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教育・研究
2018.06.12|最終更新日:2020.07.24|

本学客員教授・西岡力先生による講演会開催「拉致問題から見るモラルの普遍性」

 6月7日、「拉致問題から見るモラルの普遍性」をテーマに、麗澤大学客員教授の西岡力先生による講演会が開催された。

 西岡客員教授は、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(略称:救う会)の会長として、長年にわたり拉致問題解決に取り組んでこられた。

 本講演で西岡客員教授は、「悪」と直面した時こそ、人間と国家の生き方が問われるという考えを示し、拉致問題という絶対の「悪」に対して、この問題に巻き込まれた人々が、それぞれどのように向き合ってきたのか、具体的事例をもとに紹介された。

 例えば北朝鮮の工作員として拉致に関係し、大韓航空機爆破事件で捕らえられた金賢姫は、その罪を認め、拉致の事実を明らかにした。両親から愛情を受けて育った彼女は、被害者にも両親がおり、その両親がいかに心を痛めているかということを考えたのである。

 また横田めぐみさんの両親をはじめ、被害者の家族は、拉致された子供のことを心から愛し続けた。その深い愛情は、子供は事故で死んだとする北朝鮮の発表のウソを見抜き、いまもなお生きているという事実を明るみに出すことにつながった。

 それに対して、日本の政治家やメディア、外務省は大韓航空機爆破事件の後も、拉致問題を黙殺し続けた。「悪」に対して立ち向かう道義心が無かったのである。

 西岡客員教授は、こうした拉致問題をめぐる関係者たちの生き方についてお話しされた。それは、拉致問題を黙殺しようとする人々と一貫して闘ってこられた西岡客員教授自身の歩みを意図せず浮き彫りにするものでもあった。

 西岡客員教授の講演は、受講する学生に対して、皆さんはこれからの人生で、「悪」とどう対峙し、どう生きていくのか、と問いかけるものだったといえる。

 なお本講演は、大学の2年生の授業科目である「道徳科学A」から川久保剛准教授のクラスと橋本富太郎准教授のクラス、そして1年生の科目である「基礎ゼミナール」からジェイソン・モーガン助教が担当するクラスが参加して、合同授業のかたちで開催された。会場には、これらの科目の受講生に加え、多くの学生や卒業生が聴講に集まった。

 (麗澤大学道徳科学教育センター副センター長 川久保剛)