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ドイツ

ハレ=ヴィッテンベルク・マルチン・ルター大学

感情の劣化を防ぐ魔法

ドイツ語・ドイツ文化専攻2年 小林義博
2020/02/22
   いやはやこうしてたまには自分の頭の中を巡回する情報たちを誰かに伝えることはメタ認知にも似ていて自分をより客観視してより自分が精神的にも向上できるチャンスだと気づけますね。現地レポートを書く意義を感じられています。感謝。
   ドイツも2月です。寒いですがカイロは要らないくらいです。それよりも、はい。そうなんです留学生にもタイムリミットがあるのでお別れのタイミングがやってきました。悲しい。生活のほとんどを仲間と過ごせる環境に身を置くとそれだけ関係も深くなりますし、食事も一緒に摂ります。間違いなく食後にはカロリー高めのデザートを作ってみんなで背徳感を覚えつつ笑い合う関係を作れました。(ちなみにドイツのチョコやお菓子は甘いものが多くて最高ですよ!) 各々の日本からの友人がLandrainの寮なんかに来た際には一緒に食事をするだけで打ち解けてしまいます。これがまた不思議で。笑
   いったい趣味は何なのか、あの曲いいよねとかあのワインおすすめだとか。みんなで談笑して有限のトキを共有する日々。特別なことはしていなくても、関わる頻度とおなじ空間に存在しているだけで、人はお互いの境界線を共有し世界をつなげることができるんだと知りました。これってものすごい発見です。それと同時に自分の感情も変わっていきました。他の誰かに変わって自分と同じ視点から見ることはできませんが、この一瞬がこの時間が全てであって楽しみや生きる喜びなんだと。そして、それらを一人では紡ぐことができないということも。世界が急速にインターネットという大きなクモの巣によってつながる術を得て、より個と個が自分の意思で結びつくことが可能になったと同時に、もっと身近で小学校のクラスメイトのような無作為に抽出されたようなローカルなつながりがとても疎遠に感じる生活を日本では送っていました。それでは感情は動きませんでした。感動はなかったのです。喜怒哀楽のような単純な区分けではなく、実はもっともっと感情は細分化できるんです!悲しくなくても涙はでるようにね。後は感情の振れ幅を人がどのように広げるか、そして表現をするのか。ある人は絵でそれを表現し、ある人はそれを歌にメロディに乗せて、ある人は自分のように文章にするかもしれません。こうしてみると世に出回る多くのロングセラーの本や芸術作品や心を掴む曲は、人間味あふれる感情の延長にある気がします。ドイツ建築界の巨匠ミース・ファンデル・ローエが残した「神は細部に宿る」という言葉を転用すると、小さな日常に潜む「細部」に目を向けてどんなところにも自身の感情の振れ幅を見つけてあげてそれを素直に喜べることはひょっとすると大人への一歩かもしれないですね。
写真上:個性派日本人留学生と
写真下:TandemパートナーLewisと
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