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フィリピンセブ島での給食のある学び場作り

国際交流・国際協力専攻3年 小川龍星
2019/06/18
   2019年春、文部科学省主導による官民協働のグローバル人材育成プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」(以下、トビタテ)の第10期留学生に選ばれ、2019年4月13日~2020年2月29日までの約1年間をフィリピン中部に位置するセブ島で留学しています。トビタテの詳しい制度に関しては、興味のある方は調べてみてください。簡単にまとめると、「自分のやりたいこと」で留学計画を独自に練って、厳しい審査を通過すると奨学金を頂きながら対象地域で思い思いの活動に打ち込める制度です。私の留学を「留学」と呼べるのかは正直分かりませんが、読んで下さる方々の力に少しでもなればと思います。
   私のトビタテはプロジェクト(ある期間内に明確な目標を定め、それに向けた手段を講じる。計画から実行、評価までの一連のサイクル)をベースとしています。目標は、セブで暮らす子ども達のために給食のある学び場を形にすることです。
   フィリピンのセブ島と聞くと、綺麗な海を中心とした観光地として有名だと思います。しかし、新興国の1つであるフィリピンは発展途上であり、水道、電気、ガスがない地域や屋根のある家で暮らせず、路上での生活を余儀なくされている方々も多くいます。あるNGOを通じて、そうした地域で暮らす子ども達を対象にした炊き出しに参加した時は、胸が張り裂けるような思いでした。食を通じて彼らの暮らしを見たからこそ、当たり前だった「食事」がないことに強い衝撃を受けました。開発協力の分野を志す一人として、「私なりにできることはないのだろうか」と思ったことをきっかけに、トビタテの目標を設定しました。
   では次に、その目標を達成するための具体的な活動についてご紹介します。トビタテは制度上、対象地域に必ず受け入れ機関が必要になります。私の場合、「Rise Above Foundation Cebu」というNGOで週2日(土日)を使ってインターンシップをしています。ここでは、子ども達を対象にした食糧支援、衛生支援、英語などを教える教育支援などが実施されています。デンマーク人が立ち上げた団体で、フィリピン人スタッフと共に活動しています。英語を共通言語とした職場なので時おり意思疎通が上手くいかないこともありますが、皆とても協力的で、子ども思いで、学びの多い環境です。
   4月にはスポーツ大会を企画して、約50人の子ども達と一緒に様々な競技に挑戦しました。私も日本人として楽しそうな種目を提案して「玉入れ」を採用してもらいました。文化や言語が違えば子ども達の考え方や振る舞い方も違ってきますが、スポーツや遊びは皆が楽しそうになって取り組んでいました。
5月には対象地域で暮らす400人の子ども達に炊き出し活動を実施しました。これまでに経験してきた炊き出しの形とは異なり、子ども達と一緒に買い物から調理までをしていて、とても学びが多かったです。子ども達が自ら主体的に取り組む姿勢を見て、私も負けていられないと感じました。インターンシップでの活動は実践的ではありますが、私の中ではインプットの学びです。
   では、学んだこと活かしてどうアウトプットしていくのか?その活動ついてご紹介したいと思います。1つ目は「給食のある学び場作りプロジェクト」です。私の住んでいる地域の子ども達を対象に、6月から青空教室を開き、参加してくれた学生に昼食としてご飯を提供します。現地で知り合った2人のフィリピン人大学生と共に、授業計画を練り、給食の仕方を考えています。これを単発で行うのはさほど難しいことではありません。しかし、継続していくとなると話は別です。運営していくための費用を生み出していく必要があるからです。このプロジェクトを例に挙げると、子ども達(15人)に1回のご飯を提供する費用は約2000円です。トビタテからお金を頂いているとは言え、自己負担では持続していくのは厳しいです。
   そこで、2つ目に実施しているプロジェクト「学生主体のスタディーツアー」が活きてきます。現在、日本にいる2人の学生スタッフと連携して、フィリピンでやってみたいことに挑戦するスタディーツアーを計画しています。8月と9月の2回に分けて参加してくれた学生のニーズを限りなく実現できるように調整しています。このプロジェクトを通して、1つ目のプロジェクトで必要となる資金を補填していきます。また、その他にも現地で仲良くなった友人と共に小さなビジネスに挑戦していくことも視野にいれています。
   3つ目は、麗澤大学国際協力団体Plas+のフィリピンで実施している活動の充実化です。日本、カンボジア、フィリピンの子ども達を対象に小学校で教育支援をしていますが、フィリピンでのプロジェクトはまだ模索段階です。そこで日本にいるメンバーと共に現地のカウンターパートとして、新たな取り組みを計画中です。その一環として10校の大学と3校の小学校を訪問して交流やニーズ調査を行ってきました。
   今回の記事は留学の全体の概要をお話ししました。今後は、更に1つのストーリーを取り上げて、学んだこと、感じたことを深く掘り下げてお伝えしていけたらと思います。
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