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2018.09.11|最終更新日:2020.07.30|

第6回高校教員のための道徳教育講座を開催

 この講座は、千葉県立高等学校における道徳の必修化に伴い、平成24年度に、高等学校が主催する道徳教育に関する研修会へ講師を派遣し、参加者からの「道徳とは何か」「どのように教えたら良いのか」という疑問に応えるため、平成25年度から毎年本学主催で開催しており、第6回目となる今回は8月24日(金)に開催しました。
 今回の講座では「『道徳』の教科化と道徳授業への提案」をメインテーマに、千葉県立九十九里高等学校の末吉文武教諭、茨城県立潮来高等学校の岩瀬美江教諭による各校の実践報告と本学大学院学校教育研究科の富岡栄准教授の講義およびワークショップが行われました。

末吉文武教諭からは、まず「道徳教育の必要性」と「千葉県における道徳教育の現状」についての話があり、「九十九里高等学校における道徳教育」として平成29年度に行った公開授業について報告がありました。報告では、読み物教材を活用したこと、教師の基本的な指示・ワークシートを用いた演習の取り組みなどについて紹介があり、29年度の総括として、今後は「考え、議論する道徳」の授業を目指していくと話されました。また、「高等学校における道徳教育のこれから」として各教科や学校行事を通じての道徳教育が大切であり、必要なことは、まず、先生、学校のPASSION(情熱・熱中)であり、日々の実践に思いを込めることだと結びました。

岩瀬美江教諭からは、まず、茨城県における道徳教育とテキストについて紹介があり、潮来高等学校や前任校の鹿島高等学校における道徳授業について報告がありました。報告では、高校2年生を対象とした道徳プラスの授業の各校における生徒の様子、討議型授業、協議型授業の進め方などが紹介されました。また、道徳授業の成果や期待される効果として①クラス内外での相互コミュニケーションの活性化、②他の授業においても、積極的に参加する態度の定着、③学校生活や社会生活に生かせることなどがあると話され、今後の課題としては、①段階的な指導と生徒把握の必要性、②対話促進者のスキルアップの必要性、③情報の共有・学校全体での取り組みなどであると結びました。

富岡栄准教授は、「教材分析と活用」と題して講演を行いました。講演では「高校における道徳教育の目標」、「高校における道徳教育の充実」、「道徳性の捉え方」、「道徳教科化の理由」について説明があり、さらに、「道徳にかかわる用語」、「考え・議論する道徳」の具体的な授業、「道徳科における質の高い多様な指導方法」などについて解説がありました。その上で、具体例として千葉県の「道徳読み物教材集」、茨城県の「道徳教育指導資料道徳プラス」の中から二つの教材を使って教材の分析方法について話しました。また、「道徳科における評価」について、基本的な考え方、評価の仕方、効率的・効果的な評価、指導要録と通知表の記述などについて解説しました。

講演のあとには、道徳の授業の教材として高校生の発達段階に適した現代的な課題を考案し、それを教材としてどのように活用し、どのように授業を進めていくかについて、参加者が6つの班に分かれてワークショップを行いました。

「『道徳』の教科化と道徳授業への提案」のテーマ行われた今回の講座では、受講者はそれぞれに熱心に聴講、ワークショップを行い、満足した雰囲気の中で閉会しました。