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平成28年度 卒業式告辞

 本日ここに、平成28年度、麗澤大学学位記授与式、ならびに別科日本語研修課程修了式を挙行するにあたり、麗澤大学を代表してお祝いのご挨拶を申し上げます。

 まずは、高いところからではございますが、公私にわたり御多忙の中、多数のご来賓をはじめ、関係各位のご臨席を賜りましたことに対し、衷心より厚くお礼申し上げます。

 次に、卒業生、修了生の皆さん、本日は誠におめでとうございます。また、これまで皆さんを支え、この日を待ちわびておられたご家族の皆様のお喜びもひとしおと思います。心からお祝いを申し上げます。

さらに後援会、麗澤会をはじめ、多くの関係者の皆様方には、日頃から本学の教育・研究活動に対し、深いご理解とご支援を賜っておりますことにも、厚く御礼申し上げたいと思います。卒業生および修了生の皆さんがめでたく喜びの日を迎えられましたのも、数多くの恩人の方々のお陰でございますので、この機会をお借りし、ともに心より感謝の気持ちを捧げたいと思います。

 さて、今年度は、大学院経済研究科で1名に博士の学位を、言語教育研究科と経済研究科で合計19名に修士の学位を、外国語学部と経済学部で合計513名に学士の学位を、別科日本語研修課程で30名に修了証書を授与いたしました。さらに、海外の提携校から留学されている特別聴講生も21名が修了されました。

 本日、卒業および修了された学部生と大学院生合わせて532名の中には、55名の外国人学生が含まれております。これに別科日本語研修課程修了生と特別聴講生を含めますと、出身は14の国と地域に及びます。自国と異なる言語、文化、習慣の壁を克服して見事学業を成就された留学生の皆さんのこれまでのご努力に対して深く敬意を表します。

本日、本学を巣立ってゆかれる皆様の洋々たる前途を祝福し、3つのことを申しあげたいと思います。

 まず第一は、これから皆さんが巣立ってゆく社会は、まさに激動の時代を迎えているということです。たとえば、国際政治を例にとりますと、ドナルド・トランプ米国大統領の誕生や英国のEU離脱は、ともに日本の大方のマスコミや有識者の予想をまったく覆した出来事だったというだけでなく、英米主導型のグローバリズムが単なる「神話」に過ぎなかったことを物語る大きな世界的潮流の変化でした。

また皆さんの身近な生活空間では、2000年代半ばにはユビキタス環境という、どこでも簡単にコンピューターネットワークとつながることを意味する言葉をよく耳にしましたが、その後、ビッグデータという言葉が登場し、今では様々なモノがインターネットにつながる「モノのインターネット」という概念のIOT(Internet of Things)という言葉が注目を浴びています。またオックスフォード大学の准教授マイケル・オズボーンは、今後、10年から20年程度の間に、コンピュータ化の影響で、雇用の47パーセントが自動化されるリスクがあると分析しています。さらに今から28年後の2045年にはAI(人工知能)の性能が全人類の知性の総和を超える時代が来るという予測もあります。

これほど世の中の動きが早く、そこに流れている情報も日々刻々と変化することを目の当たりにしますと、私たちはまさに五里霧中の状態にあるのではないか、と悲観論を唱える人々もあります。実際、このように激変する世界情勢とあふれ出すような情報の巨大な渦の中に飲み込まれそうになると感じる学生諸君も少なくないでしょう。

しかし、そのような時こそ、昔から不易流行というように、いつの時代になっても変わるものと、変わらないものがあるという歴史的真実を思い出すことが大切です。仕事がコンピュータ化されても、またそれにともなって、今までにない新しい仕事が生まれるものであり、いくらコンピュータ化が進んでも、コンピュータが代替できない領域が必ずあるものです。たとえば、ホスピタリティー、マネッジメント、クリエイティヴィティ、そしてモラリティーは、その代表的領域でしょう。特に最後のモラリティティー、道徳性につきましては、AIの時代にも人間が存在する限り永遠の課題として残り続けるでしょうし、いや、AIの時代だからこそ、それを人類の安心、平和、幸福のためにどのように活用するかという倫理的・道徳的視点がますます必要となるということです。それこそ、皆さんが本学で学んだ麗澤の建学の精神、知徳一体の思想がものをいう時代がきたということに他なりません。

第二は、本学の創立者は「大勢には、善きものと悪しきものとあり。大勢に逆行するもの、または順応するものは滅ぶ。順応しつつ真理を守るものは残る。
大勢の事のみ奔走するものは俗人なり。大勢の外に真理の事に心を注ぐものは偉人なり。」という箴言を残しています。これを先ほど申し上げた情報化とコンピュータ化の関係で申し上げれば、物事の本質を見る視点を失わなければ、情報に振りまわされることが少なくなるということではないでしょうか。一般にデータというのは、どのようなものであれ、データだけでは使えないということです。先ほどAIの問題に触れましたが、コンピュータにはそのような人間の本質を見るという意識はありません。モノに意義を見出すのは私たち人間であり、それが世の中の人々の安心、平和、幸福に役立って初めて意味を持つものなのです。どうすれば満足感と幸福感を創造することができるのか、どうすれば私たちが生きがいを感じることができるのかという問題意識や他者への貢献の感覚があればこそ、モノやデータが意味を持ち、そのコンテクストの中でのみ、私たちも大きな生きる喜びを感じることができるのです。

第三に申し上げたいのは、今年度は本学にとりましても、また卒業生の皆さんにとりましても、本学の創立者廣池千九郎の生誕150年を記念するエポックメイキングなグレートイヤーであったということです。本年度がそのような特別の年度にあたりましたので、この学位授与式も、きっと私どもの記憶に末永く刻まれるものとなるでしょう。そこでそのような周年を記念する意味でも、麗澤の精神をもっともよく表わした、校歌にも謳われている至言を、もう一つ、卒業生の皆様に送りたいと思います。それは「日々に孜々たり、日に新たなり」という一節です。「流水は腐らず」と申しますように、私たちは日々常に努力を怠ることなく、新たに清く変化し続けることによって人間として成長してゆきます。常に変化しながらも、いつも麗澤スピリッツを奮い立たせ、様々な恩恵に報いる心、相手を思いやる心、お蔭様でという感謝の心、そして他者に貢献する心を忘れることなく、生きていることの素晴らしさと喜びを味わいながら、どんな困難も乗り越えていってもらいたいと思います。

最後にそのような想いに導かれながら、皆様のご健康とご多幸とますますのご活躍を心からお祈りし、ここに告辞と致します。皆さん、ご卒業、おめでとう!

 

 

平成29年3月14日    

麗澤大学 学長 中山 理