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ヴッパータール大学

ヴッパータール大学現地レポート

ドイツ語・ヨーロッパ専攻2年 松田拓也
2024/02/05
   日本の夏の暑さが懐かしく思えるこの頃、ドイツの厳冬はつづき、白い煙を吐き出すのは人々だけでなく街の家々も寒さに震えている様子を見せています。ドイツの一般的な暖房器具はハイツングと呼ばれ、温水が部屋を循環して冬の寒さから護ってくれます。基本的につけっぱなしにしておくものなので、少なくとも布団に縛り付けられる朝が来ない、というのはこちらの冬の良いところでしょうか。しかし朧月夜どころか月夜も稀なこの街では、春の訪れは遠いように思えます。
   そんなヴッパータール市はノルトライン・ヴェストファーレン州のおよそ中央に位置し、渓谷が市街地を縫うように通るその街並みは、ほとんどが坂道と傾斜になっています。私の留学しているヴッパータール大学は、そんな街の中でも高い位置に在り大学からは街並みが一望できます。もっとも、その地理が影響してか非常に雨が多いため、見えるのは曇り空ばかりです。滞在して数か月が過ぎるころには曇り空すらも青く錯覚するようになります。
   雨と坂道ばかりといっても決して生活が大変なわけではありません。徒歩で十数分も歩けば街の中央駅まで行くことができ、その周りでは食品から生活用品、食事処から家電、ファッションに至るまで多種多様、およそ揃わないものは無いと思われます。また中央駅付近ですぐに目に入るのが、ヴッパータールの特徴であるモノレールのような吊り下げ式の電車。この電車は市を横断しているため、市内の移動の際は存分に利用することになるでしょう。というのも、大学から貰えるゼメスターチケットを使えば、州内に限りバスも電車も乗り放題、実質タダみたいなものです。そのチケットさえあれば、付近の都市に簡単に行くことができますし、荷物が増えてしまったのなら、帰路にはバスを利用すれば寮のすぐ目の前まで辿り着くことができます。
   近辺の都市といえば、まず欠かせないのがデュッセルドルフ。ヴッパータールから四十分も電車で移動すれば、ヨーロッパでも随一の日本人街に行くことができます。そこは日本食が買える、食べられる程度では留まりません。日本の品物を日本語の店で日本人が提供しています。日本人が経営する歯科や美容院まであります。最早、あそこが日本であると言っても過言ではないでしょう。一般に留学生が最も苦労すると言われている食事の部分ですが、私のように一日一食で済ましていたような食に関心がない者でも、感動させられるのが母国の味の侮れないところです。三百円の缶コーヒーに感動してようやく留学らしくなってきた、というところでしょうか。ただし、日本の食べ物はどうしても値段が張ってしまうため、通い詰めるのはほどほどにしたいところですね。日本の皆さんは土日祝日問わず二十四時間空いているコンビニに感謝しておきましょう。
   もう一つが、デュッセルドルフより若干遠いものの、それでも小一時間ほどで行けるケルン。駅から出てすぐ目前、一際目を引くかのケルン大聖堂はまさに圧巻の一言。世界最大規模のゴシック様式の建築物であるケルン大聖堂、完成までは中断期間含め六百年以上が費やされたようで、その百メートルを優に超える建物の内外、その細部にまで装飾が施されています。さらに大聖堂は上まで登ることができ、展望台からはケルン市内とそこを流れる雄大なライン川を一望することができます。しかしながら展望台までのエレベーターなどはないため、螺旋階段を使って上まで行かなければなりません。私はその段数を数えようとするも途中で断念しました。それほど大聖堂が大きいということです。ケルンの魅力はまだまだ多く、ライン川沿いを探索するのも、甘い匂いに誘われてチョコレート博物館へ足を運ぶのもいいでしょう。冬には煌びやかに彩られたクリスマスを、暖かいワインに舌鼓を打ちながら過ごすこともできます。
   そんなヴッパータールでの生活も折り返しを過ぎ、早いもので四ヵ月が経とうとしています。授業は今日も早朝から始まり、様々な国から来た留学生たちが一堂に会します。授業の開始時間は早朝から正午前まで、十分も経たずに大学まで行けるといえども、朝八時はこちらではようやく朝日が顔を覗かせる時間。すっかり慣れ親しんだ景色と街並みも、春にはもの寂しく感じるのでしょうか。いつかこの日々を懐かしむ頃にはこの経験を活かせていれるように、残りの時間を大切に、そして後悔のないように過ごしたいと思います。
写真① ヴッパータール中央駅前
写真② ケルン大聖堂
写真③ 大学学生寮
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