大学の授業
2017.07.28|最終更新日:2020.09.24|

【大学の授業シリーズ】Jリーグ名門チームを支援せよ!~学生の視点から~

【大学の授業シリーズ】Jリーグ名門チームを支援せよ!~学生の視点から~
江島 顕一 准教授
経済学部 経営学科 スポーツビジネス専攻
道徳教育担当。慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻後期博士課程単位取得退学。2010年より麗澤大学に着任。教職課程で教員志望の学生の指導に当たる。学生時代は、サッカーと卓球に青春を捧げる。現在、ゴルフ部顧問、サッカー部副顧問。専門は日本教育史・道徳教育。
井下 佳織 准教授
経済学部 経営学科 スポーツビジネス専攻
日本体育大学大学院博士課程を修了。博士(体育科学)。日本体育協会公認アスレティックトレーナー・上級コーチ(空手道)。専門分野はスポーツ医科学、運動生理学。「授業は楽しく!」をモットーとし、授業後は「今日はウケなかったな…」と反省。本学の空手道部顧問も務める。
目次

    求む!スポーツビジネス界をリードする人材

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    「大好きなスポーツを将来に活かしたい」「将来もスポーツにずっと関わっていきたい」そんな高校生の皆さんにご紹介したいのが、経済学部経営学科にあるスポーツビジネス専攻(現スポーツマネジメントコース)の授業。この専攻の授業は、将来スポーツビジネス界で活躍することを目指し、スポーツと経営の知識及び理論、コミュニケーション力など、現場で必要なノウハウを実践的に学びます。「スポーツビジネスとは、スポーツを通して社会のニーズに応えていくビジネス。今後、大きな成長が見込まれている分野です。一番わかりやすい例は、健康づくり。「国際レベルの調査によれば、スポーツへの1ドルの投資は、3.2ドルの医療費削減につながる」といわれています。

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    現在、医療費が膨らむ日本においても、国民の健康増進は重要な国策の一つです。ヘルスケア関連のスポーツビジネスは今、非常にニーズが高いですね。また、スポーツを楽しむ機会をつくり、地域を支え、その人にあった豊な生活を提供していくことも、スポーツビジネスの大切な役割です」と井下先生。具体的には、スポーツイベントやスポーツ教室の開催運営、スポーツ施設・スポーツ団体の運営、スポーツ製品・システムの開発など幅広く、社会では今、これらをマネジメントできる人材が強く求められているのです。

    "本気で、自由に、楽しんで"課題に挑む

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    授業内では、Jリーグ・柏レイソルとの提携により、学生がプロスポーツチームを支援するプロジェクトに挑戦。特別講師の柏レイソルの酒井麗子講師(現チームフロントスタッフで、麗澤大学卒業生)と田中慎一講師からJリーグトップのチーム状況や今後の課題が提示され、学生は詳細について直接ヒアリングする機会や、企画プレゼンテーションを評価してもらえ、更にスタジアムでの実習やインターンなどにもつながる。

    半年間かけて、柏レイソルの観客動員数やファンクラブ会員を増やすための企画を立案していきます。学生は「自分達の企画が実際に採用されるかもしれない!」と授業とはいえ、まさに真剣勝負。目指すは「柏レイソル×麗澤大学」を冠した特典グッズの商品化と、麗澤大学の学生プロデュースによるイベントの実現です。

    授業は毎回、スポーツ、経営、道徳と、それぞれに異なる専門分野を持つ5人の先生が交代で担当するオムニバス形式で進行。プロジェクトの導入編となる今回は、道徳教育が専門の江島先生が担当し、スポーツ医科学が専門の井下先生がサポート。スポーツビジネスとその企画立案をモラルの観点から考えます。

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    今回の授業は、柏レイソルから提示された3つの課題「特典グッズ企画」「ファン感謝デー企画」「アソシエイツ(ファンクラブ)発足10周年企画」について、それぞれグループごとに各課題の背景にある問題点を洗い出すというもの。江島先生からの指示は3つ。

    「1つ目は『本気で考える』こと。スポーツに携わる皆さんなら、練習でも何でも、集中して真剣に臨まなければ成果を出せないことは理解できますよね。2つ目は『自由に考える』こと。予算や実現の可能性、業界の常識などは取っ払って、こんなイベントなら自分も参加してみたい、こんなグッズなら欲しいと思えるものを自由に発想してください。皆さんだから出せる、斬新なアイデアが期待されています。3つ目は『楽しんでやる』こと。

    実際に楽しみながら企画していくうちに、面白いアイデアが生まれます。本気で、自由に、楽しみながら、ではやってみましょう!」先生からの3つの指示を受け、学生は各グループに分かれて話し合いを進めます。

    スポーツで培った力をビジネスに活かす

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    90分の授業の流れとして学生達は、まず各自で課題を考えてから、グループに分かれてディスカッション。最後にグループごとに発表します。ルールは「どんな意見も否定しない、茶化さない、聞き流さない」こと。発表では「子ども向けだけでなく、大人、女性などの誰もが楽しめる企画も必要」「ホームゲームイベントの開催時間を、観客が参加しやすい時間帯にすべき」「地元出身で知名度の高いアーティストをイベントに呼ぶ」などの意見が出され、次週以降はマーケティング、企画立案、中間発表、最終プレゼンへと進んでいきます。自ら考える、人の意見を受け容れる、グループで意見をまとめる、プレゼンテーションで考えを伝える。そして自分達の企画を実際に計画し、実行していく――。


    一連のプロセスは、チームワークで仕事を進めていくトレーニングでもあり、その中では相手の立場になって考える、人の意見を尊重する、各自の責任を果たす、協調性を持って臨むなどなど、モラルの実践の場でもあるのです。

    学生達はスポーツビジネスをリアルに経験していく中で、スポーツとビジネス、そしてモラルは、実は密接な関係であることに気がついていきます。スポーツで成果を出すには、知識やスキルだけではなく、問題解決力、主体性、協働力などが必要。ビジネスにも同じことが求められます。学生達は、スポーツで培った力をビジネスに活かすノウハウと、モラルに基づいた人間力を、この授業でしっかりと学び、身につけていくことができます。

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