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公開シンポジウム「史料が語る日本の人口・家族・社会」挨拶

麗澤大学 第4代学長 梅田博之

歴史人口学セミナーの開催にあたって

本日はこの柏の地に多数お出でくださいましてありがとうございます。

このたび速水融 (はやみ・あきら)先生の歴史人口学研究の資料と書籍を、本学が歴史人口学アーカイヴとして受け入れることができ、さらに黒須里美教授を代表者とする歴史 人口学研究のプロジェクトが発足しまして、それを記念してシンポジウムと展示を開催する運びとなりましたことをご出席の皆様方とともに慶びたいと思いま す。海外の研究者の方々からもお祝いのメッセージを多数いただいております。私の専門は韓国語の研究でありますが、韓国の先生からのメッセージもあるよう です。また、最近、速水先生の著書の韓国語翻訳も出たようでございます。

さて、速水融先生のご業績とそのご業績に対して受けられた数々 のご栄誉に関しましては、すでに皆様方よくご存知でおられると思いますので、ここで繰り返して申し上げることはいたしません。ご寄贈いただいた資料は、江 戸時代の宗門改張・人別改張等のマイクロフィルム1500リールと、明治・大正期の「府県統計書」のプリント製本約1500冊等の資料、それから歴史人口 学関係の研究書であります。

このような先生のご研究の基礎となった資料の寄贈のお申し出をいただいたことを、本学園顧問の大澤先生からお伺いしたとき、貴重な資料が散逸してはいけませんし、また海外に流出してしまうのも残念でありますので、お受けしなければと私は即座に思いました。

速水先生のご研究は、永年慶應義塾大学を拠点として構築されてきたものであり、その後先生が国際日本文化研究センターに移られてから共同研究『ユーラシ ア・プロジェクト』がスタートし、その後、本学にその拠点を移されて国内・国外の多くの研究者が参加して進行されたものであります。しかし、そのお仕事が どの大学・研究機関でなされたにせよ、国際的にも高く評価されているご研究であり、文化功労者として顕彰されるという高い評価を受けたご研究ですから、今 後もどこかの大学・研究機関で引き受けて維持・発展させなければならない、それが大学の使命のひとつではないかと考えました。まして、麗澤は、10年ほど の間ではありますが、先生が教育と研究に携わってくださったというご縁があります。本学としてその貴重な資料の受け入れが可能かどうか、真剣に考え、きち んと対応しなければならないと思いました。

それにつけても思い出すのは、京都大学の基礎物理学研究所であります。その英語名は Yukawa Institute for Theoretical Physicsでありましてノーベル賞学者である湯川博士を記念する研究所であります。私はかつて東京外大のアジア・アフリカ言語文化研究所という文科系 で唯一の共同利用研究所の所長をしておりましたので、所長会議などで同じ共同利用研究所である基礎物理研に行ったことがありますが、玄関前に湯川博士の胸 像が立っています。私どもは速水先生の胸像までは無理だといたしましても、資料の保管と整理・維持・研究が出来る場は提供して差し上げたいと思いました。

しかし、大学としてお引き受けする場合には、そのような情的な思いだけでは実現できません。麗澤大学といたしましては、大切な資料をきちんと保管し、管理 し且つ利用することができる、それも公開といいますか、共同利用を旨とする形で利用できる、そしてその資料を基礎とする研究をさらに継続発展させていくこ とができるかということを考え、もしその条件がそろえば、本学でお受けすることにしたいと考えました。

幸い、小野副学長・田中常務理 事・今村学務部長のご協力を得まして、(1)保管と整理・研究の場つまりアーカイヴは図書館3階におく、(2)研究は小野副学長のご尽力と成相・現セン ター長、佐藤・前センター長のご理解を頂いて経済社会総合研究センターの研究プロジェクトのひとつとして立ち上げる、(3)これはこのプロジェクトに限ら ず大学教員全員にいつも申し上げていることですが、できるだけ科研費等の外部資金を導入する努力をする、(4)速水先生のご研究の麗澤での継承の役割を黒 須里美教授に引き受けていただき、且つ後継者の養成の任にも当たっていただくということで了解され、条件がクリアできましたので、受け入れが実現したわけ であります。その間、関係の教職員の方々のご尽力に対し、この場をお借りして感謝申し上げる次第であります。特に、継承者としての黒須教授のご決意に感謝 し、今後の進展を期待します。

以上のような経過を踏まえて、本日、晴れて第一回歴史人口学シンポジウムの開催に至りましたのは、私とい たしましては以上の経緯がありますので、本当に嬉しいことでございます。心からお慶び申し上げたいと思います。敢えて第一回と申しましたのは今後、第二 回、第三回があること、そして国際という名のついたシンポジウムもあることを期待してのことであります。

最後に、今回のシンポジウムが実り多いものになることを祈念し、且つ歴史人口学の研究の益々の進展と速水先生のご健康をお祈りして、ご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。