ニュージーランド日本語教育実習

Reitaku University International Exchange Center Reitaku University International Exchange Center

ニュージーランド日本語教育実習

HOME 留学・実習プログラム紹介 ニュージーランド日本語教育実習

ニュージーランド日本語教育実習

プログラム概要

海外日本語教育実習
特  色 ニュージーランド、ウェリントン近郊の中高一貫校で日本語教師としての資質を養うと同時に、英語圏の学習者への日本語教育を体験します。学校での生活やホームステイなどを通して異文化を体験します。
内容:
1.日本語の授業の見学
2.日本語の授業の補助活動(TA、採点など)
3.日本語の授業のための準備(教材作成など)
4.日本語の授業の実施(教壇実習)
宿  泊 ホームステイ 3週間 (ホームステイ先から公共交通機関を使って通学)
条  件 最大3名程度(各学校に1名)希望者が受入可能数を上回った場合は、学科で選考する。
基本的に1人の実習生が1人の実習先の日本語教員について、全期間指導を受ける。
参加資格:
① 全専攻(ただし日本学/日本語・国際コミュニケーション≪JIC≫専攻以外は日本語教員養成課程副コース履修者および日本語教育・国語教育副専攻履修者)
②3年生以上
③英語力の基準 簡単な日常会話ができる程度以上
留学時期 3週間(8月下旬~9月中旬)
担当教員 近藤 彩

