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17年度 卒業式告辞

麗澤大学 第4代学長 梅田博之

(一)はじめに

本日ここに、公私ともにまことにご多用の中を多数のご来賓をはじめ関係各位のご臨席を賜り、本学の学位記授与式ならびに別科日本語研修課程修了式を盛大に挙行できますことは、私の大きな喜びでございます。衷心より厚く御礼申し上げます。
ご家族、保護者の皆様には、今まで温かく支えてこられたご子弟の勉学の成果が見事に実り、ここに晴れて、今日の日を迎えられまして、さぞかしお慶びのことと、心からお祝いを申し上げます。
また、後援会、麗澤会をはじめ多くの関係者の皆様方には、日頃から本学の教育活動に深いご理解をいただき、ご支援、ご協力を賜りましたことに対しまして、厚く御礼申し上げます。
さて、今年度は、外国語学部三〇五名、国際経済学部三三九名、合計六四四名に学士の学位を、大学院では、言語教育研究科博士後期課程修了の一名と、国際経 済研究科博士課程修了の二名に博士の学位を、言語教育研究科博士前期課程十五名、国際経済研究科修士課程一七名、合計三十二名に修士の学位を、別科日本語 研修課程は四十二名に修了証書を授与いたしました。したがって、本年は、総数六七九名の卒業生を送り出すことになります。さらに、海外の提携校から留学し てきている特別聴講生も二名が修了されました。
これら卒業生・修了生の皆さんには、教職員を代表して心からお祝いを申し上げます。皆さんが本 日、晴れの日を迎えることができましたのは、皆さん自身の努力も勿論のことですが、背後にあって皆さんを支えてこられたご家族、その他の方々のおかげであ ります。これら多くの恩人に対する感謝の心を忘れてはなりません。
本学は、創立以来、「知徳一体」という教育理念のもとに、真の人間尊重、品 性の向上を目指す教育と、少人数教育を基盤とする厳格な学力評価のもとに専門教育を行い、高い道徳性と専門性を兼ね備えた人材の育成を目指してまいりまし た。卒業生の皆さんが、我々のこの期待に立派に応えてくれたことに対し、祝意と感謝の意を表する次第です。

(二)いざ社会へ

まず、学部卒業生の皆さんに申し上げます。
皆さんは、大学での四年間の生活を終え、今日の 学位記授与式を迎えました。皆さんは大学で、学問はもちろんのこと、社会の中で生きていくために必要なさまざまな知識・教養など、多くのことを学びまし た。 皆さんはすでに社会的にも法律的にも立派な大人と認められていますが、本当に一人の独立した社会人として、自分できちんと判断し正しい行動ができるか、あ るいは感情に流されることなく抑制的に行動することができるか、この際、確認していただきたい。皆さんは今日、社会人としての第一歩を踏み出すわけであり ます。本学で学んだ知識や、本学の教育の中で陶冶された人格を支えに、自信を持って、新しい社会に出て行っていただきたいと思います。

(三)今日の世界

皆さんが、これから新しい一歩を踏み出す世界は、大きな激動期にあります。国際社会は、独裁と人権抑圧 のある国、貧困や飢餓から脱出できない国が存在し、 宗教的対立もからんで、世界各地で紛争が起こるというように、多くの難問を抱えています。これらの課 題の解決には、皆さんのような若い力が必要であります。皆さんは、この世界を真に公正で平和なものとするために力を尽くすことが期待されています。
そのためには、広い視野を持ち、自分と異なる文化を持った人々とともに生きていく資質や能力を持つことが必要です。「違い」を認め合い、互いの歴史的伝統や多元的な価値観を尊重し合う態度を持たなければなりません。
国際化が進む中、多民族・多文化の調和ある共生を実現するためのリーダーとして力を尽くしていただきたいと心から望んでおります。

