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16年度 卒業式告辞

麗澤大学 第4代学長 梅田博之

(一)はじめに

本日ここに、公私ともにまことにご多用の中を多数のご来賓をはじめ関係各位のご臨席を賜り、本学の学位記授与式ならびに別科日本語研修課程修了式を盛大に挙行できますことは、私の大きな喜びでございます。衷心より厚く御礼申し上げます。
ご家族、保護者の皆様には、今まで温かく支えてこられたご子弟の勉学の成果が見事に実り、ここに晴れて、今日の日を迎えられまして、さぞかしお慶びのことと、心からお祝いを申し上げます。
また、後援会、麗澤会をはじめ多くの関係者の皆様方には、日頃から本学の教育活動に深いご理解をいただき、ご支援、ご協力を賜りましたことに対しまして、厚く御礼申し上げます。
さて、今年度は、外国語学部三〇九名、国際経済学部三五三名、合計六六二名に学士の学位を、大学院では、言語教育研究科博士後期課程修了の三名と、国際経 済研究科の論文博士一名、計四名に博士の学位を、言語教育研究科博士前期課程十三名、国際経済研究科修士課程二〇名、合計三十三名に修士の学位を、別科日 本語研修課程は四十六名に修了証書を授与いたしました。したがって、本年は、総数七四四名の卒業生(論博一名を除く)を送り出すことになります。さらに、 海外の提携校から留学してきている特別聴講生も九名が修了となりました。
これら卒業生・修了生の皆さんには、教職員を代表して心からお祝いを申 し上げます。皆さんが本日、晴れの日を迎えることができましたのは、皆さん自身の努力も勿論のことですが、背後にあって皆さんを支えてこられたご家族、そ の他の方々のおかげであります。これら多くの恩人に対する感謝の心を忘れてはなりません。
本学は、創立以来、「知徳一体」という教育理念のもと に、真の人間尊重、品性の向上を目指す教育と、少人数教育を基盤とする厳格な学力評価のもとに専門教育を行い、高い道徳性と専門性を兼ね備えた人材の育成 を目指してまいりました。卒業生の皆さんが、我々のこの期待に立派に応えてくれたことに対し、祝意と感謝の意を表する次第です。

(二)いざ社会へ

まず、学部卒業生の皆さんに申し上げます。
皆さんは、大学での四年間の生活を終え、今日の学 位記授与式を迎えました。皆さんは大学で学問はもちろんのこと、社会の中で生きていくために必要なさまざまな知識・教養など、多くのことを学びました。 皆さんはすでに社会的にも法律的にも立派な大人と認められていますが、本当に一人の独立した社会人として、自分できちんと判断し正しい行動ができるか、あ るいは一時の感情に流されることなく抑制的に行動することができるか、この際、確認していただきたい。皆さんは今日、社会人としての第一歩を踏み出すわけ であります。本学で学んだ知識や、本学の教育の中で陶冶された人格を支えに、自信を持って、新しい社会に出て行っていただきたいと思います。

(三)今日の世界

さて皆さんが、これから新しい一歩を踏み出す世界は、大きな激動期にあります。国際社会は、人権抑圧の ある国、貧困や飢餓から脱出できない国が存在し、宗教的対立もからんで、世界各地で紛争が起こるというように、多くの難問を抱えています。これらの課題の 解決には、皆さんのような若い力が必要であります。皆さんは、この世界を真に豊かで平和なものとするために力を尽くすことが期待されています。
そのためには、広い視野を持ち、自分と異なる文化を持った人々とともに生きていく資質や能力を持つことが必要です。「違い」を認め合い、互いの歴史的伝統や多元的な価値観を尊重し合う態度を持たなければなりません。
国際化が進み、人類が一つの地球上において望ましい共存のあり方を追求すべき時代を迎え、本日、巣立とうとされている皆さんが、異なる文明文化の間に相互 理解の橋を架け、多民族・多文化の調和ある共生を実現するためのリーダーとして力を尽くしていただきたいと心から望んでおります。

