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15年度 卒業式告辞

麗澤大学 第4代学長 梅田博之

(一) はじめに

本日ここに、公私ともにまことにご多用の中を多数のご来賓をはじめ関係各位のご臨席を賜り、本学の学位 記授与式ならびに別科日本語研修課程修了式を盛大に挙行できますことは、私の大きな喜びでございます。高いところから誠に恐縮でございますが、衷心より厚 く御礼申し上げます。 ご家族、保護者の皆様には、今日まで温かく支えてこられたご子弟の勉学の成果が見事に実り、ここに晴れて、今日の日を迎えられまして、さぞかしお慶びのこ とと、心からお祝いを申し上げます。
また、後援会、麗澤会をはじめ多くの関係者の皆様方には、日頃から本学の教育活動に深いご理解をいただき、ご支援、ご協力を賜りましたことに対しまして、厚く御礼申し上げます。
さて、今年度は、外国語学部二九四名、国際経済学部三七六名、合計六七〇名に学士の学位を、大学院では、言語教育研究科が十二名、国際経済研究科が十二 名、合計二十四名に修士の学位を、別科日本語研修課程は五十七名に修了証書を授与いたします。したがって、本年は、総数七五一名の卒業生を送り出すことに なります。 さらに、海外の提携校から留学してきている特別聴講生も六名が修了となります。
これら卒業生のみなさんには、教職員を代表して心か らお祝いを申し上げます。卒業生のみなさん、本当におめでとうございます。みなさんが本日、晴れの日を迎えることができましたのは、みなさん自身の努力も 勿論のことですが、背後にあってみなさんを支えてこられたご家族、その他の方々のおかげであります。これら多くの恩人に対する感謝の心を忘れてはなりませ ん。
本学は、創立以来、「知徳一体」という教育理念のもとに、真の人間尊重、品性の向上を目指す教育と、少人数教育を基盤とする厳格な学力評価 のもとに専門教育を行い、高い道徳性と専門性を兼ね備えた人材の育成を目指してまいりました。卒業生のみなさんが、我々のこの期待に立派に応えてくれたこ とに対し、重ねて「おめでとう」とお祝い申し上げる次第です。

(二)いざ社会へ

まず、学部卒業生のみなさんに申し上げます。
みなさんは、今日の学位記授与式を迎え、大学で の四年間の生活を終えるに当たって、どのような感慨をお持ちでしょうか。みなさんは大学で学問はもちろんのこと、人間として社会の中で生きていくために必 要なさまざまな知識・教養など、多くのことを学びました。また、いろいろな場で、喜び、悲しみ、苦しみ、怒りなど人間として当然持つている感情を経験し、 それを他人と分かち合い、あるいはひとり克服するというような経験も何度かしてきたことと思います。このようなことを通じて、人は人格的に成長していくの です。みなさんはすでに法律的には成人と認められていますが、本当に自立した社会人として、自分できちんと判断し正しい行動ができるか、あるいは感情に流 されることなく抑制的に行動することができるか、この際、確認していただきたいと思います。みなさんは今日、社会人としての第一歩を踏み出すわけでありま す。本学で学んだ知識や、本学の教育の中で陶冶された人格を支えに、自信を持って、新しい社会に出て行っていただきたいと思います。

(三)今日の世界

さてみなさんが、これから新しい一歩を踏み出す世界は、大きな激動期にあります。国際社会は、貧困や飢 饉から脱出できない国、政治的な人権抑圧のある国が存在し、民族的・宗教的対立もからんで、世界各地でテロや紛争が起こるというように、多くの難問を抱え ています。その解決には、みなさんのような若い力が必要であります。みなさんは、この世界を真に豊かで平和なものとするために力を尽くすことが期待されて います。
そのためには、広い視野を持ち、自分と異なる文化を持った人々とともに生きていく資質や能力を持つことが必要です。「違い」を認め合っ て、互いの歴史的伝統や多元的な価値観を尊重し合う態度を持たなければなりません。それと同時に、自国の歴史や伝統・文化についての理解を深めることも必 要です。そうすることによって初めて異なる文化との共通性・相違性を理解することができ、相互にそれを尊重することによって、「多民族・多文化の調和ある 共生」の基盤が得られるのであります。
国際化が進み、人類が一つの地球の上で望ましい共存のあり方を追求すべき時代を迎え、本日、巣立とうとさ れているみなさんが、異なる文明文化の間に相互理解の橋を架け、多民族・多文化の調和ある共生を実現するためのリーダーとして力を尽くしていただきたいと 心から望んでおります。

