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17年度 入学式告辞

麗澤大学 第4代学長 梅田博之

(一)はじめに

本日ここに、公私ともにまことにご多用の中を多数のご来賓をはじめ関係各位のご臨席をいただきまして、本学の平成17年度入学式を盛大に挙行できますことは、私の心からの慶びとするところでございます。衷心より厚く御礼を申し上げます。
また、ご家族、保護者の皆様には、ご子弟の勉学の成果が見事に実り、ここにめでたく、入学式を迎えられまして、さぞかしお喜びのことと、心からお祝いを申し上げます。
今年は、大学院生、学部生、別科生、研究生、特別聴講生を合わせて799名の新入生を迎えることができました。改めて、麗澤大学に入学された新入生の皆さんに、大学を代表して心からお祝いと歓迎の意を表したいと思います。
新入生の中には、海外の17の国と地域からの留学生が233名入学されました。在学中の外国人留学生も含めますと、その総数は22の国・地域から539名 となります。全学生数3,084名の約17.5%にあたります。海外の各地から皆さんをお迎えすることができましたことは、大きな歓びであり、我々教職員 一同は在学生とともに、心から温かく歓迎いたします。

(ニ)建学の理念と麗澤の意味

本学は、創立以来一貫して、「知徳一体」の教育理念のもと、高い専門性と品性、道徳性を具え、国際社会 に貢献できる人材の育成をめざしてまいりました。創立者の法学博士 廣池千九郎は、本学の前身である「道徳科学専攻塾」を昭和10年(1935年)にこの地に開設いたしました。今年でちょうど丸70年になります。創立者 は、「知識を真に生かすものは高い人間性・道徳性である」という考えから、人格陶冶を根幹としてその上で徹底した語学教育と実務教育を行うことによって、 「世界で真に信頼と尊敬を受ける国際人の育成」をめざしたのであります。
また、本学の「麗澤」という名前は、中国の古典である『易経』に由来す るものであります。「水脈を同じくする、二つの連なった沢」は、いつでも互いに潤しあって枯れることがない。そこから、「優れた師のもとで、互いに友人同 士が補いあい、切磋琢磨する、つまり仲間同士互いに励まし合って学徳を磨くことによって、人格の完成をめざし、社会に貢献できる人材を育成する」という意 味を込めて、麗澤という名前が付けられたのであります。
麗澤大学の学生になった皆さんは、この麗澤の意味をよく理解されて、よき師の感化を受け、良き友と切磋琢磨して、社会に有用な人物になっていただきたいと、心から念願いたします。

(三)大学生としての自覚

さて、皆さんは今日から大学生です。自立した一個の人間として、考え、行動してください。高等学校の時 とは違った勉学の態度が必要です。高校までは、段階別の教科書があって、学習のレベルと学ぶべき知識が決まっており、その範囲の中のものを勉強し理解すれ ばよかったのですが、今日からは自ら問題意識を持って、自分でいろいろ調べたり、参考文献にあたったりして、自律的に学習し理解しようと努めなければなり ません。
大学では、学問を学びますが、これは先人たちの叡智と努力によって築かれた知識の体系と、物事を考える方法を学ぶということです。特に、物事をその根元から徹底的に考える習慣を身に付けることが肝要で、柔軟で且つ論理的な考え方を養う必要があります。