(四)二十一世紀の日本社会と「社会的責任」

このような国際化は、ビジネスの世界にも大きな変化をもたらしています。特に、相次ぐ企業の不祥事を契機に、「企業の社会的責任(CSR)」に大きな注目が集まるようになりました。
元来、ビジネスは信頼関係の上に成り立つものであり、経営者が「誠実な経営」を心がけなければならないのは当然ですが、それをさらに進めて、より明確な形 で社会的な貢献を行うことが企業の永続性につながると考えられるようになってきました。これは、従来のように、顧客や投資家といった直接的な利害関係者だ けを対象に考えるのではなく、広く社会一般を利害関係者と捉え、何をすることが必要かを考えるようになった、つまり、法的・経済的責任を超えて社会的責任 を果たすことの必要性が生じてきたと言えましょう。
本学の創立者は、「知徳一体」という理念とともに「道徳と経済は一体である」という「道経一 体」を提唱し、実際に多くの経営者の指導を行い大きな成果を挙げてまいりました。これらの理念を実現するため、本学においては道徳科学を必修科目に据え、 さらに企業倫理や情報倫理等を重要な教育の柱としています。また、企業倫理研究センターを設置し、コンプライアンス(つまり、倫理法令遵守)のためのシス テムづくりや、企業の社会的責任という観点からの投資基準・会計基準の策定といった研究を通じて、公正かつ責任あるビジネスの実践を促し、倫理的な企業が 正当に評価され、明確な形で報われる社会の建設に寄与するための活動を展開しています。
また、大学自身としても社会的責任を果たす一環として、 地域社会の情報ネットワークづくりと情報教育を支援するNPO法人柏インターネットユニオン(KIU)に積極的に参加し、柏市を中心とする地域の小中学校 等にネットワークを敷設し、それらを相互接続してインターネットアクセスを可能にするサービスを行い、地域貢献を果たすと同時に学生の実体験学習の場とし て大きな教育効果も挙げています。また、現在、内閣府を中心に検討が進められている「消費者団体訴権制度」の制度的基盤づくりを目的とする「消費者支援基 金」が設立されましたが、これは本学の企業倫理研究センターが提唱し、実現したものです。そして、その設立の際には、大学として率先して基金設立のために 協力いたしましたが、これも社会的責任の一端を果たしたいと考えてのことであります。
このように、「社会的責任」は企業ばかりでなく、公益法人 等の団体においても有効な考え方ですが、一方で、その対極に位置する市民・消費者の側でも「社会的責任」を考える必要があります。たとえば、環境に配慮し た商品を優先的に購入するとか、社会貢献の度合いで企業を評価するとか、マイナスの情報も敢えて開示して是正に努める企業の行動を評価するなど、公正かつ 安全な社会を創っていくという視点に立って行動することが求められます。
この「社会的責任」は、二十一世紀の日本社会を創っていく上で、一つの 大きな鍵となる重要な考え方であります。皆さんもこれから、社会の一員として様々な形で社会に関与していくことになるわけですが、企業で働く人も、官庁や 学校などの組織で働く人も、あるいは家庭の主婦も、ともに市民として、自分たちの社会のあり方を考え、「社会的責任」を果たすよう努力する必要がありま す。特に本学で学んだ皆さんは、この「社会的責任」の重要性を認識し、自分たちの社会のあり方を考え、率先して行動に移していく人材になっていただきたい と念願いたします。

(五)大学と実社会

さて、皆さんが社会に出て仕事をするようになると、さまざまな困難な問題に出会うことがあると思いま す。その際、 どのように対処したらよいか判断に迷った時は、物事の根本に立ち帰って考えることが大切です。そういうときに頼るべきものが学問です。学問 には、先人たちの様々な経験から導き出され、体系化された知識が含まれています。また、学問を学ぶことによって、論理的な考え方が養われます。よく、大学 で習う学問は、実際の社会では役に立たない空理空論である、というようなことを言う人がいますが、決してそんなことはありません。たしかに学問の内容と現 実の社会での出来事との間には大きなギャップがあることは事実でありましょう。しかし、学問は、実際の社会のいろいろな具体的な事柄に対する基本的な考え 方を示してくれ、問題解決へのヒントを与えてくれます。
また、皆さんがこれから出て行く社会は常に動いており、変化するものであります。そして 常に新しい問題が提起され、それに対する対応が求められます。一方、学問研究の進歩発展もめざましいものがあります。ですから、これから社会に出て行く皆 さんも、やがて学問の新しい展開について学ぶ必要や、社会が新たに提起した問題の解決策を研究する必要が出て来るに違いありません。あるいは自己の人間的 向上のためにも平素から学ぶ姿勢を持ち続けることが必要です。皆さんは、今日、大学を卒業しますが、それは決して勉学の終わりを意味するものではありませ ん。どうか今後も、いつでも大学を訪ねて来てください。個人的に親しい先生に相談するのもよろしいし、もう少し本格的に勉強したいときには大学院の社会人 入学制度や研究センターが開催するセミナーもあり、さらに来年四月からは生涯教育の場としての「麗澤オープンカレッジ」も開講されます。麗澤大学は皆さん の心の故郷であると同時に、実際に皆さんの必要に応じて新しい学問・知識を提供する充電の場でもあるのです。