(四)科学技術の進歩と社会

現代社会は、科学技術の驚異的な進歩により、高度な産業社会、情報社会が実現しました。情報科学技術の 発達は、世界中をインターネットによって即時につなぎ、時間的・空間的制約をなくしてしまいましたし、科学技術の進歩は臓器移植や遺伝子組み換えを可能に するなど、以前には予想もしなかったことが実現されつつあります。しかし、他方では、地球の温暖化や環境破壊が進み、生命倫理や情報倫理、人口、エネル ギーなど深刻な問題に直面することにもなりました。
このように現代社会は、学問研究の輝かしい成果と、それとうらはらの関係で生じる深刻な歪み を内包しています。かつて私たちは、科学技術は無限に発展し、輝かしい未来に通じると考えてきましたが、これからは必ずしもそうではないということが分 かってきました。価値観の転換期を迎えたわけであります。ですから、この複雑で激しく動いている現代に生きるに当たっては、しっかりした人生観と人格を身 に付ける必要があります。人生観や人格というものは、今後の人生経験によって磨かれ成長していくものですが、その基礎となるのは、みなさんが大学で学んだ 学問・知識であり、若い時代に培われた倫理観、道徳観であります。
みなさんは、本学において、『知徳一体』の教育理念のもと、学問を学ぶとともに、人間性、品性、道徳性を培ってきたはずであります。ですから、みなさんは、本学において学んだことを大切にして、自信と誇りを持って社会へ巣立っていただきたいと思います。

(五)大学と実社会

みなさんが社会に出て仕事をするようになると、さまざまな問題や出来事に遭遇するであろうと思います。 その際、問題を解決するための方法を考え、判断を下さなければならない場合がよくあります。その場合、どのように対処したらよいか判断に迷った時は、物事 の根本に立ち帰って考えることが大切だと思います。そういうときに頼るべきものは学問です。みなさんは、大学で学問を学びました。学問には、先人たちが 様々な場面に遭遇しそれに対処してきた経験から導き出され、体系化された知識が含まれています。また、学問を学ぶことによって、柔軟で論理的な考え方が養 われます。よく、大学で習う学問は、実際の社会では役に立たない空理空論である、というようなことを言う人がいますが、決してそんなことはありません。た しかに学問の内容と現実の社会での出来事との間には大きなギャップがあることは事実でありましょう。しかし、学問は、実際の社会のいろいろな具体的な事柄 に対する基本的な考え方を示してくれ、問題解決へのヒントを与えてくれます。講義やゼミの研究を通じて学んだ学問に照らして、深く考えることが、実際の事 柄の解決に通じます。学問をいかに有効に活用するかは今後のみなさんの研鑽次第です。
また、みなさんがこれから出て行く社会は常に動いており、 変化するものであります。そして常に新しい問題が提起され、それに対する対応が求められます。一方、学問研究の進歩発展もめざましいものがあります。です から、これから社会に出て行くみなさんも、やがて学問の新しい展開について学ぶ必要や、社会が新たに提起した問題の解決策を研究する必要が出て来るに違い ありません。あるいは自己の人間的向上のためにも平素から学ぶ姿勢を持ち続けることが必要です。みなさんは、今日、大学を卒業しますが、それは決して勉学 の終わりを意味するものではありません。どうか今後も、いつでも大学を尋ねて来てください。個人的に親しい先生に相談するのもよろしいし、もう少し本格的 に勉強したいときには大学院の社会人入学制度や研究センター等が開催する「社会人の専門スキルアップセミナー」など、社会人教育・生涯教育の場も提供され ています。麗澤大学はみなさんの「心のふるさと」であると同時に、実際にみなさんの必要に応じて新しい学問・知識を提供する「充電の場」でもあるのです。

