精 神、「知徳一体」の理想を現代的に展開し実現しようという試みでもあります。
ノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・センは「現代経済学の主 要な欠陥は、経済学と倫理学との深刻な乖離にある」と喝破しておりますが、この現代経済学の欠陥をそのまま反映するかのように、金融界は利益の最大化を図 り、企業は収益の最大化を図ることだけを目標に掲げる傾向にあります。もちろん利益をあげることは大切なことですが、両者の到達目標が、金銭的利益や資本 の充実というような「計算や数字で明示できるもの」だけに限られていることに非常な危惧を覚えます。
このような経済至上主義や物質主義に囚わ れた時代であるからこそ、私たちは2つのことを訴えたいと思います。第一は、物の資本とともに「心の資本」の重要性でございます。人間相互の信頼感、 「売って喜び、買って喜び、第三者も喜ぶ」という奉公精神豊かな経営理念あるいは企業文化、そして社会への貢献を目指して経済活動を行う人間の「品性」の 大切さでございます。これを私たちは「品性資本」と申します。
第二は、経済活動と環境問題の両立でございます。「限りなき経済成長」というの は、地球の資源に限りがあることを考えれば、単なる幻想に過ぎません。もうそろそろ貨幣経済のパラダイムだけで豊かさを計ろうとする発想自体を改めるべき ではないでしょうか。今こそ金銭欲中心の経済から地球と人にやさしい経済へのパラダイムの転換を考えるときだと思われます。人間の欲望中心の「エゴ・エコ ノミー」(ego-economy)から自然と人も含めた広い意味での環境に貢献する「エコ・エコノミー」(eco-economy)へのパラダイムの転 換が必要です。それはまさに「持続可能な社会の構築にチャレンジする企業」という本シンポジウムのテーマに繋がっていくものと期待します。
本 日のシンポジウムが、世界的な課題である経済活動や企業のあり方、さらに私たちを取り巻く様々な経済問題について、皆様方の御参考となれば幸いに存じま す。加えて、このシンポジウムへの出席を快諾いただいた講演者の方およびパネリストの方々に厚く御礼申し上げますとともに、本日御参集いただきました皆様 のますますの御健勝と今後の御活躍をお祈りいたしまして、私の挨拶といたします。」

中山学長による開会挨拶

中山学長による開会挨拶

三井物産株式会社取締役会長の槍田 松瑩 氏による基調講演

三井物産株式会社取締役会長の槍田 松瑩 氏による基調講演

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

鈴木 敦子氏(パナソニック株式会社理事・CSR 担当室長)

鈴木 敦子氏(パナソニック株式会社理事・CSR 担当室長)

堀本 修平氏(三井住友海上火災保険株式会社取締役・常務執行役員)

堀本 修平氏(三井住友海上火災保険株式会社取締役・常務執行役員)

片山 登志子氏(弁護士、日本ハム株式会社社外取締役)

片山 登志子氏(弁護士、日本ハム株式会社社外取締役)

高 巖 経済学部長

高 巖 経済学部長

司会の北原 久史氏(読売新聞東京本社調査研究本部次長・主任研究員)

司会の北原 久史氏(読売新聞東京本社調査研究本部次長・主任研究員)