(六)大学院修了者に

次に、大学院修士課程および博士前期課程を修了した皆さんに申し上げます。
このたび、所定の課程を修了され修士の学位を取得されましたことを心からお祝い申し上げます。
修士課程ではそれぞれの専門分野の知識を深く学び、その分野の専門家になるために、自ら自律的に研究を行い、修士論文を完成されました。この自律的な研究と、そこから得た自信が、今後の皆さんの仕事の支えとなることでしょう。
今日晴れて修士の学位を取得された皆さんが、それぞれの専門分野で更に活躍されることを期待いたします。

大学院言語教育研究科博士後期課程を修了し、博士の学位を得られた李鍾姫さん、李英児さん、堀恵子さん、そして国際経済研究科において初の論文博士を授与 された入山映さん、おめでとうございます。今日まで、たゆまぬ努力を重ねてこられた皆さんの尊い研究成果を称え、博士学位の取得を心からお祝い申しあげま す。
麗澤大学の教育理念は、「高度の専門性と道徳性を兼ね備え、国家・社会の発展と人類の安心、平和、幸福の実現に寄与できる人物を育成する」 ことであります。皆さんは、この理念のもとに、博士の学位を授与されたのであります。皆さんは、この学位を得るために、今日まで、特定の専門分野の高度な 知識を修め、それを深く掘り下げて、論文にまとめられました。今後さらに研究を進め、学問の発展と人類の幸福に資するよう努力していただきたいと思いま す。博士学位の取得は決して到達点ではなく、新たな知的挑戦への出発点であることを心に銘じていただきたいと思います。

(七)留学生のみなさんに

ここで、留学生の皆さんに申し上げます。
世界各国から来日され、麗澤大学に学ばれた皆さん は、慣れない生活の苦労を乗り越え、本日、無事に卒業、修了の日を迎えられました。まことにおめでとうございます。 皆さんは、この麗澤で多くのことを学ばれたと思いますが、私たちも皆さんから多くのことを学びました。皆さんたちが来てくださったおかげで、麗澤はいわば 多言語・多文化共生の社会となりました。異なる言語・文化の担い手たちが、キャンパスの中で交流を深め、お互いに豊かな国際性を育てることができました。 麗澤でのよき思い出を忘れずに、この学園を皆さんの「第二のふるさと」と思っていただきたい。
皆さん方が、この麗澤大学で学ばれたこと、そして日本で体験されたことを十分生かして、我が国とお国との「良き架け橋」として今後一層ご活躍されることを、我々教職員一同心から願っています。

(八)麗澤人としての誇りを胸に

最後に、改めて卒業生・修了生全員に申し上げます。
皆さんは、本学において、学問を学ぶとと もに、人間性、品性、道徳性を培ってきました。 皆さんは、麗澤の卒業生として自信と誇りを持って社会へ巣立っていただきたいと思います。どんな困難に出 会おうとも強い信念と勇気を持って自らの人生を力強く切り開いていっていただきたい。そして、本学において学んだことを生涯 大切にするとともに、更にこ れに磨きをかけていってもらいたいと思います。
本日の学位記授与式ならびに修了式にあたり、無限の可能性を秘めた卒業生・修了生の皆さんの今後の一層の活躍と、ますますの発展を心から祈念いたしまして告辞といたします。