(六)大学院修了者に

次に、大学院修士課程および博士前期課程を修了したみなさんに申し上げます。
このたび、無事に所定の課程を修了され修士の学位を取得されましたことを、研究科長をはじめ、教職員とともに心からお慶び申し上げます。
みなさんの中には引き続いて博士後期課程に進む人もあり、また社会に出て教育や実務の仕事に就く人もあると思います。
修 士課程ではそれぞれの専門分野の知識を深く学び、その分野の専門家になるために自分から自律的に研究を行います。そして、修士論文作成の過程で、自ら研究 の課題と方法を選び、資料を収集・分析しながら研究を進め、問題の解明に至るという貴重な経験をしたはずです。この自律的に研究を行った経験と、そこから 得た自信が、今後のみなさんの仕事の支えとなることでしょう。
今日晴れて修士学位を取得されたみなさんが、それぞれの専門分野で更に活躍されることを期待して、みなさんの門出に対するはなむけの言葉といたします。

(七)留学生のみなさんに

ここで、留学生のみなさんに申し上げます。
世界各国から遠路はるばる来日され、麗澤大学に学ばれた皆さんは、慣れない生活の苦労を乗り越え、本日、無事に卒業、修了の日を迎えられました。まことにおめでとうございます。
皆 さんは、この麗澤で多くのことを学ばれたと思いますが、私たちも皆さんから多くのことを学びました。みなさんたちが来てくださったおかげで、麗澤はいわば 多言語・多文化共生の社会となりました。異なる言語・文化の担い手たちが、キャンパスの中で交流を深め、お互いに豊かな国際性を育てることができました。 みなさんは、国際寮における生活、あるいはホームステイその他の経験を通じても多くの友人を得たことでありましょう。麗澤でのよき思い出を忘れずに、この 学園をみなさんの「第二のふるさと」と思っていただきたい。
みなさん方が、この麗澤大学で学ばれたこと、そして日本で体験されたことを十分生か して、我が国とお国との「良き架け橋」として今後一層ご活躍されることを、我々教職員一同心から願っています。そして、ともに二十一世紀を真に豊かで平和 な世界にすることに貢献していきたいと思います。

(八)麗澤人としての誇りを胸に

最後に、改めて卒業生全員に申し上げます。
本学の創立者 法学博士広池千九郎は本学の名称である「麗澤」の意味を次のように説明しています。
「麗澤とは、易の語にして太陽天に懸りて、万物を恵み潤し育つる義なり」
「麗澤」という名前には、私たち人間にとって、親心のように、すべてのものを慈しみ育てる心が大切であるとの意味がこめられています。
今の日本に一番欠けているものは、受けた恩恵に対する感謝の念、そして恩に報いる心、相手の立場になって考えること、他者の痛みに共感する心、すべてのも のを慈しみ育てる心です。みなさんは、常に周囲の人々への思いやりを忘れず、多くの人々から必要とされる人間になっていただきたいと思います。
今、世界も日本も激動期にあります。このような時代に求められるのは、何事にも、自主性、主体性、創造性をもって取り組み、自分で責任を負っていく、そういう人間だと思います。
みなさんには、母校に誇りと責任を持ち、高い志を持って進んでいただきたい。たとえ、どんな困難に出会おうとも、強い信念と勇気を持って自らの人生を力強く切り開いていっていただきたいと思います。
本日の学位記授与式ならびに修了式にあたり、その輝く未来を秘めている卒業生のみなさんの今後の一層の活躍と、ますますの発展を心から祈念いたしまして告辞といたします。