PICKUP留学体験記

一足先に留学を経験した麗澤大学の先輩たちが、留学先でのさまざまな体験談を語ってくれた「留学体験記」

閉じる

ニュージーランド

ニュージーランド日本語教育実習報告
森田 雄大
日本語・国際コミュニケーション専攻 3年
2018年8月~9月

1. はじめに  8月17日〜9月9日の約3週間、ニュージーランド北島のパラパラウムにあるカピティ・カレッジ(Kapiti Collage)という高校で日本語の教育実習を行ってきた。私がこの日本語教育実習に参加した経緯としてJIC専攻独自の留学プログラムであることが大きなきっかけとしてあげられる。日本語や日本文化を世界の多くの人に伝えたいという思いで麗澤大学のJIC専攻に入学し、私の目標を達成できる最大イベントとして兼ねてから熱望していたのがJICの留学制度を使って留学することであった。JICの留学制度は他の留学制度と違い、日本語を教えている海外の高校や語学学校に教育実習生として参加して、実際の教育現場を生で見ることができる。実際に教壇に立って自分自身で自由に日本の魅力を伝えるといった貴重な経験ができることなどがとても魅力的な留学制度である。いくつかある日本語教育実習の中でニュージーランドでの実習を選んだ理由として、私の知っている先輩からの進めや日常会話程度のレベルでも参加が可能であること。そして、私が幼い頃からニュージーランドという国への興味、関心がとても高かったことなど私にとっての好都合要素が重なったことがニュージーランドでの日本語教育実習に参加する理由となった。実際の学校での日本語の授業を体験するのも初めてであった私にとって毎日が楽しみと不安な気持ちだったが日本語や日本文化をしっかりと世界に伝えたいという強い気持ちを持って3週間の実習に望んだ。 2. ニュージーランドの教育システム  ニュージーランドの教育制度は日本の教育制度と大きく異なる。小学校の入学する年齢が5歳の誕生日になっており、決められた入学日の指定はない。そのため、次の年の編入クラスでは新入生と前年の後半入学の生徒が混ざって1つの学年で編成されている。小学校(Primary school)は学校によって異なるが平均的に5歳から10歳までの在学となっている。中学校(Intermediate school)は11歳から12歳の2年間の在学で中学校以降はYear7,8,9と呼ぶようになる。私が1日参加した小学校ではYear8のクラスがあり、そこの日本語クラスで日本語の教育実習をしたのでYear8の学年までが小学校に含まれている学校もある。高校は、Year 9(13歳)からYear 13 (17歳)の5年間で通う。高校の場合は、基本的にニュージーランド全体でこの教育システムが採用されている。義務教育は、日本のように中学校までという規則ではなく年齢で規則が決められており、16歳までが義務教育となっている。ちなみに公立の高校では18歳までの在学が可能である。学期制は、4学期制で新学期は2月から始まる。それにより、秋休みといった日本の学校には存在しない短い休み期間があることもニュージーランドの学校における一つの特徴となっている。授業は、英語、算数、社会、化学、音楽、美術、体育などの科目が必須科目であり、日本語などの外国語は選択科目に分類されている。特に外国語では日本語の他にちゅうがく中国語、フランス語などの言語がよく学ばれていて、ニュージーランドの公用語の一つにあたるマオリ語も学校では外国語科目に分類されていて受講する生徒が多い科目になっている。Year 11〜13はそれぞれに一定の基準(NCEA1,2,3)があり、各基準に達することでCertificateが出される。ニュージーランドの高校卒業後の進路は大学もしくは就職がほとんどなのだが大学進学希望者はNCEA3の取得が絶対条件になっている。私の滞在したパラパラウムには大学がなく、一番近い大学はウェリントンにあると聞いた。このように、日本とニュージーランドの教育システムは異なる点がたくさんあり、ニュージーランドは学校の入学日が特定されていないことが例としてあげられるように、教育に関しては日本よりもニュージーランドの方が若干自由ではないかと個人的に感じた。 3. カピティカレッジについて  私は日本語教育実習でカピティカレッジという高校を訪れた。カピティカレッジはウェリントン近郊のRaumati Beachにある共学の公立高校であり、全体で約1000名の生徒が在籍している。広大な敷地の中に教室棟を始め、カフェテリア、図書館、グラウンドなどの設備が完備されている。また、カピティカレッジは、Year13以外(Year13の生徒は私服)の全校生徒が制服を着用で学校に通うことが学校のルールとして決められている。カピティカレッジに在学する生徒は学校付近にある地域から通う生徒がほとんどだが、たくさんの国や地域出身の生徒が在籍していて、私が担当した日本語クラスでも中国、イギリス、オーストラリアなど生徒の出身国は様々であった。日本の東海大浦安と連携校であることも含め、学んでいる留学生の数も多いことから学校全体で国際化が進められていて、学校全体が多様性に溢れている様子が感じられた。生徒の主な1日は、朝学校に登校すると9時10分から自分が指定されたFT(朝の会のようなもの)のクラスに向かいFTを行う。その後、Period 1が10時10分から始まるため、自分が受ける教科の教室へ移動する。1日の授業はPeriod 1からPeriod 5まで授業があり、授業時間はそれぞれ50分である。授業の始まりと終わりは大きなチャイムが鳴ることで生徒に知らされ、チャイムが鳴った瞬間に教室を飛び出す生徒の姿も見受けられた。休憩時間は、Period 2とPeriod 3 の間にあるintervalとPeriod 4とPeriod 5 の間にあるLunch の計2回ある。