(四)国際理解と語学教育・情報教育

【世界化と情報化】今日の世界は、経済・社会・文化等の様々な面で世界化が進み、国際的な依存関係はま すます深まっています。環境問題、エネルギー問題、難民問題等、どれをとっても地球規模の問題で、その解決にはグローバルな視点が不可欠です。それと同時 に、情報科学技術の進歩も現代社会に大きな変革をもたらし、時間的・空間的な制約を崩して世界化はますます進みました。
【地域社会の国際化】一方、地域社会も以前のような単一言語社会、均一的文化の社会とは違って、国際化が進み、いろいろな国や地域から来た人々がともに暮らす社会、異なった言語を話し、異なった文化を持つ人たちが共に生きる多言語・多文化共生社会に変わりつつあります。
【世界化・国際化への対応】世界化・国際化・情報化が進む21世紀に生きていくためには、それぞれの専門分野の知識・技能を高める他に、まずグローバルな 社会で共通語となった英語の運用能力を高めることが必要ですが、それと同時に多言語・多文化共生社会で生きるために、広い視野を持ち、自分とは異なる文化 を理解して「違い」を認め合い、お互いの歴史的伝統や多元的な価値観を尊重し合うことによって、ひとつの物の見方や考え方だけにとらわれない、豊かな国際 性を身につける必要があります。  【特に言語の重要性】国際理解に際して、特に必要なものは言語です。言語は、コミュニケーションの道具であるだけでなく、外界に対する認識と密接な関係 があり、人間は外界の事象を、言葉を手がかりにして把握しています。それ故、言語を学ぶことはその言語を話す民族の考え方や文化を理解することに通じま す。ですから、世界共通語としての英語以外にもアジアの言葉も含め、少なくとももう一、二ヶ国語は学んでほしいものです。
【情報化への対応】情報処理技術の進展にともない、急速に発達したインターネットは、知識や技術の伝達の手段として大きな可能性を持っており、積極的な活用が期待されます。
このような情報技術の進展に対応するために、本学では最新のコンピュータシステムを整備し、文科系では国内でトップクラスという高い評価を受けている情報 教育を実施しています。皆さんは授業が始まると、実際にコンピュータを使って様々な学習を行うことになりますが、在学中に、ぜひ、ネットワークの運用・管 理やプログラミング等、高いIT活用能力をしっかり身につけていただきたいと思います。

(五)情報処理と外国語学習

ここで、情報処理と外国語学習の関連について考えてみたいと思います。情報化が進んだ結果、私たちは、 ウェブページや電子メールなど様々なサービスを使って、手軽に、世界中と情報を瞬時にやりとりすることができるようになりました。皆さんは、是非この便利 なツールを使い、様々な情報の収集や交換を行って、研究や学習に役立ててください。また、生活等の情報の収集のためにもたいへん便利だと思います。
Global Researchという調査機関の2002年3月末現在の統計データによれば、現在インターネット上には3,000億を越えるといわれるウェブページが公 開されていますが、そのうち日本語で書かれたウェブページは5.9パーセントに過ぎません。ですから、94.1パーセントは日本語以外の外国語で書かれた ページで占められていることになります。なお、日本語以外の外国語で書かれたウェブページ94.1パーセントのうち、英語で書かれたウェブページは 68.4パーセントで、この数字は英語の学習の必要度の高さを端的に示していますが、それ以外の25.7パーセントは英語以外の外国語で書かれています。 もし私たちが日本語しか知らないために日本語のウェブページしか利用できないとしたら、世界中に公開されている情報の約94パーセントは何も利用できずに 捨てていることになります。それこそ“モッタイナイ”話であります。それゆえ、インターネットの情報を活用するためには、英語その他の外国語の知識を持つ ことが必要であり、また逆に、外国語学習の観点からもインターネット上の生の情報を教材として利用することはきわめて有効であると思います。なお、その 際、有益な情報とそうでない情報を取捨選択して活用する判断力と倫理性が求められることはいうまでもありません。
また、電子メールは研究やビジネスなどの情報交換の手段として急速に一般化しており、電子メールによる情報交換も当然外国語を使用することが必要な場合が多くなってくると思われます。
インターネットを使った外国語による情報の収集や発信の必要性が高まっている背景には、パソコンの多言語情報処理技術が急速に進歩したことがあげられま す。いろいろな国や地域で使われているいろいろな文字、漢字とかハングルとかタイ文字などの処理方法がユニコードという世界標準の文字コード体系によって 一体化され、同じ一つのパソコン画面で同時にさまざまな言語のテキストを扱うことが可能になりました。また、パソコンの多言語処理機能が進歩した結果、今 後、英語以外の外国語、特に中国語や韓国語のウェブページ、あるいはユーザーの数が飛躍的に増加することが予想されます。とはいえ、この多言語情報処理を 活用するためには、各言語の「入力システム」や「文字コード体系」などの知識が必要ですので、多言語処理に関する基礎知識についても積極的に学習されるこ とをお勧めします。
インターネットを利用した情報の収集と発信には、英語の運用能力が必要なことはもちろんですが、パソコンの多言語処理方法の 進展によって、今や英語以外の外国語の知識があれば情報収集の範囲と量が、一層広がり、増加するに違いありません。英語の学習以外にアジアの言語を含め、 もう一つか二つの外国語の学習をお勧めするゆえんはここにもあります。

