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ドイツ

マールブルク大学

日本と全く異なる年末年始

ドイツ語・ヨーロッパ専攻2年 下馬場 悠
2024/01/23
   2023年度秋にドイツのマールブルクに初めての留学をしました。ドイツ語・ヨーロッパ専攻2年の下馬場悠です。20歳となった節目の年に初めてドイツで迎えた年末年始は、日本とは異なる独自の文化や風習に触れ、新たな視点からの経験となりました。ドイツの冬の寒さが身に染みつく中、人々が家庭で静かに過ごす様子やドイツ最大のイベント「クリスマスマーケット」、年越しを祝う花火など、日本では感じられない体験ができたと思います。
   まず、年末が近づくと街全体にイルミネーションやクリスマスツリーが出現します。これは規模に差はあるもの、日本よりも大きく街全体をあげて行っています。どこの街にも存在しており、クリスマスに対するお祝いの強い気持ちだと思います。飾り付けが目立ちだすのは11月に初雪というような雪が降り、初めて冬の寒さを感じるような寒波が過ぎた頃に飾りは増えていきます。クリスマスマーケット自体の開始は日本と同じく11月中旬から下旬にかけてです。しかし、その開催場所は日本とは比較にならず、小さな町を含めると4000を超えるとドイツ在住の先生がおっしゃっていました。
   また小さな子供たちの歌や踊りの発表だったり、メリーゴーランドや観覧車といった遊具施設だったり、イベントの開催内容はHolzhausと呼ばれる屋台の食事・雑貨販売だけではなく、多種多様です。街は美しく飾りつけられ、温かなクリスマスの雰囲気に包まれています。そして、寒冷な冬の気候が一層イベントを引き立てます。霜が降りた路地や市場広場は、クリスマスの飾り付けで彩られ、温かな灯りが幻想的な雰囲気を演出します。市場は賑やかで、地元の住民や観光客が家族や友人と一緒に訪れ、笑顔と歓声が溢れています。
   商品は手作りのクリスマス飾りや工芸品、伝統的なドイツ料理、温かい飲み物など多岐にわたります。価格は手頃なものから高級品まで様々で、予算に合わせて楽しむことができます。名物であるグリューワインは街ごとに、だいぶ味が変わるので、色々な街を訪れ飲み比べることをお勧めします。私は、マールブルクのりんごのグリューワイン、フランクフルトのチュロス、ミュンヘンのシナモンクレープを特に気に入りました。また、日本のクリスマス市場と異なり、伝統的で手作りの品々が豊富です。手作りの飾りやお土産品は、個性的で贈り物に最適です。綺麗で鮮やかなガラス細工や愛らしい人形など多くの雑貨を見ることが出来ます。
   クリスマスは家族や友人、カップルなど、さまざまなグループで楽しむ様子を見ることができます。地元の住民たちは家族と一緒に、若者たちは友達と賑やかな雰囲気を楽しんでいます。私の留学先であるマールブルクは学生の町でもあり、大学の友人同士で集まる姿も見受けられます。ドイツでは、美味しい料理や温かい飲み物を楽しむことが重要視され、家族や友人と一緒に静かなひとときを過ごす文化が感じられました。ドイツのクリスマスマーケットは、美しい雰囲気と温かなコミュニケーションが交わされる素晴らしい場でした。寒い冬の日に楽しむ美味しい食べ物やユニークな商品、そして笑顔に包まれた雰囲気は、クリスマスの季節をより特別なものにしてくれました。
   次に、ドイツの年末は日本とは一味違う雰囲気が漂っていました。日本のような繁華街での賑わいやショッピングモールの長時間営業は期待できませんでした。閉店するお店、特にスーパーマーケットやカフェが早い時間に閉まり、街は静寂に包まれます。これは、伝統的な家庭での年末の過ごし方が根付いているためであり、地元の人々が家族や友人とともに静かな時間を大切にする文化の表れでした。そのため、お店が閉まる前に食料を買い込むお客さんで溢れていました。それ以外での年末から年始にかけての外出者は観光地を除き、全く見られませんでした。
ドイツでは年越しの瞬間、特に都市部から住宅地にかけて、多くの家庭で花火が打ち上げられる風習がありました。公共の広場や公園での打ち上げは一般的で、これが日本と異なる点でした。花火は年越しの30分前から少しずつ各地で始まり、年を越した直後にピークを迎え、その後も1時間ほど打ちあがっていました。路上での花火打ち上げも若者たちによって行われており、正直こちらに関しては安全面など含め、大丈夫なのかと疑問は持ちましたが、テンションが上がる行事であることに変わりはないので、暗黙の中で許容されているのかなと思いました。若者たちの激しい花火とは裏腹に、老夫婦が仲睦まじく小さな噴出花火をしていたのが和やかで印象的でした。華やかな海外らしい年越しというイメージからは遠かったですが、また一つ、世界の新たな形を見られた気がして、年明け早々に胸に染みることとなりました。年越しというのは年代関係なく祝える素晴らしいものだと再度認識しました。
   そして、日本の年越しで日常だったおせち料理や書初め、初詣に獅子舞と、日本を遠い故郷のように感じ、心の奥底では侘しい気持ちに溢れていました。日本では都心の特定の場所で公共の花火大会が行われることが一般的ですが、ここでは家庭ごとに華やかな花火が上がり、家族や友人とともに新年を迎える様子が感動的な出来事となりました。
   年末年始をドイツで過ごすことで、留学生として新たな文化に触れ、異なる習慣や風習を理解する貴重な機会となりました。閉店するお店と静かな街、そして花火に包まれたドイツの年末年始は、私にとって心に残る経験となりました。留学を通して得た新しい視点をもとに、これからも異文化を理解し、豊かな経験を積んでいきたいと考えています。
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