1. ホーム>
  2. 学長あいさつ>
  3. 平成24年度 入学式告辞

平成24年度 入学式告辞

 本日ここに、多数のご来賓の方々のご臨席のもと、平成24年度麗澤大学入学式を挙行できますことは、私どもの大きな喜びでございます。また、新入生の保護者やご家族の方々にも心よりお喜び申し上げます。

 本年度の入学者は大学院生、学部生、別科生、特別聴講生、研究生等、総計694名で、この中には、世界の11の国と地域から119名の外国人留学生も含まれます。麗澤大学を代表いたしまして、皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 さて、新入生の皆さんが入学される麗澤大学は、昭和10年の建学以来、創立者廣池千九郎の教育理念、すなわち「高い品性と専門性を備え、自分の考えを国際的に発信できる人材の育成が大切である」との考えに基づき、「知徳一体」を建学の精神として掲げ、国際社会を舞台とし、互恵の精神で持続的社会の構築に貢献しうる教養人および公共人を育成することを目指してまいりました。「知徳一体」とは、知識と道徳はひとつに調和すべきであり、大学や大学院での学問も、知識と道徳が車の両輪のように機能して、初めて社会に役立つものとなるという理念でございます。

 この麗澤教育の理念は、名は体を表わすというように、まさに麗澤という名称にも表わされております。「麗澤」とは、中国の古典の『易経』からとった言葉で、まず「ともに並ぶ澤」を意味します。『易経』に「並んでいる沢が互いに潤し合う姿は喜ばしい。立派な人間になろうとする者が志を同じくする友と切磋琢磨する姿は素晴らしい」とあるように、お互いの切磋琢磨を通して、常に相手を尊重し、互いに助け合いながら、自己の品性を高めることの大切さを謳っています。まさに麗澤教育の在り方を述べたものといえるでしょう。

 また、「麗」には「つく、付着する」という意味もあり、同じく『易経』に「日や月は天に付着しているから萬物を照らすことができ、穀物や草木は土に付着しているから花を咲かせ実を結ばせることができる。また、明徳をもって正しい道にしっかりと付着して政治を行えば、天下を正しく教化できる」とあります。

 本学の創立者廣池千九郎は、これらの精神をふまえて麗澤の意味を次のように説明しています。「麗澤とは太陽天に懸りて万物を恵み潤し育つる義なり」と。創立者は、この古典の精神に私たちが目指すべき人間像を見出したのです。本学の校歌の冒頭に「太陽空に懸り居て萬の命潤おせば」と歌われているのは、まさに創立者の教育観を反映させたものと言えるでしょう。つまり「天にある太陽のごとく、生きとし生けるものすべてを慈しみ育てる人であれ」というのが本学の目指す人間像でございます。

 そのように麗澤教育の本義を自然のメタファーで表現した創立者は、この「麗澤の森」ともいわれる、緑豊かなキャンパスの礎を築きました。それは「仁草木に及ぶ」すなわち、「慈しみの心は、人間はもとより植物にも及ぶ」というエコロジカルな基本理念に基づき、現在でも学園の環境を維持する倫理的自然観として機能しています。広さが46万平方メートル、東京ドームが10個も入る廣池学園は、大学だけでなく、麗澤中学校、高等学校、幼稚園、生涯教育を展開する公益財団法人モラロジー研究所をも包含する広大なキャンパスです。園内には、樹木だけでも、約1万5千本、数え切れないほどの種類の植物が育ち、その自然環境が作り出す四季折々の姿は、格好の癒しと学びの空間として、これから勉学に励む皆さんの心を和ませてくれるでしょう。

 皆さんがこの会場にいらっしゃる途中に通ってこられたソメイヨシノの桜並木も、昭和10年、今から77年も前に創立者が植えたものです。当時の学生に指示し、一本一本苗木から丹精こめて世話をさせたそうです。それも自分たちが楽しむためではなく、将来、麗澤の門をくぐる人たちが楽しめるにようにという慈愛の心で植樹をしたものです。そして今年の4月にオープンしたばかりのReitaku Student Plaza、それはコンビニとブックショップとカフェの複合施設ですが、その施設名を学生・教職員にアンケートで募集したところ、「はなみずき」という名称が選ばれました。ハナミズキは、今からちょうど100年前にあたる明治45(1912)年、東京市長だった尾崎行雄が、日米親善のため、日本の桜ソメイヨシノをワシントン市へ贈り、その返礼として大正4(1915)年、米国政府から贈られたものが最初と言われています。ソメイヨシノとハナミズキ、まさに日米親善を象徴する二種類の樹木が麗澤のキャンパスの中で互いの花の美しさを競うことになったわけです。国際交流の盛んな本学にふさわしい情景がまた一つ整ったわけですので、新入生の皆さんも大いに楽しんでいただけたらと思います。

