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教育・研究
2017.07.10|最終更新日:2020.07.24|

第33回大平正芳記念賞贈呈式にて外国語学部櫻井良樹教授が表彰

平成29年6月12日(月)、岸田文雄外務大臣をはじめ300名近くが出席するなか、「第33回大平正芳記念賞」の贈呈式(公益財団法人大平正芳記念財団主催)が、東京・一ツ橋の如水会館で開かれ、本学外国語学部櫻井良樹教授が表彰されました。

同賞は、「環太平洋連帯構想」の発展に貢献する政治・経済・文化・科学技術に関する優れた著書・共著・編著に対して与えられるもので、櫻井教授の著書『華北駐屯日本軍』(岩波書店)が選ばれました。選評では、同書が、各国の史料を用いながら、これまで断片的にしか描かれなかった華北駐屯日本軍について、設置から盧溝橋事件後の廃止に至るまでの歴史を初めて描いたこと、また同様に駐屯していた各列強軍との関係の中で変質していく過程を明らかにしたこと、またこのトピックを扱うことの現代的意義が高く評価されました。

受賞をうけて櫻井教授は、「若手研究者が選ばれることが多い同賞を、思いがけなくいただき、たいへん感謝しております。本書では、駐屯軍が有する邦人保護・居留地防衛の機能の側面だけでなく、国際条約にもとづく国際軍的性格が付与されていたために生ずる国際力学の側面に注目するとともに、混乱をまして行く情勢の中で現地の秩序維持を担う平和維持軍的機能を持たされていた〈現実には戦ってはならない軍隊〉であったことについて着目しました。本書に現代的な意義があるとすれば、人道的支援や平和維持の名のもとに軍事力の利用がなされている現代を考える時、戦うことを目的にしなくても生じてくる様々な作用や変化を、この過去の事例からすくい取ることができるということだと思います。今後は、日本のほかに華北に駐屯していたアメリカ・イギリス・ドイツなどの駐屯軍について研究していきたいと思います」とのコメントを寄せていただきました。

贈呈式会場の様子

表彰後の櫻井良樹教授