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15年度 入学式告辞

麗澤大学 第4代学長 梅田博之

(一)あいさつ

本日ここに、公私まことにご多用の中を、地元の本多柏市長、西富柏市議会議長をはじめ多くのご来賓の 方々や関係各位のご臨席をいただきまして、本学の平成十五年度入学式を盛大に挙行できますことは、私の心からの慶びとするところでございます。衷心より厚 く御礼を申し上げます。
また、ご家族、保護者の皆様には、ご子弟の勉学の成果が見事に実り、ここにめでたく、入学式を迎えられまして、さぞかし お喜びのことと、心からお祝いを申し上げます。 今年は、大学院生、学部生、別科生、研究生、特別聴講生を合わせて八百七十三名の新入生を迎えることができました。改めて、麗澤大学に入学された新入生の 皆さんに、大学を代表して心からお祝いと歓迎の意を表したいと思います。
新入生の中には、海外の十九の国と地域からの留学生が二百十三名入学さ れました。在学中の外国人留学生も含めますと、その総数は二十の国・地域から五百二十七名となります。全学生数三千二百一名の約十六、五%にあたります。 海外の各地から皆さんをお迎えすることができましたことは、大きな歓びであり、我々教職員一同は在学生とともに、心から温かく歓迎いたします。

(二)建学の理念と麗澤の意味

本学は、創立以来一貫して、高い人間性、品性、道徳性を具え、国際社会に貢献できる人材の育成をめざしてまいりました。創立者の法学博士 廣池千九郎は、本学の前身である「道徳科学専攻塾」を昭和十年(千九百三十五年)にこの地に開学いたしました。
創 立者の考えは、「知識を真に生かすものは高い人間性・道徳性である」という「知徳一体」の教育理念と、道徳と経済は一体であるという「道経一体」の考えの もとに、人格陶冶を根幹としてその上で徹底した語学教育と実務教育を行うことによって、「世界で真に信頼と尊敬を受ける国際人の育成」をめざしたのであり ます。
また、本学の「麗澤」という名前は、お手元にあるしおりにも書かれてありますが、中国の古典である『易経』に由来するものであります。そ の意味は、「水脈を同じくする、二つの連なった沢」という意味であります。ですから、いつでも互いに潤しあって枯れることがなく、その周囲にすばらしい自 然環境が形成されるということになりましょう。そこから、「優れた師のもとで、互いに友人同士が補いあい、切磋琢磨する(つまり、仲間同士互いに励まし 合って学徳を磨く)ことによって、人格の完成をめざす。そして社会に貢献できる人となる」という意味を込めて、麗澤という名前が付けられております。
麗澤大学の学生になった皆さんは、この麗澤の意味をよく理解されて、よき師の感化を受け、良き友と切磋琢磨して、社会に有用な人物になっていただきたいと、心から念願いたします。

(三)大学生としての自覚

さて、皆さんは今日から大学生です。高等学校の時とは違った勉学の態度が求められます。高校までは、段 階ごとに教科書があって、学習のレベルと学ぶべき知識が決まっており、その範囲の中のものを勉強し理解すればよかったのですが、今日からは、必要なことを 知らなかった場合、「まだ教わっていない」とか「範囲に入っていないから知らない」といって済ますわけにはいきません。自分でいろいろ調べたり、参考文献 にあたったりして、自分の責任で、それを習得し理解しようと努めなければなりません。
大学では、学問を学びますが、これは先人たちの叡智と努力 によって築かれた知識の体系と物事を考える方法を学ぶということです。特に、物事をその根元から徹底的に考える習慣を身に付けることが肝要で、根拠のない 思い込みを排し、いろいろな見方ができる、柔軟で且つ論理的な考え方、知的探究心を養う必要があります。

(四)国際理解と語学教育・情報教育

今日の世界は、経済・社会・文化等の様々な面で国際化が進み、国際的な依存関係はますます深まっていま す。環境問題、エネルギー問題、難民問題等、どれをとっても地球規模の問題で、その解決にはグローバルな視点が不可欠です。それと同時に、情報科学技術の 進歩も現代社会に大きな変革をもたらし、時間的・空間的な制約を崩して世界化はますます進みました。
一方、地域社会も以前のような単一言語社会・均一的文化社会と違い、国際化が進み、いろいろな国や地域から来た人々がともに暮らす(異なった言語を話し、異なった文化を持つ人たちが共に生きる)多言語・多文化共生社会に変わりつつあります。
世界化・国際化・情報化が進む二十一世紀に生きていくためには、それぞれの専門分野の知識・技能を高める他に、まずグローバルな社会で共通語となった英語 の運用能力を高めることが必要ですが、それと同時に多言語・多文化共生社会で生きるために、広い視野を持ち、自分とは異なる文化を理解して「違い」を認め 合い、お互いの歴史的伝統や多元的な価値観を尊重し合うことが必要です。先にも述べましたように、本学には二十の国や地域から五百二十七名の留学生が来て くださっていますが、この多言語多文化共生の環境は本学の貴重な財産のひとつだと思います。異なる言語・文化の担い手たちが、それぞれの固有性を保ちなが ら、その違いを認め合って、キャンパスの中で交流を深め、切磋琢磨することによって、ひとつの物の見方や考え方にとらわれない国際性豊かな人間に育ってい ただきたいと思います。
国際理解に際して、特に必要なものは言語です。言語は、コミュニケーションの道具ですが、人間の外界に対する認識と密接 な関係があり、人間は外界の事象を、言葉を介して把握しています。それ故、言語を学ぶことはその言語を話す民族の考え方や文化を理解することに通じます。 ですから、世界共通語としての英語以外にもアジアの言葉も含め、少なくとももう一、二ヶ国語は学んでほしいものです。
情報科学技術の進歩にとも ない、急速に発達したインターネットは、知識や技術の伝達の手段として大きな可能性を持っており、教育・研究の場においても、また社会に出てからの実務に 従事する場合にもきわめて有益で、積極的な活用が期待されます。本学では最新のコンピュータシステムを整備し、文科系では国内でトップクラスという高い評 価を受けている情報教育を実施しています。在学中に、ぜひ、ネットワークの運用・管理やプログラミング等、高いIT活用能力をしっかり身につけていただき たいと思います。