(四)現代日本社会と「社会的責任」

現代の日本社会は、耐震強度偽装、有価証券報告書の虚偽記載、粉飾決算、リコール隠し、企業や組織の規 律意識の欠如に由来する数々の不正等々、公的部門も含み企業や組織の不祥事が相次ぎました。 相次ぐ企業の不祥事を契機に、「企業の社会的責任 (CSR)」の重要性がますます認識されるようになりました。
元来、ビジネスは信頼関係の上に成り立つものであり、経営者が「誠実な経営」を 心がけなければならないのは当然ですが、それをさらに進めて、より明確な形で社会的貢献活動を行うことが企業の永続性につながると考えられるようになって きました。これは、従来のように、顧客や投資家といった直接的な利害関係者だけを対象として考えるのではなく、広く社会一般を利害関係者と捉え、社会的善 のために何をすることが必要かを考えるようになった、つまり、法的・経済的責任を超えて社会的責任を果たすことの必要性を認識するようになったと言うこと ができましょう。
本学の創立者は、「知徳一体」という理念とともに「道徳と経済は一体である」という「道経一体」を提唱し、実際に多くの経営 者の指導を行い、大きな成果を挙げてまいりました。これらの理念を実現するため、本学においては道徳科学を必修科目に据え、さらに企業倫理や情報倫理等を 重要な教育の柱としています。また、企業倫理研究センターを設置し、コンプライアンス(つまり、倫理法令遵守)のためのシステムづくりや、企業の社会的責 任という観点からの投資基準・会計基準の策定といった研究を通じて、公正かつ責任あるビジネスの実践を促し、倫理的な企業が正当に評価され、明確な形で報 われる社会の建設に寄与するための活動を展開しています。
産業界での「企業の社会的責任」への取組みが高まる中、大学自身も「大学の社会的責 任(USR)」への対応が求められています。高等教育と学術研究という国家と国民の将来にかかわる重要な責務をもつ大学は、その任務を遂行していくに当っ て、社会の期待と要請に応え、社会的責任を果たしていかなければなりません。大学が、特色ある、優れた「教育・研究」を展開し、有為な人材を養成すること は大学本来の目的でありますが、まずこれを着実に果たすことが社会的責任の一側面に応えることになりましょう。他方、大学が有する人的・物的・知的資源を 社会の要請に応えて開放し、提供することも社会的責任の一つと考えられます。
また、大学は、社会的存在として、環境に対する対応や社会貢献を行うことによっても社会的責任を果たす必要があります。
市民・地域・社会の幸福に資するような形で、教育・研究、環境・社会といった側面において社会的貢献を為し、その結果を公開し、説明責任を果たしていくことによって、社会的責任に取り組んでいかなければなりません。
麗澤大学は、社会的責任を果たす一環として、地域小中学校等にネットワークを作り情報教育を支援するNPO法人柏インターネットユニオン(KIU)に積極 的に参加し、地域貢献を果たすと同時に、学生の実体験学習の場として大きな教育効果も挙げています。また、柏市が行っている「かしわ環境ステーション (KSS)」にも積極的に参加し、環境保全の促進に協力するとともに、地域環境情報エキスパートの養成を計画しています。 企業倫理研究センターでは、先 に述べた活動以外にも、教員向けのモデル倫理綱領を公表しています。また、現在、内閣府を中心に検討が進められている「消費者団体訴権制度」の制度的基盤 づくりを目的とする「消費者支援基金」が設立されましたが、これも本学の企業倫理研究センターが提唱し、実現したものです。そして、その設立の際には、大 学として率先して協力いたしましたが、これも社会的責任の一端を果たしたいと考えてのことであります。
このように、「社会的責任」は企業ばか りでなく、公益法人等の団体においても必要な考え方ですが、一方で、その対極に位置する市民・消費者の側でも「社会的責任」を考える必要があります。たと えば、環境に配慮した商品を優先的に購入するとか、社会貢献の度合いで企業を評価するとか、マイナスの情報も敢えて開示して是正に努める企業の行動を評価 するなど、公正かつ安全な社会を創っていくという視点に立って行動することが求められます。
これからの社会では、この「社会的責任」が一つの 重要なキーワードとなるでしょう。 皆さんもこれから、社会の一員として様々な形で社会に関与していくことになるわけですが、企業で働く人も、官庁や学校 などの組織で働く人も、あるいは家庭の主婦も、ともに市民として、自分たちの社会のあり方を考え、「社会的責任」を果たすよう努力する必要があります。特 に本学で学んだ皆さんは、この「社会的責任」の重要性を認識し、自分たちの社会のあり方を考え、率先して行動に移していく人材になっていただきたいと念願 いたします。

(五)「知識基盤社会」の時代を生きる

さて、皆さんが社会に出て仕事をするようになると、さまざまな困難な問題に出会うことがあると思いま す。その際、 どのように対処したらよいか判断に迷った時は、物事の根本に立ち帰って考えることが大切です。そういうときに頼るべきものが学問です。皆さ んは、大学で学問を学びました。学問には、先人たちの様々な経験から導き出され、体系化された知識が含まれています。また、学問を学ぶことによって、論理 的な考え方が養われます。よく、大学で習う学問は、実際の社会では役に立たない空理空論である、というようなことを言う人がいますが、決してそんなことは ありません。たしかに学問の内容と現実の社会での出来事との間には大きなギャップがあることは事実でありましょう。しかし、学問は、実際の社会のいろいろ な具体的な事柄に対する基本的な考え方を示してくれ、問題解決へのヒントを与えてくれます。
さて、二十一世紀は「知識基盤社会」 (knowledge-based society)の時代であると言われています。 これからの時代は、高度な知識や情報が、社会の、政治・経済・文化をはじめとする、あらゆる領域での活 動の基盤として、飛躍的に重要性を増す時代だということであります。そのため、社会に出た後も、学問や技術の新しい展開について学ぶ必要や、社会が新たに 提起した問題の解決策を研究する必要が、より一層増して来るに違いありません。 生涯学習の必要性はますます高まってきました。
皆さんは、今 日、大学を卒業しますが、それは決して勉学の終わりを意味するものではありません。今後も、必要に応じて、いつでも大学を訪ねて来てください。 ゼミの先 生に相談するのもよろしいし、もう少し本格的に勉強したいときには大学院の社会人入学制度や研究センターが開催するセミナーもあり、さらに四月からは生涯 学習の場としての「麗澤オープンカレッジ」も開講されます。麗澤大学は皆さんの心の故郷であると同時に、実際に皆さんの必要に応じて新しい学問・知識を提 供する充電の場でもあるのです。

