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Wuppertalでの日々

ドイツ語・ドイツ文化専攻2年 矢野満太郎
2020/03/28
   初めに、私はドイツ西部、ケルン大聖堂にもほど近い、Wuppertalという場所で留学を開始した。
「光陰矢の如し」とはよく言うが、まさにその言葉通りの半年間となった。私は留学前の、あの何とも言い難い不安感を覚えたのを、帰国間近の今でも鮮明に思い出すことができる。私は今までに幾度か家族旅行として、海外に赴いたことがあるのだが、その時は毎回、外国語を話すに、およそ不自由ない姉が同伴していたため、不安感などを、あまり抱くことはなかった。しかし、この度、私は初めて独りで海外へ赴くこととなる。この現地レポートが、まだ一度も留学をしたことがなく、留学を考えている人や、海外へ独りで行くのすら初めての人達の不安を解消させるものになればよいと思う。

   十月一日、私は知人の声に送られて、日本を発った。今、私はこの日のことが、つい先日のように感じられる。まだ日本を出発していない飛行機内から既に海外の空気が流れ始めていた。乗客は、そのほとんどが非日本人で、私の座席の左隣にはドイツ人と思われる男性、右隣には日本人男性が座った。その機内の中でおよそ半日のフライトである。飛行機がドイツに迫る中で、隣座席の二人と話す機会があったのだが、日本人男性と比較して、ドイツ人男性のほうがフレンドリーであると感じた。それを気に私は少し不安感が弛緩していくのを感じた。

 十一時間のフライトの後、ドイツでは夕方であったため、フランクフルト空港、構内直結のホテルに一泊し、翌日早朝、ICE(日本での新幹線)やRE(在来線の快速列車)を乗り継ぎWuppertal中央駅を目指した。チケットの購入方法がわからない中で、通りすがりの女性に尋ね、なんとかチケットを購入することができた。私が、外国人であるからなのかもしれないが、ドイツ現地人たちは親切な印象を覚えた、それが、およそ半年経った今でも変わらず、親切な人が多いという印象である。それから、二~三時間後、無事にWuppertalへ到着し、日本の同大学の生徒や現地のパートナーと合流を果たした。

  私は、ドイツでの授業が始まる二十日前には、現地入りしていたため、三週間の間、現地に順応する期間を得ることができた。居住地周辺の散策や必要雑貨の買い出しなどをしながら、毎週木曜日にはStammtischと呼ばれる常連の飲み会や、毎週金曜日にはTandem(ドイツ人たちが日本語を、日本人たちがドイツ語を学ぶために設けられた集まり)に参加しつつ授業開始日まで過ごした。

  冬のドイツの日の出は遅い、七時や八時になっても、日が出ていないことがある。授業開始日までの三週間の順応と、授業開始後の他国からの留学生の会話もあって一ヶ月後には、自分が「シャイな日本人のイメージ」を払拭したいと思うようになっていた。大学での授業は毎朝、八時十五分から十一時四十五分、月曜日から金曜日までの間に全てドイツ語によって執り行われる。教師を除き、生徒たちはシリアやトルコ、中国からの留学生など国籍は様々である。皆、初学者であるということと、皆、進んで意見を言うため、発表しやすい環境であるということも手伝い、私も積極的に発表するよう努めた。そんなこともあり、クラスでは比較的すぐに馴染むことができた。

  Wuppertalはドイツ西部に位置しており、隣国のフランスやオランダ、ベルギーなどを観光するには適した地である。また、Köln(ケルン)まで電車で三〇分から一時間程度、日本人が欧州でも多いDüsseldorfまで、およそ三〇分といった場所である。また、Düsseldorfには日本食スーパーや飲食店も多く、日本食が食べたいということになれば、気軽に買い物や食事に行けるという利点がある。加えて、Köln、Düsseldorfにも空港があるので、ドイツ国内外の旅行にも行き易い。ドイツのみならず、他の欧州諸国を巡りたいのであれば、良い都市である。しかしながらWuppertalはTal(谷)に囲まれており、七割から八割は雨が降るので外出の際は折りたたみ傘は、ほぼ必須であるといえる。

   旅行といえば、私は家族が二月初旬にドイツのMünchenに来ることもあり、家族ら五人とともに、München観光を行った。その際にノイシュバンシュタイン城やリンダ―ホーフ城、ヴィース協会なのに立ち寄った。続けて二月下旬には、フランスのアルザス地方周辺にあるストラスブールへと向かい、ストラスブール大聖堂を見学した。また、このような有名な観光地だけでなく、Wuppertal中央駅からRE電車で二~三時間ほどの場所に位置するKoblenzにはドイツの科学技術博物館があり、第二次世界大戦やそれ以前、現代にいたるまで用いられている兵器や電子機械を目にすることができる。

   最後に、私は今回、ドイツ生活を経験して、これまでの人生にないほど自分を成長させれたのではないかと思っている。出発前こそ不安に押しつぶされそうになっていたが、現地の学内のみならず、公共の場所でも現地の人たちは日本よりもずっとフレンドリーに感じられた。私の生活している場所だけなのかもしれないが、私は日本にいた時よりもずっと、気楽に感じられた。また、日本語が通じない世界で生活し、困難にぶつかっても乗り超えたという留学の経験が今後何よりも自分の自信に繋がるのではないかと思う。電車の乗り方がわからなかった時に、親切に教えてくれた人や、困っていた時に助けてくれた人、仲良くしてくれたクラスメイト、お金を工面してくれた家族、彼らにこれ以上ない感謝をして、今度は来日した外国人観光客や留学生、困っている人たちに、彼らがしてくれたように自分も恩を返していきたいと思う。留学は人を成長させてくれる。そう感じる留学を今送っている。
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