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2018.06.18|最終更新日:2020.07.31|

【開催報告】「第1回 知の発信会」を開催
~グローバルリスクとしての外国公務員贈賄~

 2018614日(木)16:2017:30に、経済学部主催の「知の発信会」が開催されました。第1回は、藤野真也助教が「グローバルリスクとしての外国公務員贈賄」と題し、研究報告を行いました。

研究報告を行なった、藤野助教

本報告では、本研究の目的は、「なぜ外国公務員贈賄問題に対する日本企業の取り組みが進まないのか」という問いについて、コンプライアンスの観点から考察を行いました。米国海外腐敗行為防止法(FCPA)影響力はすさまじい勢いで増大しており、それが現実的なリスクとして、新興国に事業展開するグローバル企業の肩に、大きくのしかかっています。日本の国内市場は、少子高齢化に伴う人口減少によって、縮小が避けられない状況となっています。このため、新たな市場の獲得を目指して多くの企業が海外進出を企図しています。アジア地域でインフラ需要が増大していることも、この動きに拍車をかけているのです。企業にとっては、必然的に高額な外国公務員贈賄に関与する機会が増えることが予想されます。グローバルな外国公務員贈賄防止体制が構築され、活発に機能していることを考えれば、日本企業が抱えるリスクは非常に深刻だと言えるでしょう。

こうした問題意識に立脚して先行研究の整理を行ったところ、以下の3つの可能性を提示されました。それは、まず(1)「リスク認識が不足している」、つぎに(2)「判断を誤っている」、そして(3)「情報収集ができていない」です。これら3つの可能性について、「企業セクター」「政府・行政セクター」「市場セクター」の3つの視点から考察を行ったところ、経営者の「リスク認識が不十分であること」「判断を誤っていること」「情報取得ができていないこと」の3点が、日本企業による外国公務員贈賄問題への対応が進まない理由であることが確認されました。本研究から得られた示唆を突き詰めれば、外国公務員贈賄防止の内部統制に関して、日本企業の経営者の意識が国内志向を抜けきれていない点に、根本的な原因あると言えます。

 質疑応答では、参加者からの質問が相次ぎ、報告者、参加者を交えた活発な意見交換が行われました。

 次回のスケジュールは下記の通りです。多くの方のご参加をお待ちしております。

 日時:2018712日(木)16時頃~(教授会終了後)

 会場:かえで2階・第二会議室(教員控室のとなり)

 報告者:横田 理宇 助教

 題目:中小企業の地域社会に対するCSR活動が業績に影響を与える過程 -ソーシャル・キャピタルの視点に基づく事例研究-