麗澤ジャーナル HOME / 麗澤について  / 学生寮の教育力~麗澤大学の新学生寮グローバルドミトリー~④

麗澤について

学生寮の教育力~麗澤大学の新学生寮グローバルドミトリー~④

麗澤に
ついて

About REITAKU

学生寮の教育力~麗澤大学の新学生寮グローバルドミトリー~④
井出 元
麗澤大学 副学長

公開日: 2016年02月08日

新任ユニット・リーダーへのメッセージ

提出されたレポートを読むと、全員が後進のリーダーへのアドバイスを記している。「ユニットのメンバーを信じること」・「一人では何もできないという自覚」・「信頼関係を築くための努力」・「叱り方への配慮」・「裏方の大切さ」などが体験談として綴られている。

さらに次世代へのメッセージとして「事情はどうあれ、リーダーに任命され、それを引き受けた以上、その使命を全うしてください」・「リーダーはメンバーに支えられていますが、責任をとるのはあなた一人です」といった厳しい言葉が記されていると同時に、自らの苦しかった体験を披歴し、「深く考えすぎて自分を追い詰めないこと」とか、「たとえ失敗しても、そこで開き直ったり、あきらめたりするのでなく、次に繋げる努力をすれは、リーダーとしても、人間としても成長することができると思う」といった心温まるメッセージが多い。

また「常に笑顔でいて欲しい」・「朝食は必ず食べること」・「健康には人一倍注意すること」といった、まるで実の弟妹に語りかけるような温かい言葉が連ねられていることに感心する。さらに、外国人留学生への配慮・台所やシャワールームの使い方、食器の洗い方、トイレの清掃、余暇の有効な使い方に至るまで、実にこまめなアドバイスが記されている。これらの体験談とアドバイスは、次世代リーダーへの最高の贈り物である。

新任のユニット・リーダーにとって、経験者(先輩リーダー)の適切なアドバイスは必要である。しかし、決して解答を提示することではない。古人の「開きて達せず」(解き方は示唆するが解答を示してはいけない 『礼記』学記篇)ということばは、学生と関わる教職員の心得ておくべき鉄則であると考えられる。なぜならば「解答を導きだすまでのプロセス」における葛藤こそが、学生各自の人間力を高めるからである。答を教えてしまうことは、彼らから人間としての成長のチャンスを奪ってしまうことになるのである。さらに、12月のレポートに記されたことばは、次世代へのメッセージであると同時に、彼らが自ら導き出した「尊い解答」であることに重要な意味がある。

 

そして、自らの経験を後輩のリーダーにどのように伝えるかを考えたとき、はじめてリーダーとしての経験の意義を知ることとなるのである。例えば、次のような意見が、大方の学生から吐露されるのである。

「12月のセミナーでは、まず自分のやってきたことへの自信を得ました。次に振り返り、失敗から学ぶことの大切さを知り、さらに後輩へ引き継いでほしいことを考えることの重要性を知りました。リーダーを経験したからこその発言が飛び交い、10か月の間に全員が確実に成長できたことを実感しました。」

リーダーとしての経験は確実に人としての成長の糧となっていると確信した次第である。この形式のセミナーをはじめて10年以上になるが、彼らのレポートを拝読して感じることは、たった10か月間で、このように心温まることばを、それも親身になって後輩にアドバイスできるようになるとは、そしてリーダーとしての経験とは、かくも人間形成の上に重要な意味を持つものであるかという感動である。

これら先輩リーダーからのメッセージは3月の新任リーダーセミナーで紹介され、新任のリーダーは真剣に耳を傾けている。先輩からの心温まるメッセージは、教職員の説教よりも数倍効果的であることは言うまでもない。

自らの成長を自覚する

この12月のセミナーには、もう一つ大切な課題がある。それは学生各自が自己を振り返り「自らの成長を自覚する」ということである。提出されたレポートには、全ての学生が異口同音に、ユニット・リーダーとしての経験が、自らの成長につながったとしている。

例えば、リーダーを経験することによって寮生活の意義を知った学生は、「中には手のかかる子だっています。しかし、リーダーは決してそのような子を見捨てられません。そうして後輩の面倒を見たり、同じ立場の仲間と協力していくことによって、寮生活の奥深さ、意義を知ることができました」と述懐し、さらに「12月のセミナーに参加して感じたことは、この1年間、何度も挫けそうになり、辛かったこともありましたが、諦めずに続けてきてよかったということです。人から見たら小さな変化かもしれませんが、リーダーとしていろいろな経験をさせていただいたことによって、自分の中で大きな成長を自覚することができました。」

とも述べている。このように体験を通して寮生活の意義を知り、自らの「成長を自覚した」という実感が重要なのである。教育とは学生一人ひとりに自らの成長を自覚させることにある。そして、その成長を学生各自が自覚する「場」を提供することが教職員の役割である。

要するに、本学においてユニット・リーダーの教育に力を注ぐのは、単に寮生活の充実のためだけでなく、リーダーという立場に立つことによって培われる人間としての成長を期待する、という本学開学以来の伝統を継承するものである。

むすび

学生時代に身に付けなければならないのは、卒業後どのような進路を選択するにしてもその与えられた場において自ら研鑽し、社会に貢献していくという意志と、それを実現する人間力である。それは、文部科学省の提示した「学士力」に掲げられた「生涯学習力」であり、それを本学の創立者は「自修研鑽の実力の養成」と称した。これらは共に真に自立した人間の資質を問うているのである。先に紹介したように、ユニット・リーダーのみならず、日常生活の中で寮生全員が与えられた役割を通して自らを見つめ、成長するための実力(「自修研鑽の実力」)を身に付けていく。ここに学生寮における人間教育の根本的な課題がある。

以上、麗澤大学の新学生寮について、教育の場としての機能と実際を紹介した。今年から、寮生と教職員との関わりをさらに深めるためにユニット単位の面接を実施した。これは将来、チューター制の導入を視野に入れての試行であり、学生の生の声を聴き、学生寮の実態に触れることによって、寮教育に関わる教職員の意識の向上を期待するものである。

学生寮は無限の可能性を秘めた教育の場である。学生の意見を尊重しつつ、時代の動向を見据え、新たに人間教育の場を創出し、さらに「グローバル・ドミトリー」を進化させていきたいと考えている。

麗澤についてページトップへ戻る

ABOUT REITAKU 麗澤について
毎日が国際交流 REITAKU PROFESSORS 君の個性を伸ばすプロがいます。
資料請求はこちらから