生徒たちはこの時間はご飯を食べたり、友達同士で集まって話したりとそれぞれ自由な時間を過ごしている。毎日の生徒たちの休み時間の様子をみると階段や廊下に直に座ってご飯を食べる生徒が多いことが印象深くこれもカピティカレッジ特有の光景であった。Period 5の終了時間目前になると座っていた自分の椅子を机の上にあげたり、教室の戸締りなどをしてチャイムが鳴ると生徒たちは自由に帰宅する。終了時間は3時10分。その後、部活などに参加する生徒を除くほとんどの生徒や先生は学校には長居せず、すぐに帰宅していた。日本の学校の場合、部活などに参加する生徒が多いので放課後でも学校に残る生徒が多いのだが、カピティカレッジの先生に聞いたところカピティカレッジでは部活に所属する生徒が少ないので学校に残る生徒も少ないと言っていた。このようにして、カピティ生の1日は終わる。   先生の1日は、1日の準備があるので生徒より少し前には学校に着いている。先生たちには自分の部屋があり、そこで授業の準備等を行う。しかし、授業前や休憩時間でもほとんどの先生は、自分の部屋ではなく職員室でゆっくりするのがカピティカレッジのスタイルになっている。職員室と言っても椅子がたくさん並べられていて、そこに座って話したり、食べたりする完全な休憩スペースで日本のように先生たちが忙しそうしている姿は見られなかった。自分の部屋に戻るのも授業が始まる5分前くらいで先生たちはみんなマイペースな印象だった。私も授業の合間や空きコマの時間にはほとんど職員室に滞在していて、授業で発表するパワポ作りや疲れていたら仮眠を取るなど自由な時間を過ごしていた。   私が担当していた日本語の教室の棟は職員室がある棟の隣だったのでかなり余裕を持って行動することができた。カピティカレッジの場合は教室棟や教室棟内に教室がたくさんあるので次の授業が少し遠い教室の場合は早めの移動も心がけていた。カピティカレッジの教室は扉を占めてしまうと内側からしか開けることができない仕組みになっているので遅れて来た人は中にいる先生や生徒に開けてもらわなければならない。なので、遅刻をすると少し大変である。他にも、ニュージーランドのラグビーで有名なハカがカピティカレッジ独自であったり、金曜はレインボーデイという口にガムテープを貼って一日一言も喋らないユニークな日があったりと日本の高校とは全く違うカピティカレッジの魅力をたくさん体験することができた。 4. カピティカレッジの日本語教育  カピティカレッジでは日本語を選択科目として取ることができる。日本語の授業はYear 9からYear13全ての学年で学ぶことができ、学年が上級になるにつれて生徒の日本語レベルも上達していくのでもちろん授業で学ぶ日本語の内容も徐々に難しくなっていく。日本語を担当している先生はジョン先生とヨン先生の2人であった。今回私はジョン先生が担当しているYear 9-1,9-2,Year10-1, Year11-1,Year12の5クラスとヨン先生が担当しているYear10-2, Year11-2, Year13の3クラスである計8クラスの日本語の授業で先生のサポートとして授業に参加した。カピティカレッジの日本語の授業で先生は全て英語で行う。1週目はYear11以上がテストだったので日本語の授業がなく、私自身も全ての授業に参加できたのだが2週目以降は全クラスで授業があったため同じ時間にブッキングしてしまうこともあった。その際はできるだけ全部の授業に顔を出すことを心がけていたのでスケジュール表にどの日にどの授業へ参加するのかを前もって決めていた。私が各クラスに初めて参加した際は、事前に作っておいた自己紹介のパワーポイントを使って自己紹介をした。自己紹介には生徒の興味を引くためや生徒たちがどれだけ日本の文化に興味や関心があるのか知りたかった為、私が小さい頃から習っている合気道の紹介も同時に持ち寄った。合気道に関しては紹介すると多くの生徒が私の合気道の話を夢中で聞いていて合気道についてのたくさんの質問を受け、Year13では実際に体験をしたいと立候補した生徒へ簡単な技を実戦形式で教えたことなど日本文化への興味、関心を持つ生徒がたくさんいることを知り、合気道を世界に普及できたことの喜びも含め、ファーストコンタクトとして大成功だったと思う。私は研修中の3週間の間に日本の和食や日本で体験すべきことなど日本文化に対するプレゼンテーションを合わせて20回以上発表した。人前で発表することが苦手な私にとって、一人で発表することは緊張と不安でしかなかった。しかし、全てのクラスの生徒が私の発表を興味深く聞いてくれ、私の発表を楽しみしているとたくさんの声が聞けたので満足のいく発表ができた。最初の緊張からは大きく代わり、終盤にはジョークを交え発表を行う余裕もでき、自分の発表が大きく上達しているのを感じた。日本語の授業を履修している生徒は日本のポップカルチャーをはじめとする様々な日本の文化、漢字やことわざといった日本語など日本のことが大好きな生徒たちいたことがとても嬉しく思った。日本語を学ぶ生徒は学年が上がるにつれて徐々に数が減っていき、Year9〜11までが2クラスで構成されていたのがYear12,13は1クラスで構成されるようになる。他の外国語を学ぶ生徒や日本語の難易度が上がるので自分で満足する日本語のレベルまで学ぶと履修をやめてしまうことが主な理由としてあげられる。卒業まで日本語を学び続けて高い日本語能力を持って卒業をする生徒、少しだけ日本語をかじる生徒など日本語の学び方は生徒によって様々だが優秀な日本語の先生がいて、日本語や日本文化にしっかり触れることができるカピティカレッジの日本語科目はとても魅力的な科目だと感じた。 5.各学年での教育実習内容 ・Year9   入学初年度のYear 9のクラスでは日本語の基本であるひらがなやカタカナを勉強しする。