教職員
2018.07.23|最終更新日:2020.09.24|

Life is Joy!Enjoy your Life! 成功とは何かを学びましょう

Life is Joy!Enjoy your Life! 成功とは何かを学びましょう
MIROSHNIK, W. Victoria (ヴィクトリア ミロシュニック)
経済学部 経済学科 教授
ロシア出身。ロシアで心理学、アメリカで経済学を修め、イギリスで経営博士号を取得。インド、アラブ首長国連邦、オーストラリア、アメリカ、韓国など、世界中の大学で教えた経験をもつ。「教育はギフトである。サービスでも売り物でもない」と考える。
目次

    マネジメントを学ぶことで「成功とは何か?」を深く理解することができます

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    私の授業で重視しているのは、与えられたデータや事実を元に分析を行い、自分の考えを発表する力を育てることです。授業内ではいつもAppleチームとOrangeチームの2つに分かれてもらい、同じテーマについて1つのチームは「良い」と論証し、もう1つのチームは「悪い」と論証します。テーマは、「ある多国籍企業の経営について」など、実際に世界で議論されているホットな話題を取り上げます。遺伝子組み換え技術を持ち、世界の種子の90%を独占するその企業は、毎年、大きな利益をあげています。企業の目的は利益を上げることですから、良い企業と言えそうですが、エシカル(倫理的)な観点で見ていくとどうでしょうか。

    学生には3つの「P」の観点でデータを集めて分析し、意見を発表してもらいます。3つの「P」とは「Profit(利益)」「People (人間)」「Planet(地球)」。「Profit(利益)」という視点で見ると非常に高い業績を出しているため「良い」と判断できます。その陰で種代の借金が支払えずに自殺をする人がいたり、地域で蜂などの小昆虫が死滅したり...。つまり、「People (人間)」や「Planet(地球)」という視点では、「悪い」という判断になります。このように、単純に1つの視点から物事を見るのではなく、総合的に判断するトレーニングは、マネジメントを行う上で大変重要です。

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    「成功」とは達成すること。達成するために必要なのは、物事をマネジメントできる力を育てることです。ですから、成功するためには、まずマネジメントを学ぶことが重要です。自分をマネジメントできれば、会社をマネジメントでき、会社をマネジメントできれば、一国をマネジメントできる。それがマネジメントを学ぶ価値だと考えています。

    日本の高校の授業は大学受験にフォーカスした授業が中心で、自分の考えを持つトレーニングに時間を割く余裕がないと聞いています。今の時代は、多様な文化的背景を持つ人達と協力して問題解決に取り組むことが求められています。大学時代にぜひ、こうした力を身につけて社会に出てほしいと思います。

    人工知能(AI)、ロボットが台頭し、人間であることに自信を持つのが難しい時代

    これから大学生になる世代はZ世代(1995年から2008年の間に生まれた世代)と言われ、人間であることに肯定的な意識を持つのが難しい時代を生きています。「トランスヒューマニズム(超人間主義)」という言葉が出てきたように「人間がAIやロボットに置き換えられるのでは?」という不安を持つ人が増え、未来への希望を持ちにくい時代なのかもしれません。

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    日本に来て不思議に感じたのは、語学をずっと学び続ける風潮があることです。私は語学は更なる学びのための基礎だと思っています。麗澤大学の学生には、学びというのは、教科書を読んで暗記したり、TOEICやTOFELで高得点を獲得するなど表面的なことだけではなく、人がよりよくなるために必要なことだととらえて欲しい。私達はロボットに置き換えられるような存在ではないということを、学ぶことによって育まれると信じています。

    私の授業は全て英語で行います。最初はハードルが高いと感じるかもしれませんが、目標となるハードルは高ければ高いほど、学習意欲が湧いてきます。わかりやすい例を挙げましょう。水族館でイルカのショーを見たことがありますか?イルカのジャンプ力はすごいですね。

    そのイルカ、飛び越えるバーを高くすればするほど、喜んでチャレンジするという研究結果があります。これは人間にも言えること。チャレンジするハードルが高いほど、達成した時の喜びも大きく、自信と自己肯定感につながります。

    麗澤大学は第二の故郷。キャンパスはまるで美しい庭園のようです。

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    来日した目的の大きな1つは、研究です。経済学者として各国の文化背景に根ざしたマネジメントスタイルを研究・発表しています。私は日本の文化が大好きで、日本に住んで研究ができることを大変、嬉しく思っています。

    来日を決めた時に、幸いなことにいくつかの大学から教授としてオファーをいただきましたが、私は麗澤大学で教鞭をとることを選択しました。それは、麗澤大学の創立者である廣池千九郎博士が提唱した「知徳一体」の教育理念に大きな感銘を受けたから。単なる知識だけでなく、全体的なウィズダム(英知)を身につけ、倫理観のあるリーダーを育てるという建学の精神は、まさに私が理想とするものです。

    麗澤大学の良さは、その規模にもあると思います。キャンパスも美しく設計されており、庭園を思わせます。特に印象的なのは校舎「かえで」と校舎「あすなろ」の間に架けられた陸橋です。初対面の学生達が見知らぬ者同士渡った橋を、授業を終えた後は、家族のように親しくなって同じ橋を渡り、挨拶を交わし合う。その姿を見る度に心が温まります。私も日々学び続けています。Life is Joy! Enjoy your Life!

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