(六)大学生活に期待するもの

さて、皆さんが今日からおくる四年間の学生生活は、長い人生の中でも、特に重要で且つ楽しい時期だと思います。
自分がやりたいことを見極め、どんな分野でどのように社会に貢献するかを決め、そのための基礎となる知識や方法、技術を修得する重要な時期です。
他方、この時期は、高校時代より行動の範囲が広がり、交友関係も多様になって楽しい思い出ができる時期でもあります。今後、社会に出てさまざまな人間関係 を結んでいく中で、その原点ともなるべき温かく永続的な人間関係を構築する時期でもあります。大学時代によき師、よき友に恵まれれば、その後の人生に幅と 厚みが加わるに違いありません。生涯、心を許し合える人間関係を構築していただきたいと思います。
大学生活でもう一つ大切なことは、広く教養を 身に付け、社会性を養い、社会的な問題に対して自分のはっきりした意見をもてるようにすることだと思います。わたしたちは社会の中で生き、経験を積み、知 識や知恵を獲得する過程で、物の見方、考え方、価値観などを身に付けていきます。あらゆることにいつも知的好奇心と探究心を持って接すれば、それだけ深く て適格な見方、考え方ができるようになります。
礼儀・作法を身に付けることも社会に生きる人間として大切な教養のひとつです。礼儀・作法の大切さを充分に理解し、実践してください。
もうひとつ忘れてはいけないことは、今後の人生での活動には健康であることが肝要であるということです。規則正しい生活を心がけ、夜更かしをせず、適度の運動を行って、健全な健康状態を維持するようにしてください。

(七)留学生の皆さんへ

ここで、留学生の皆さんに、ひとこと申し上げます。
皆さんが日本に留学に来られた目的は様々 でしょうが、しっかりとその目的を達成されることを心から願っております。特に、留学の基礎となる日本語の学習については、日本語教育センターで先生方が 皆さんの日本語のレベルと母語を考慮した、系統的な指導をしてくださいますので、まず日本語をしっかり身に付けてください。言葉ができるようになると、日 本人と日本文化に対する理解度も格段と高まります。また、一人でも多くの友人をつくり、日本と母国をつなぐ人間関係を築いてください。 一方、日本人の新入生の皆さんには、留学生たちを温かく迎えてくださるようお願いしたいと思います。また、留学生と仲良くすることによって、自分と異なる 文化や考え方に接することができますから学ぶことも多いはずです。

(八)大学院新入生の皆さんへ

次に、大学院に進学される皆さんにも、ひとこと申し上げます。
大学院では、学問をより深く学び、さらに高度な研究成果についても学習すると同時に、いつも旺盛な問題意識を持ち、自分の研究課題を見つけ、自律的に研究を進めていただきたいと思います。
皆さんの大学院での研究の成果を期待いたします。

(九)おわりに

最後に申し上げます。
皆さんが、今後の人生で出会う、いろいろな困難な問題に対して解決の方 法を与えてくれるのは、皆さんが大学生の時に培った「学問的知識」と「思考力」であり、「教養」と「品性」であります。まさに、大学時代に、皆さんの長い 人生の基礎が築かれるのだということをよく認識して、今日からの四年間をおくっていただきたいと思います。
自立した人間として高い志を持ち、新しい時代の創造のために力を尽くし、同時に他人の立場に立って考えることのできる寛容さを具えた、高度の専門性と品性を持った国際人を目指して、充実した大学生活をおくることを希望して、告辞といたします。