Year 9では日本語を初めて学ぶ生徒が多く、日本語を聞いたことがない生徒もいるので、初めての自己紹介の際、ジョン先生から「ネイティブの発音を生徒たちに体験させたいから日本語で自己紹介をしてほしい」とお願いされた。そして、日本語で自己紹介をした際はその珍しさから驚いた表情をする生徒の姿がたくさん見受けられた。毎回の授業開始の際は先生が出席確認を行う。生徒の中には出席の返事で「ジョン先生お元気ですか?」と逆に先生に質問する子もいるなどできるだけ日本語を使いたいという生徒の日本語への関心が伺えた。授業ではひらがな、カタカナを学ぶ勉強方法として様々な方法を用いていた。例えば、グループでひらがなの文字カードを見せ合いお互いに読み方を確認する。スクリーンに映したひらがなの文字を先生が発音して、それが正か誤か生徒は手に持った●✖️カードで答える。日本のかるた遊びを授業に用いるなど主にクイズやゲーム形式でひらがなを勉強できるので生徒たちはとても楽しそうに授業を受けている様子だった。発音は手を喉に当てて確認する。濁音は「“か”ファミリー」、「“さ”ファミリー」のように行ごとに区別して覚える。ローマ字で書かれたひらがなのプリントをひらがなに訳して書くなど全ての学習法が簡単でわかりやすいので日本語を初めて学ぶクラスとしてとても適しているように感じた。 ・Year 10    Year 10では自己紹介ができるレベルの簡単な文章を勉強する。単語を習い始めるのもYear 10からである。毎週金曜日にテストが実施され、テストの点数も成績としてしっかり反映されているようだ。Year 10はペアやグループワークが多い印象で2人1組になり、相手のことについて日本語で質問したり、答えたりする。自分たちが興味のある日本文化についてグループになって調べて、発表もするなどYear 9から授業内容がレベルアップした印象を持った。私も2人1組のペア活動に参加したのだが生徒の中には質問や答えを忘れて出てこない生徒がいて、その際は英語でヒントを出したり、似たようなニュアンスの質問に変えたりなど生徒の理解を得るように工夫を心がけた。 ・Year 11    Year 11からは長めの日本語の文章を習い始める。私がクラスに参加したのは2週目からで生徒たちはいくつかの日本語の文法は勉強済みであった。ある程度の日本語での質疑応答ができるので私へ日本語で質問をする生徒も多い印象で、私自身もYear 11以上の発表は日本語で行ったのだが多くの生徒がある程度の日本語を理解している様子だった。ただ難しい文法や単語を使ってしまうと混乱してしまう様子が伺えたので日本語と英語の両方を使った説明に変更して教えた。 ・Year 12   Year 12,13の生徒たちは日本のツアーを一ヶ月後に控えていたのでYear 12のクラスでは日本文化やマナーについて勉強をしていた。日本の学校のことを主に学んでいたので日本留学の事前確認の要素も強いように感じた。Year 12には日本人留学生も一緒に授業を受けていたので日本語と英語での会話が混ざった異文化空間が広がっている様子だった。 ・Year 13   Year 13は先生が授業をせず、生徒個人で日本語や日本文化を勉強するか先生と会話をする。生徒が平均4、5名で人数も少ないので教室もとても静かだった。半分の生徒が日本ツアーを経験していて、カピティカレッジで約5年日本語を習っているのでほとんどの生徒たちがレベルの高い日本語の会話能力をすでに持っていた。 6.小学校での日本語実習  カピティカレッジでの実習最終日の日、カピティカレッジには隣接している小学校があり、Year 8 の生徒たちが日本語クラスで日本語を勉強しているのでジョン先生の勧めで小学校の日本語クラスにも参加させていただくことになった。小学校には専任の日本語教師がおらず、他の教科の先生が掛け持ちで日本語を教えた。しかし、生徒たちの日本の単語の知識量は豊富で単語の発表やできる生徒は日本語で自己紹介もしてくれた。実習内容として前半は日本文化の発表、後半は折り紙教室と約1時間半生徒たちと交流を行った。小学校での実習はこのプログラムにはなかったので小学生たちと交流できたことはとても貴重で大きな経験になったと思う。 7.おわりに  私にとって今回の日本語教育実習は人生で最も日本語を短かに感じ、日本語を教えるという楽しさに触れることができた貴重な3週間であった。私が生徒に日本語や日本文化を教えると生徒たちは興味津々に私の話を聞いてくれる。そして、それに対するたくさんの質問を受ける。これこそが私が留学前に抱いていた理想の光景であった。留学当初、私はたくさんの不安に駆られていた。研修1週目までの私は英語で日本語についての質問をされても理想の回答を述べることができず、生徒との距離が離れていてあまり環境に馴染めていないように感じていた。私自身は日本語を教えた経験が乏しく、英語能力も高くない。こんな私に日本語教師が務まらないと思っていたことが正直なところであった。しかし、生徒たちはそれでも私を信頼してくれていて、いつでも気軽に声をかけてくれた。そのことが私のモチベーションになり、私も積極的に生徒に声をかけてコミュニケーションを取ったことがきっかけで生徒たちとの交流が深まっていった。それからの私は、生徒と交流することや日本について教えることがさらに楽しくなり、その一心で学校に通っていた。海外で日本語を教えるためには語学力だけでなくコミュニケーション力も必要であると深く実感した。3週間の研修はあっという間に過ぎてしまい、あと一年カピティカレッジで研修をしたかったことが本音である。ニュージーランドで出会った人たちのおかげで私は楽しい研修生活を過ごすことができたと思っているのでお世話になった多くの方々にはとても感謝している。私はこれか日本語教師を目指すことを目標にこの経験をしっかりと活かせるように頑張りたい。

閉じる