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【大学の授業シリーズ】道徳を子どもと共に考え、学び合う教師に

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【大学の授業シリーズ】道徳を子どもと共に考え、学び合う教師に
江島 顕一 
経済学部 助教
教職課程担当。慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻後期博士課程単位取得退学。2010年より麗澤大学に着任。当初より「道徳科学」を受け持ち、週に1コマの授業に奮闘。現在は教職課程の科目も担当し、道徳教育の歴史や道徳授業の理論等を講義。専門は日本道徳教育史。

公開日: 2016年10月24日

社会の一員として、また自立した大人として生活していく上で自分を導いてくれるもの。その核となるのが「道徳心」です。震災した被災者の規律正しい行動や、ワールドカップといった国際試合での日本人サポーターのスタジアム清掃などは、これまで世界中から「日本人の美しいふるまい」として称賛されてきました。こうした「ふるまい」は日本の家庭での暮らし、そして日本の学校での学びを通して培われてきたといえるでしょう。

麗澤大学では、建学の精神である「知徳一体」に基づき1年次の全学生が道徳の授業を履修します。そして、教職課程においてもその精神に基づいて、道徳の指導法に関わる授業に特色が見られます。他大学の教職課程では通常1科目2単位であるところ、麗澤大学では2科目4単位が必修とされているのです。

したがって、麗澤大学の教職課程の学生は、1年次には大学生として道徳の考え方を学び、2年次以降には教師を目指す者として道徳の教え方を学ぶのです。これは、麗澤大学ならではのカリキュラムです。

道徳教育は教育にとってその本質に関わるものといえるでしょう。つまり教育者にとってもっとも大切な土台となるものです。今後、教師を目指していく中で「教育とは何か?」という根本的な問いに向き合うことがあるはずです。そんな時に振り返ることのできる大きな指針、心の拠り所になってくれるのが道徳教育です。現在、「道徳」の教科化で注目されている道徳教育。創立以来、学問として研究に取り組んできた麗澤大学で、この道徳教育を学ぶことは、教師を目指す皆さんにとって、きっと大きなアドバンテージとなることでしょう。

こうして道徳に力を入れてきた麗澤大学の教職課程の必修科目でもある「道徳教育の研究Ⅰ」。今回は第7回目の講義に参加し、その様子をレポートします。

「道徳とは?」を教える立場で考える

いきなり自分の失敗談から授業をスタートさせる、江島顕一先生。「実は今日うっかり会議に遅刻しそうになってしまって…。みなさんも時間管理には十分気をつけましょう!(笑)」すると教室からは笑い声が。「道徳の指導法の授業!」と、身構えていた学生にとっては急に興味深い先生の失敗談が始まって、教室内はとてもリラックスしたムードになりました。

講義に使われるのは、江島先生の著書である『日本道徳教育の歴史―近代から現代まで』で、この日は、2015年に改訂された学習指導要領に基づいて、中学校の道徳科の目標と内容についての説明からスタートし、その捉え方や教え方の基本を理解することをテーマに授業が進みました。

まず、道徳教育の目標について。学校における道徳教育は、道徳の授業からだけではなく、例えば国語や数学、あるいは文化祭や部活動などあらゆる授業や活動を通して行われるものであること。そして、道徳の授業はその要にあることが強調されました。「道徳教育は学校の教育活動の全体を通して行われる学び」という言葉は、教員を目指す上で何度も思い返すべき大事なこととして、学生たちの心に刻まれた様子です。

次は道徳教育の内容について。本題に入る前に、自分が教壇に立ったら一番教えたい道徳は何かという問いかけがなされました。

学生達それぞれが中学校の22の内容項目から伝えたいものを一つ挙げて、理由を説明します。なぜ、どうして、と先生と学生との間で活発なやりとりがありました。学生達も他の学生の意見に興味津々で耳を傾けていました。一つひとつの内容項目の確認のあとは、先生からの指導として、年間35時間の道徳の授業の中に「流れ」を作ることが大切であるということ。さらに、指導する上では内容項目に関連する中学生に身近でわかりやすい事例を挙げることが伝授され、より実践的に授業計画や1時間の授業で役立つノウハウなども示されました。

教える側にも学びがある、道徳教育の面白さ

本やテキストなどをベースにしながらも、教育現場での具体的な場面を常に想定させる機会を与えるのが江島先生のスタイル。「1時間の授業だけで完結させようとするのではなく、毎日必ず一言でいいので生徒と挨拶や言葉を『交わす』こと。教室が散らかっていれば生徒と『一緒に』整理整頓を行うこと。このような教育者としての行動の一つひとつにも道徳を生徒の心に伝えるチャンスがある」と語りかけます。そして、道徳教育で何より重要なのは、生徒との「信頼関係」を築くこと。このことが、道徳の授業が実りあるものになるために求められること。こうして教師と生徒の日常的な関係性の大切さを説かれました。

 

江島先生の授業でもっとも印象的だったことは「他の教科の授業の多くは、教師が生徒に『教える』ものだけれど、道徳の授業は必ずしもそうではない。時に生徒から教師が教えられることもある。教師と生徒が共に『学び合う』。それが道徳の授業です」という言葉でした。道徳教育とは、生徒だけのためにあるのではなく、生徒への指導を通じて教師が自分自身を成長させることができる喜びと楽しさのある学問であることを伝えています。

道徳教育について改めて学ぶ機会となりましたが、ごく身近な内容であり、日々を心地よく過ごす上でも役立つ内容であることは大きな発見でした。将来、教員を目指す方もそうでない方にも、是非受けていただきたい授業です。

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