学校教育研究科道徳教育専攻 教員リレーエッセイ連載(第6回)
2017.9.11

道徳科教育学の確立に向けて

富 岡  栄

 

 周知のとおり、「特別の教科 道徳」(道徳科)が小学校では来年度より、中学校では再来年の2019年度より全面実施となります。このことは、道徳教育にとって1958年に「道徳の時間」が特設されて以来の歓迎すべき画期的な出来事であると考えています。これまでの「道徳の時間」は、学習指導要領解説特別の教科道徳編でも『歴史的経緯に影響され,いまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮があること,他教科に比べて軽んじられていること,(中略)多くの課題が指摘されている。』と述べられており、歴史的経緯やイデオロギーの中で翻弄され、子供たちにとって大切なものであると認識されてはいるものの軽視化されてきた傾向がありました。今回の教科化で、子供たちの幸せの実現を図る道徳教育が、質量ともに充実していくことと確信しています。

 ところで、学校教育の各教科では、「理科教育」「数学科教育」のように教科教育学が学問領域として確立しています。しかし、残念ながら、道徳教育は教科でなかったことや軽視化されてきたことなどもあり、「道徳科教育学」なるものは確立していません。やはり、教科が充実・発展していくためには教科教育学の確立が必要です。今後、道徳教育の継続的な充実のために理論と実践を往還させながら、道徳科教育学の確立を図っていくことが重要であると考えます。