(六)大学院修了者に

次に、大学院修士課程および博士前期課程を修了した皆さんに申し上げます。
このたび、所定の課程を修了され修士の学位を取得されましたことを心からお祝いいたします。
修士課程ではそれぞれの専門分野の知識を深く学び、その分野の専門家になるために、自ら自律的に研究を行い、修士論文を完成されました。この自律的な研究と、そこから得た自信が、今後の皆さんの仕事の支えとなることでしょう。
今日晴れて修士の学位を取得された皆さんが、それぞれの専門分野で「知識基盤社会」形成の担い手として活躍されることを期待いたします。

大学院言語教育研究科博士後期課程を修了し、博士の学位を得られた汪義翔さん、国際経済研究科博士課程を修了し、博士の学位を得られたセリーテル・エリデネツールさん、林志鴻さん、おめでとうございます。
汪義翔さんは、「遼河文明の起源と環境」と題する学位論文において、黄河文明・長江文明以外に、遼河文明の存在を指摘してその特質を明らかにし、多元的な中国文明史観を提示されました。
セリーテル・エリデネツールさんは、「モンゴルにおける人口成長、労働力、経済発展窶柏l口学的分析窶煤vと題する学位論文において、モンゴルの人口問題に関 する資料・データを網羅的に渉猟し、モンゴルの人口学研究を推進させ、また人口と経済発展との関係について新しい知見を示されました。 
林志鴻さんは、「台湾経営理念の史的研究」と題する学位論文において、台湾の中小企業の企業家を中心に、十七世紀なかばのオランダ統治時代から現代までのおよそ三百年間にわたって、その経営理念の形成の歴史を論じられました。
たゆまぬ努力を重ねてこられた皆さんの尊い研究成果を称え、ご列席の研究科長とともに博士学位の取得を心からお祝い申しあげます。
麗澤大学の教育理念は、「高度の専門性と道徳性を兼ね備え、国家・社会の発展と人類の安心、平和、幸福の実現に寄与できる人物を育成する」ことでありま す。皆さんは、この理念のもとに、特定の専門分野の高度な知識を修め、それを深く掘り下げて、論文にまとめ、博士の学位が授与されたのであります。今後さ らに研究を進め、学問の発展と人類の幸福に資するよう努力していただきたいと思います。博士学位の取得は決して到達点ではなく、新たな知的挑戦への出発点 であることを心に銘じていただきたいと思います。

(七)留学生のみなさんに

ここで、留学生の皆さんに申し上げます。
世界各国から来日され、麗澤大学に学ばれた皆さんは、慣れない生活の苦労を乗り越え、本日、無事に卒業、修了の日を迎えられました。まことにおめでとうございます。
皆さんは、この麗澤で多くのことを学ばれたと思いますが、私たちも皆さんから多くのことを学びました。皆さんたちが来てくださったおかげで、麗澤はいわば 多言語・多文化共生の社会となりました。異なる言語・文化の担い手たちが、キャンパスの中で交流を深め、お互いに豊かな国際性を育てることができました。 麗澤でのよき思い出を忘れずに、この学園を皆さんの「第二のふるさと」と思っていただきたい。
皆さん方が、この麗澤大学で学ばれたこと、そして日本で体験されたことを十分生かして、我が国とお国との「良き架け橋」として今後一層ご活躍されることを、我々教職員一同心から願っています。

(八)麗澤人としての誇りを胸に

最後に、改めて卒業生・修了生全員に申し上げます。
皆さんは、麗澤の卒業生として自信と誇 りを持って社会へ巣立っていただきたいと思います。どんな困難に出会おうとも強い信念と勇気を持って自らの人生を力強く切り開いていっていただきたい。そ して、本学において学んだことを生涯大切にするとともに、更にこれに磨きをかけていってもらいたいと思います。
本日の学位記授与式ならびに修了式にあたり、無限の可能性を秘めた卒業生・修了生の皆さんの今後の一層の活躍と、ますますの発展を心から祈念いたしまして告辞といたします。