 麗澤の道徳的・倫理的な教育理念は、言うまでもなく、学部・大学院のカリキュラムにも反映されています。昨年に発生した東日本大震災や原発事故はいうまでもなく、環境破壊、経済至上主義、モラル荒廃、教育崩壊など、多くの問題を抱える現代において、21世紀の大学は、知の再構築を求められていますが、それは高い道徳性に軸足を置いたものでなくてはなりません。これを外国語学部で展開すれば、多言語・多文化理解・共生の理念の追求であり、経済学部では、経済と道徳は一つであるとする「道経一体」思想の追求です。これは冒頭で申し上げた、知識を真に生かすものは品性であり、道徳性であるという「知徳一体」の理念を高等教育のレベルで具体的に展開したものと言えるでしょう。

 さらにグローバル化、国際化の社会的ニーズに対応したプログラムを備えていることも、麗澤教育のもう一つの特色でございます。それは、日本の大学生の内向き志向が憂慮されるなかで、麗澤から海外の提携校に多くの学生を派遣していることからもわかります。現在、日本には国公私立あわせて780校を超える大学がありますが、その中で「大学のグローバル化人材育成はどこまで進んでいるか」を601校で調査したところ、協定に基づく学生送出数のランキングで、本学は私立で11位、全体で13位に入っております(『リクルートカレッジマネッジメント』168/May-Jun.2011)。これは送り出しの総数のランキングですが、全校学生数に対する日本人留学生派遣の割合では、本学は1位にランクされている私立大学よりも上位にありますので、間違いなく全国でトップクラスに入ると思います。

 本学は、そのようなグローバル化に対応するカリキュラムも充実しています。それぞれの学部から一例をあげれば、まず、外国語学部では、専門の語学だけでなく、多言語を学ぶマルチリンガル・プログラムやクロス留学制度が充実し、内外からも高い期待と評価を受けています。その成果としては、昨年の「2011JAL中国語スピーチコンテスト東京大会」で、国際交流・国際協力専攻3年生が第2位に入賞しました。また、「第1回“説漢語 通中国”中国語コンテスト」では、中国語ハイパーコースで学ぶ麗澤チームが団体の部で1位、2位を独占しました。受賞したのは、主専攻が中国語ではなく、第2外国語として中国語を学ぶ学生です。これは、意欲的に本学の中国語ハイパークラスを履修し、提携校である台湾の淡江大学へ留学して語学力を磨いた学生たちの意欲と、それに応えるべくきめの細かい指導をした教授陣の熱意が生み出した本学ならではの成果でしょう。

 経済学部では、今年度あらたにスタートした国際ビジネスコースがあります。これは英語を使って経営を学び、グローバルに活躍するビジネス・リーダーを育成するためのコースで、徹底的な英語教育で英語力を飛躍的に高めるとともに、全員に留学奨学金を支給して、海外の大学、すなわち、アメリカ、イギリス、オーストラリア、オランダ、シンガポール、台湾にある本校の提携校で経営学などの専門科目を学んでもらうという画期的な試みです。もちろん、本学でも、MarketingやFinanceなどの専門科目を英語で学び、英語で卒業論文を書くことになります。これから成果が期待されるコースです。

 今挙げたものは、麗澤のプログラムのほんの一例にすぎません。新入生の皆さんには、このような種々のプログラムを大いに活用するとともに、是非とも海外留学にもチャレンジしていただきたいと思います。

 最後に、本学の校歌で「日々に孜々、日に新たなり」と詠われていますように、皆さんが本日から新たな一歩を踏み出し、充実したキャンパスライフを送られますことを祈念し、告辞といたします。

 

                             平成24年4月2日 麗澤大学 学長 中山  理