(五)高い専門性と道徳性

さて、学問的知識を学び、その知識の活用法を理解しても、「高い品性」(つまり、道徳性)を具えていなければ、人間のために役立つものとはなりません。
本 学は、先に述べましたように、創立以来、教育理念として「知徳一体の人材の養成」を目標として来ましたが、今日ほどその必要性が求められている時はないと 思います。現今の社会の政治的・経済的混乱は深刻なものがありますが、皆さんはぜひとも何のために学問を学ぶかということをよく考えて、知識を修得すると ともに自己の品性を磨き、「高い専門性と品性を兼ね備えた人間」として社会に貢献できるように努力しなければなりません。

(六)大学生活に期待するもの

さて、皆さんが今日からおくる四年間の学生生活は、長い人生の中でも、特に重要で且つ楽しい時期だと思います。
自分がやりたいことを見極め、どんな分野でどのように社会に貢献するかを決め、そのための基礎となる知識や方法、技術を修得する重要な時期です。
他方、この時期は、高校時代より行動の範囲が広がり、交友関係も広がって楽しい思い出ができる時期でもあります。今後、社会に出てさまざまな人間関係を結 んでいく中で、その原点ともなるべき温かく永続的な人間関係を構築する時期でもあります。大学時代によき師、よき友に恵まれれば、その後の人生に幅と厚み が加わるに違いありません。先生とは教室での授業以外のいろいろな場でも、親しくお教えを受けるようにしてください。友人関係もクラスや部活動、ゼミ、そ の他さまざまな場でのものがありますが、生涯に亘って心を許し合える親友ができたらすばらしいことだと思います。
大学生活でもう一つ大切なこと は、広く教養を身に付け、社会性を養い、社会的な問題に対して自分のはっきりした意見をもてるようにすることだと思います。わたしたちは社会の中で生き、 経験を積み、知識や知恵を獲得する過程で、物の見方、考え方、価値観などを身に付けていきます。あらゆることにいつも知的好奇心と探究心を持って接すれ ば、それだけ深くて適格な見方、考え方ができるようになります。
また、わたしたちは、先人の叡智に触れ、人生の生き方を学ぶためにいろいろな古典に親しむことも必要です。言語と思考は密接な関係にありますから、知的活動の基礎である国語の運用能力を磨く必要もあります。
さらに、礼儀・作法を身に付けることも社会に生きる人間として大切な教養のひとつです。幸い、本学の学生は学外の方々から礼儀正しいという評価を受けていますが、礼儀・作法の大切さも充分に理解し、実践してください。
もうひとつ忘れてはいけないことは、今後の人生での活動には健康であることが肝要です。規則正しい生活と適度の運動を行って健全な健康状態を維持するようにしてください。

(七)留学生の皆さんへ

ここで、本学に学ぶ留学生の皆さんに、ひとこと申し上げます。
皆さんが日本に留学に来られた 目的は様々でしょうが、しっかりとその目的を達成されることを心から願っております。特に、留学の基礎となる日本語の学習については、日本語教育センター で先生方が皆さんのレベルと母語を考慮した系統的な指導をしてくださいますので、まず日本語をしっかり身に付けてください。言葉ができるようになると、日 本人と日本文化に対する理解度も格段と高まります。また、一人でも多くの友人をつくり、日本と母国をつなぐ人間関係を築いてください。  一方、日本人の新入生の皆さんには、留学生の方々を温かく迎えてくださるようお願いしたいと思います。また、留学生と仲良くすることによって、自分と異 なる文化や考え方に接することができますから学ぶことも多いはずです。私たち教職員は、新入生諸君もふくめて、謙虚な気持ちで留学生から学ぶという姿勢を 忘れないでいきたいと思います。
しかし一方、私たち教職員は、教育の場では留学生を特別扱いせず、日本人学生と同じように接したいと考えていま す。留学生の皆さんにも大学教育の水準を低めることなく、しっかりと勉強していただき、留学の所期の目標を達成していただきたいからです。しかし、困った ことがある場合はいつでも相談していただきたい。教職員も、日本人学生も喜んで皆さんの力となることをお約束いたします。

(八)大学院新入生の皆さんへ

大学院に進学される方々にも、ひとこと申し上げます。
皆さんは大学の学部四年間に教養を養い、基本的な学問を学びました。大学院では、学問の基礎をより広く深く学び、さらに高度な研究成果についても学習すると同時に、いつも旺盛な問題意識を持ち、自分の研究課題を見つけ、これに積極的に挑戦していかなければなりません。
皆さんの大学院での勉強と研究の成果を期待いたします。

(九)おわりに

最後に申し上げます。
皆さんが、今後の人生で遭遇する、いろいろな困難な問題に解決を与えて くれるのは、皆さんが大学生の時に培った「学問的知識」と「思考力」であり、「教養」と「品性」であります。まさに、大学時代に、皆さんの長い人生の基礎 が築かれるのだということをよく認識して、今日からの四年間をおくっていただきたいと思います。
自立した人間として高い志を持ち、よりよい新しい時代の創造のために力を尽くし、同時に他人の立場に立って考えることのできる寛容さを具えた、高度の専門性と道徳性を持った国際人を目指して、充実した大学生活をおくることを希望して、告辞といたします。